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都市型の歯科開業:成功事例と注意すべきポイント

都市型の歯科開業:成功事例と注意すべきポイント
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都市で歯科医院を開業する場合を「都市型開業」と仮に呼びますが、ここで言う都市とは、人口の多さで決められた指定都市や中核市といったものとはまた別の概念で、商業・流通などが栄え、比較的狭い地域に多くの人や建物が集まっている集落の事を指しています。

人が多く集まる場所で開業すれば患者さんもたくさん集まるのでは、と思いがちですが、そうは簡単に行かないのがクリニック開業の難しさです。そこで今回は、都市で歯科開業した場合の成功・失敗例や注意すべき点についてお伝えします。

都市型開業の患者層と開業地の決め方

都市では人や建物が密集しており、往来の人通りも多く、潜在的な患者数が多くなる傾向があります。立地の条件にもよりますが、大体の場合は夜間人口より昼間人口の比率がかなり高く、オフィス街勤務の方が患者層の多数を占める事が多いでしょう。

当社で取り扱っている都市型の歯科向け開業物件でも、多い地域では患者予測数が20~30人を越え、最大では60人以上と推測されるエリアも見受けられます。しかし、そういった地域は、物件の賃料が高く、患者数の多さを狙った競合医院も診療圏内に多く存在し、同じ一次診療圏内で100~200件近くの競合クリニックが存在するケースもあります。

しかしながら、患者数が多くて競合が少ない場所ならどこでも開業が成功するとは限りません。

開業地を決めるにはこうした数値だけに注目するのではなく、まずは自分がどのような診療スタイルで開業したいのか、それが実践できる場所はどこなのか、という事を念頭に置いて歯科開業に向いた物件を調査し、自分が納得できる場所で決定しましょう。

その上で、その場所のデメリットをどうカバーし、メリットを最大限に活かしていくのかについて考えていく事が重要です。

確かに都市は人が多いので、集患が成功すれば、自分が提供したいと考える診療をたくさんの人に受けてもらえる可能性が高くなるでしょう。まずは自分の人生おいて開業がどういう位置づけにあるのか、その為に何を実践すべきなのか、理念・目標を定め開業地を選定しましょう。

都市型開業の成功・失敗しがちな事例

それでは早速、都市型開業の事例を紹介いたします。

成功例1:専門診療に特化した診療スタイル

都市では賃料が高く、坪面積も狭い場所で開業せざるを得なくなる事が往々にしてあります。そういった場所での開業は必然的に固定費も高くなるので、クリニック経営で利益を出すには、インプラントや矯正などといった専門に特化した自費診療中心の診療スタイルを確立する事が成功事例としてしばしば見受けられます。

保険診療中心のままではレセプト単価も限られているので、集患数が安定しても中々利益が伸ばせず、自費診療を拡大していけるプランがないと野戦型の診療スタイルを強いられ疲弊するか、いずれ収益面で経営が難しくなっていくなどといった課題に直面するケースもあるでしょう。

成功例2:ブランド志向に合わせた審美歯科

審美歯科は若い女性を中心に需要が集まりやすい分野ですが、この中で都市の専門医院でより良い診療を受けたいというブランド志向も一部あり、都市型開業で効を奏す場合があります。専門に特化した開業ではない場合、審美については自費パッケージ型のフランチャイズ導入などを選択肢に含めても良いでしょう。

クリニック側で相応の準備は必要になりますが、パッケージ元のブランド力を集患に活かす事ができ、研修制度のあるところではスタッフのスキル育成にもつなげる事ができます。

よくある失敗しがちな例

広い場所で目立つ様な外装にして開業すれば、都市なので衆目も集まり集客しやすいのでは…と考え、坪数の広い角地の1階路面テナントなどを選んで内装や外装に贅を尽くすと、元々潤沢な資金があるという場合でもない限り、家賃や借り入れた事業資金の返済が高額になり、医院のコンセプト作りや集患の施策を相当上手くやりくりしなければ、運転資金が切れる頃には固定費の支払いが追い付かなくなり、失敗する事があります。

ただ都市で華やかな事がしたい、という考え方だけでは上手く行かなくなった時に行き詰ってしまうので、開業前に事業計画をよく練り、現実的に収益を出せる都市型開業をプランニングしていきましょう。

都市型開業で気を付けるべき点

ここまで事例を紹介しましたが、次に実際に開業する場合の注意点について紹介いたします。

自己適性の把握と補填

自費診療に比重を置く収益構成のクリニックでは、ドクターの診療技術の高さが求められる事はもちろん、ちょっとした言葉がけなど接遇面の問題も集客に影響を及ぼす事があり、専門分野で経験の浅い方や、逆に専門性だけに重きを置いて接遇を苦手とする方には厳しい戦況になる事も少なくありません。ただし、どちらも後天的に鍛えられる技術なので、自分の開業スタイルに合わせて準備段階の内にそれらの技術を磨いていくと良いでしょう。

動線と診療時間の考え方

周辺の環境にもよりますが、オフィス街では成人のオフィス勤務の方が患者層の主流になるため、開業地は駅とオフィス街の動線上である事を意識すると、出勤・帰宅中の患者層の目に留まり認知性が良くなるでしょう。

また、患者さんが勤務しながらでも通える昼の休憩時間・夕刻以降の帰宅時間などが来院の増える時間帯になりやすいので、そのような時間を考慮しクリニックの診療時間を設定すると、患者さんも通いやすく、より多くの集患を得る事に繋がっていくという予測が立ちます。

逆に、日曜や祝日定休の業種が周辺に多い環境では、その日に動線を利用する患者さんが減る事も考えられるので、周辺の状況を見極めて休日を設定していきましょう。

認知性向上の意識を強く持つ

都市部は賃料が高いので、比較的安価に済む空中階のテナント開業をするクリニックも多くあります。その際に気を付けなければならないのが、集患対策です。住宅地での開業とは違い、内覧会でも人が集まりにくいので、看板やホームページで認知性を上げる工夫がかなり必要になります。

標榜科目に注意

成功例として自費診療について軽く触れましたが、その中でも標榜として使える科目とそうでない科目があるので注意しましょう。「審美」「インプラント」などは標榜として使えないので、看板には記載できません。ただし、条件付きでこれらの文言を掲載する事も可能となります。詳しくは標榜科目の記事をご参照下さい。

都市型開業に連なる立地条件として、駅近での開業も一つの事例として取り上げられますが、駅近物件で開業するメリットやデメリットは、下記の記事で詳しく紹介していますのであわせてご覧ください。

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