集患は歯科経営にとって重要な課題であり、近年ではSNSも有用な集患ツールとして注目されています。しかし、SNSは種類も多く、何を使ってどの様な投稿をすればいいのか迷う院長先生も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、歯科医院のSNS運用に関する初心者向けのガイドとして、各プラットフォームが持つ強みや、集患に効果的な運用事例を解説します。
目的を設定する
SNSを運用するには投稿文章や画像、動画などを作成する必要があり、それなりに時間と労力がかかります。自院の業務として行うのであれば人件費などの経費、外部委託するのであれば依頼料や成功報酬といった費用が発生するので、SNSを運用する事で何を達成したいのか、という明確な目的を設定しておくと、費用対効果が高まるでしょう。
具体的には、以下の点を意識しましょう。
集患数の増加
新患を増やし売上を上げていく事が歯科経営の課題なので、新患獲得を目的としてSNS運用をするケースも多く見受けられます。この目標を第一とする場合、どのような患者層をターゲットにするか、どの程度の増加を目指すかを数値で設定して効果を測ると良いでしょう。
ブランドイメージの向上
医院の持つ専門性や特色などのブランドイメージ向上を目的とする場合、どのようなイメージを伝えたいか具体的に定めましょう。高級感、清潔感、アットホームさ、最新技術へのこだわりなど、明確なイメージを持ち、そのイメージに沿った情報を発信していく事が重要です。
顧客エンゲージメント向上
患者さんとのコミュニケーションを深め、信頼関係を構築することを目的とする場合、どのような方法でエンゲージメント(親密さ)を高めるか計画しましょう。例えば、診療や予約状況について定期的な情報発信を行ったり、SNS閲覧からのシームレスな予約動線を作ったり、患者さんからの質問へ迅速に対応するなどといった手段が考えられます。
適切なプラットフォームの選択
目的を定めたら、次にどのSNSを使うべきか検討します。歯科医院でよく使われる4つのプラットフォームの特徴と活用例についてご紹介します。
日本国内の各プラットフォーム利用状況
SNS名称 | 月間アクティブユーザー数 |
---|---|
2,600万人 | |
6,600万人 | |
X(旧Twitter) | 6,650万人 |
YouTube | 7,120万人 |
実名登録でリアルなつながりが重視される、比較的ビジネス層・男性の利用が多めなプラットフォームです。ページの管理機能も充実しているので、イベント告知や医院のブログ記事のシェアなどの活用に向いています。
写真や動画が重視される視覚的な訴求が高いプラットフォームで、女性の利用率が多めです。医院の様子やスタッフ紹介などを投稿する事で、医院の清潔感や親しみやすさをアピールするのに最適です。
X(旧Twitter)
情報の拡散力が高く、短文で情報を発信できるため、最新情報やキャンペーン告知に適しています。20代の約8割、10代・30代の約6割が利用しているプラットフォームです。
YouTube
年齢層が幅広く、広範囲に情報を届けやすいプラットフォームです。専門性の高い治療の説明動画や医院紹介動画などをアップロードすることで、患者が安心して来院しやすい環境を作れます。国内ユーザーの約4割が45歳以上と発表されています。
各プラットフォームの特徴を理解し、目的とターゲット層に最適なものを選びましょう。それぞれ閲覧者の年代や利用方法も異なるので、より多くの人に情報を届けるために複数のプラットフォームを併用するのも有効です。
効果的な投稿頻度と事例
投稿頻度
プラットフォームによって最適な頻度が異なりますが、最低でも週に数回は投稿すると良いでしょう。ただし、質の高い投稿を継続することが重要であり、無理に毎日投稿する必要はありません。
投稿内容
それぞれのプラットフォームの強みを生かし、テキストや視覚的に内容の伝わりやすい写真や動画など用い、医院の雰囲気や設備・スタッフ、治療内容、ブログ記事、イベントなどを紹介していきましょう。患者さんにとって有益な情報を提供しながら、医院のブランドを効果的に伝えることがポイントです。
集患UPにつながる投稿事例
投稿事例 | 効果 |
---|---|
院内の様子を写した写真や動画 | 医院に対する清潔感や安心感を醸成し、 医院のイメージアップに繋げることができます。 |
スタッフ紹介 | スタッフの写真や簡単なプロフィールを掲載することで、 医院や診療にあたるスタッフへ親しみを持っていただく事ができます。 |
患者さんの声(口コミ) | 患者さんの喜びの声や感謝の言葉を掲載することで、 医院や診療への信頼感が向上します。 ただし、個人のプライバシーには十分配慮する必要があります。 |
イベント告知・キャンペーン情報 | 定期的なイベントやキャンペーン情報を発信することで、 患者さんとのエンゲージメントを高めます。 |
治療説明のイラストや動画 | 歯科には治療内容が複雑で、言葉だけでは伝わりにくい事もあります。 SNSを通し動画で分かりやすく解説しておくと、 同症状でお悩みの患者さんの不安解消に役立ち、 治療のための来院を促すきっかけにつながります。 |
医院ブログ連携 | 医院ブログの要約をSNSでシェアすることで、 ウェブサイトへのアクセスを増やすことができます。 |
コンテンツは定期的に更新し、新鮮さを保つように心がけましょう。
効果測定と改善
SNSは運用するだけでなく、効果を測定し、内容を分析する事も重要です。新患の増加数などといったKPI(目標を定量的に評価するための指標)の他に、以下のようなSNSならではの効果測定についても留意しましょう。
フォロワー数・エンゲージメント率の推移
各プラットフォームでフォロワー数やエンゲージメント率を取得する事ができるので、定期的に分析することで、効果的な発信方法を検証できます。過去に反応の伸び率の良かった投稿などを参考にして自院ブランドの強みを把握し、投稿内容を充実させていきましょう。
ウェブサイトへのアクセス数
SNSからのウェブサイトへのアクセス数を計測することで、集患効果を測定できます。プロフィールアクセスやリンククリックなど直接的な数値はもちろん、SNSでブランドを認知する事でWEBの指名検索に貢献しているケースもあるので、総合的に判断していきましょう。
分析結果に基づき、コンテンツの内容や発信頻度などを改善していくことで、より効果的なSNS運用を実現できます。
令和5年発表の総務省調査によると、国内のインターネット利用者は86.2%、その内SNSの利用率は約8割で、10~40代のSNS利用率はほぼ9割となっており、利用人口の多さからみても、歯科医院のSNS運用は集患増加につながる強力なツールであると考えられます。
しかし、効果的な運用のためには、明確な目標設定、適切なプラットフォーム選定、質の高いコンテンツ作成、そして継続的な分析と改善が不可欠です。
本記事を参考に効果的なSNS戦略を策定し、医院の発展につなげてください。
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