歯科医院を開業したばかりの先生にとって、集患は大きな課題の一つです。患者様をどのように呼び込み、安定した経営基盤を築いていくべきか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、歯科医院でも効果的に活用できる「店舗型マーケティング」の基本と概要について解説します。初めて開業する先生にも分かりやすく、実践的な内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
歯科医院で成功する!店舗型マーケティングの基本と概要
店舗型マーケティングとは?
店舗型マーケティングとは、お店や医院といった「店舗」を起点としたマーケティング手法です。従来の広告宣伝とは異なり、顧客との接点を重視し、リアルな体験を通じて顧客との関係性を築き、リピーターを増やすことを目指します。
歯科医院で活用できる店舗型マーケティングの具体例
歯科医院における店舗型マーケティングは、顧客体験・地域密着・デジタル活用・顧客エンゲージメントといった大きく4つの要素に分けられます。それぞれの手法について具体的に見ていきましょう。
顧客体験の向上
院内での体験を通し、患者様の満足度を高めることで、口コミによる評判を向上させます。歯科医院で具体的にできる取り組みとしては、院内空間を快適にする、待ち時間を過ごしやすくする、親切で丁寧な接遇などが挙げられます。
院内空間を快適に保つには、基本設備の充実は元より、院内動線や空調など様々な点に配慮する必要があります。院内の設備や動線を改めて見直し、場合によっては設備の追加や内装リフォームを検討するのも良いでしょう。
患者層にファミリー層が多い場合は、キッズスペースを設置すると小さなお子様のいるご家庭も安心して来院しやすくなります。
待ち時間を快適に過ごして頂くために、待合スペースの内装・インテリアを充実させるほか、更にワンランク上を目指して、観葉植物や院内音楽、アロマを取り入れていらっしゃる歯科医院もあります。
より良い接遇のあり方については、「歯科医院の集患がうまくいかない時の対処法」でご紹介しています。
どこまで何をすべかという点については、地域の環境や歯科医院の経営理念にもよっても変わりますが、いずれにせよ、患者様の視点に立って施策を考える事が大切です。
地域密着型マーケティング
地域に根ざした歯科医院としての認知度を高め、患者様や周辺地域の潜在患者層の信頼を得ていきます。具体的には、地域イベントへ参加したり、地域の団体と連携を取ったり、チラシや地域情報誌などに広告を掲載するなどといった手法があります。
地域イベントについて、一番効果が見込める催しは開業時に行う内覧会です。地域の方に向けて歯科医院をお披露目するのと共に、スタッフと交流する事で来院の心理的ハードルを下げ、予約獲得や好意的な口コミを作りやすい絶好の機会になります
チラシには新聞の折り込み、ポスティング、街頭配布などといった手段があり、中でも新聞の折り込みチラシはシニア層が主要ターゲットとなります。詳しくは「歯科医院開業時に注意すべき広告の打ち出し方」で解説しているので、ご参考にして下さい。
そのほか、院内で広告戦略として活用できるチラシ・印刷物も複数あります。受付で必ず取り扱われる診察券や薬袋なども有効に活用しましょう。
マーケティングとは目的を違えますが、地域の学校医や認定保育園の嘱託歯科医を受け持つ事も、周辺ファミリー層への認知や信頼が高まる結果につながります。
デジタルマーケティング活用
インターネットを活用することで、より多くの潜在患者層にアプローチできます。ホームページを充実させる事は言うまでもなく、流行のSNSを利用した情報発信に力を入れているところも多く見受けられます。
一概にホームページと言っても、歯科医院で掲載すべき情報、スマホ表示への適用、デザイン動線、検索エンジン対策など、技術・デザインともに様々なところに気を配らなければなりません。 ブログを使ったマーケティング対策も効果的です。それぞれのツールを上手く使い、潜在患者層へのアピールにつなげましょう。
インターネットが普及した現在では、ホームページやSNSの活用していなくても、自院への口コミ対策が必要となります。悪い口コミを書かれてしまった場合に、どの様に対応するべきか、詳しくは「WEBやSNSでの口コミ対処法」でご説明しています。
最近ではマップ検索エンジンに対応するMEO対策なども注目を集めています。トレンドもしっかり押さえ、デジタルマーケティングを有効に活用しましょう。
顧客エンゲージメント
定期的な情報提供を行うほか、患者様向けのイベント開催、アンケート調査などを実施し、患者様との継続的な関係性を築き上げることで顧客エンゲージメント(親密さ)を高め、長期的な顧客ロイヤリティ(愛着)を獲得します。
患者様のロイヤリティを高めるには、さほど特殊な事をせずとも、接遇のお声がけを工夫したり、診療の説明を丁寧に行う事も有効です。診療の説明について、手早く対応の品質・スピードを向上し、かつスタッフの平準化を図るには、患者説明ソフトの活用を検討するのも良いでしょう。
予約のしやすさやキャンセル後のフォロー体制も顧客ロイヤリティにつながります。受付対応をしっかりと行う事はもちろんですが、あまり労力を割けない場合には、予約システムを活用しましょう。
アンケート調査の活用方法については「歯科医院の競合対策」で簡単に触れているので、ご参考にして下さい。
店舗型マーケティング成功のためのポイント
店舗型マーケティングを成功させるためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
- 顧客の声を大切にする: 患者様の意見や感想を積極的に収集し、サービスや医院運営に反映させましょう。
- 競合との差別化: 他医院との違いを明確に示し、患者様に選ばれる理由を伝えましょう。
- 継続的な取り組み: 効果測定を行いながら、常に改善を続け、より効果的なマーケティング戦略を構築しましょう。
効果測定や戦略立案について、慣れない内は難しいテーマとなりますが、ターゲットの分析、マーケティング戦略の考え方や見直しの方法について以下の記事でも解説しているので、ご参考にして下さい。
医療広告規制に気を付ける
店舗型マーケティングの施策を行う上で、歯科医院で気を付けなければならないのが医療広告規制です。医業は誇大広告をしてはならないと法律で定められており、広告できる内容や手法がガイドラインで決まっています。
広告規制についての概要やよく迷うポイントについては、「歯科広告で注意すべき医療広告規制の徹底解説」で詳しくまとめています。
歯科医院における店舗型マーケティングは、患者様との接点を重視し、信頼関係を築くための重要な戦略です。
具体例でご紹介した4つの要素をバランス良く組み合わせることで、安定した集患と医院の成長を実現することができますが、様々な手法があり、初めて開業する歯科医師の先生にとって、一人で全ての戦略を立て、実行するのは難しいかもしれません。
診療が忙しく時間が取れないという場合には、各専門分野のプロに相談すると集患戦略を効率的に進められます。専門家であれば豊富な経験と専門知識に基づき、医院の規模やターゲット層、予算などを考慮した上で、効果的な施策を立案してくれるでしょう。
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