歯科医院の開業で物件を探す時に、地域・賃料・広さを絞って探される方も多くいらっしゃいます。今回は、歯科医院の坪数など広さの考え方についてお話しします。
歯科医院の広さの単位の坪数とは?
はじめに、坪数とは具体的にどのような単位になるのかをおさえておきましょう。
1坪は畳約2畳分の大きさです。尺貫法を用いると1坪は6尺×6尺、畳が3尺×6尺なので2畳で1坪ということになります。(参考:1尺= 30.303cm)坪数は計算で平米(㎡)数と換算できます。
㎡数 = 3.305785㎡(1坪) × 坪数 ※
坪数 = 0.3025坪(1㎡) × ㎡数
※1坪=3.3㎡で計算する方法もありますが、小数点以下分の誤差が生じます
尺貫法による表示は既に廃止されており取引や証明には使えませんが、業界で慣例的に用いられる場合が多いので、覚えておくと役に立つでしょう。
自分が考えている歯科医院の診療室が何坪必要か考えよう!
それでは、さっそく何坪必要かの考え方について紹介します。歯科医院の坪数別の内装パターンの例については、別記事で紹介していますので、これからお話する内容とあわせてご覧ください。
ユニット台数と必要な坪数の目安
歯科医院では診療に歯科ユニットが必要ですが、この機材はかなりの面積を占めるので、導入するユニットの台数によりある程度、用意すべき物件の坪面積が決まってきます。
ユニット台数 | 必要な坪数 |
---|---|
~3台 | 約20坪 |
4~5台 | 約30坪 |
6~7台 | 約40坪 |
※物件や診療スタイル、導入機材により変動します。一般的な参考値としてお考え下さい。
自分の診療スタイルから必要なユニット台数を決めて、坪数の目安を決めましょう。ユニットの導入台数をどう考えるかについては「歯科ユニットをいつ増やすのか?増設時期の目安」で、歯科診療所のユニット所持台数の実態にも触れていますので、ご参考ください。
また、柱の位置によってはユニットを思ったように配置出来ないことがあるので、坪数があっても注意が必要です。
ただし、坪数にとらわれ過ぎて歯科開業に成功できる物件を見送り、開業するのに絶好の条件を逃してしまわないようにしましょう。
歯科医院の各スペースに必要な広さは?
診療室の他、受付やキッズルーム、洗口コーナー、カウンセリングルーム、機材、スタッフルーム、院長室によっても、必要な坪数が変わってきます。
例えばキッズルームを広く取りたい場合は、ユニットで確保する坪数にその分を追加しておおよその坪数を考えておきましょう。
将来に見込む来患数に応じ、待合室・スタッフルームの規模もそれなりの配慮が必要になります。環境や診療スタイルなどによって変わりますが、広さについてどう考えたらいいのかという一般的なお話を紹介します。
受付
ユニット5~6台以上の規模だと、患者さんの対応に2人以上は受付人員が必要になります。この場合、オペレーションを考えて、2人以上は座れる様に配慮しましょう。
待合
将来設置するユニットも含め、ユニット台数分だけ待合利用者の可能性があります。ユニット設置可能な最大数値 × 1~1.5人分のスペースを確保しましょう。
たとえば、将来的に6台のユニットを導入する予定であれば、6~9人分のスペースを確保しておいた方がいいということが分かります。また、待合室と診療室のドアの設置については保健所に確認を事前にとりながら進めていくと良いでしょう(参考:待合室と診療室にドアを設ける医院と設けない医院があるのはなぜ?)
キッズルーム
マーケットやスタイルにもよりますが、たとえばファミリー層が多いところではお子さんが待ち合い時間に遊んで過ごすことのできる場所を大きめに取るといいでしょう。
ベビーカーを入れられる様に間取りを配慮するケースもありますね。(参考:歯科医院のキッズルーム!キッズスペースを作る時のポイントと注意点)
トイレ
最近ではトイレを男女別で用意したりオムツ替え台を設置できる様に大きめなトイレを用意する医院が増えてきています。大きめのトイレを用意する事で、介助者のサポートが必要な患者様にも来院してもらいやすくなります。
洗口コーナー
マーケットによっては、お子さん用に高さの低い洗口台を用意する事で競合医院と差別化を図るのも効果的な場合があります。
レントゲン室
セファロを導入しようと考えるのであれば、それなりのスペースを確保しておく必要があります。開業時に作る費用より後から改築する場合の方が工事代金が高く、また、レイアウトを考え直したりする必要があるので、よく検討しておきましょう。
カウンセリングルーム
カウンセリングルームについては、患者さんのプライベートを守れるように個室にする、仕切りのあるスペースを設ける、カウンターの端に話し合えるスペースを作る、といった様々なスタイルがあります。座席を対面にするか横並びにするかでもスペースが変わるので、診療スタイルに合わせて必要な広さを考えましょう。
スタッフルーム
人員数やシフトにより、広さの配慮が必要になるでしょう。また、院内にスペースおくかどうかによっても変わります。配管と共に別フロアにスタッフルームを用意するケースも実在します。
院長室
開業当初は用意しておいて、事業が安定してきたら、他の用途へ切り替えるといった使用も可能です。
賃料を考える時に参考にすべき坪単価とは?
物件の候補がいくつもある場合、立地等にもよりますが、坪数が多ければその分賃料も高くなります。一見、総額が安い方が良さそうに感じるかもしれませんが、単価で考えると広い方がお得なこともあります。
どちらが得かは、実際に坪単価を出して考えてみると良いでしょう。
坪単価は「賃料÷坪数=1坪当たりの賃料」で計算します。内装費用については、物件の引渡し条件や工事区分が統一では無い為、ここでは計算に含めない方が適切でしょう。
歯科医院開業物件の、広さの考え方についてお話しました。
その他にも、歯科開業に適した物件を探す際には、様々な観点からの集患力を検討する必要があります。歯科医院の建物タイプや開業地の立地や地域性、歯科の賃貸条件など、考えるべきことが多すぎて返って迷ってしまうかもしれません。
そんな時には、経験者の話を聞いてみるのが解決の近道になることもあるでしょう。
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