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歯科開業時の賃貸借契約締結と物件引き渡しに関するチェックポイント

歯科出店決定後の契約締結と物件引き渡しに関するチェックポイント
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歯科の出店が決まったら、賃貸借契約締結と物件の引き渡しが行われます。歯科開業物件の引き渡しには物件自体の引き渡しと内装工事を行った後の引き渡しという2回のタイミングがありますが、今回は出店が決まった後の物件自体の引き渡しについてご紹介していきます。

歯科出店決定後の契約締結の流れとポイント

歯科出店が決まったら、物件の賃貸借契約締結を行います。契約は大まかに以下の流れで進みます。

  1. 仲介人(業者)が重要事項説明書、契約書を作成し貸主借主それぞれ内容確認する
  2. 仲介人(業者)が重要事項説明書、契約書を製本押印する
  3. 借主が契約書を確認し、押印する(書類は二部押印)
  4. 貸主が契約書に押印する
  5. 全押印後の契約書は貸主・借主それぞれ一部ずつ保管する

重要事項説明を伴う契約の場には貸主・借主のほか、不動産取引の専門資格を持つ宅地建物取引士(宅建士)が同席し、契約者である借主が知っておくべき事項(重要事項)を説明してくれます。

不動産特有の専門用語なども出てきますが、分からない点は事前に契約書の内容を確認する際に、契約内容をきちんと確認、把握した上で賃貸借契約書に署名・捺印を行いましょう。貸主が郵送でのやり取りを希望する場合には、契約書類の押印を郵送でやりとりする事もあります。

重要事項説明の内容は、登記内容・設備など物件に関する事項と、費用・契約期間・更新など取引条件に関する事項などが記載されており、近年はアスベスト(石綿)調査・耐震診断、水害ハザードマップなども項目に加わっています。中でも、退店時に発生する償却金額については将来的にトラブルにつながる事が多いので、契約時によく確認しておきましょう。

また、契約後に発覚した瑕疵(かし)・不備は、基本的に現在の借主の責任となってしまうので、自分が借りる前の問題があれば仲介する不動産会社にも必ず確認してもらい、書面に残してもらいましょう。

償却やその他の賃貸借契約のポイントについては下記の記事でも解説しています。

物件引き渡しの注意点

賃貸借契約が終わると、物件の引き渡しが行われます。引き渡し条件ごとに、注意点をみていきましょう。

居抜き物件引渡しの場合

居抜きという引き渡し条件では、内装設備・造作・什器・家具・備品などが残されたまま物件が引き渡されます。既存の設備を利用できるので、内装を一から整えるより開業を早めることができ、初期費用も抑えられるのがメリットとして挙げられます。

ただし、引き継いだ設備が壊れている場合は修理費がかかります。居抜きでの契約には、例えば配線が切れて機器が動かないなど、様々なトラブルが散見されますのでご注意ください。

居抜きの物件引き渡し時には、引き継いだ設備が契約書通りに揃っているかどうかよく確認する必要があります。特に、造作譲渡費用の支払いがある場合には、対象の設備・物品の所有権が借主にあるので、不足がないか念入りにチェックしましょう。同時に、それぞれ設備の動作確認をしておく事も重要です。引き渡される設備に何か問題があれば、仲介業者や貸主に連絡し対応をどうするか確認しましょう。

スケルトン引渡しの場合

スケルトンという引き渡し条件は、居抜きとは逆に内装設備がなく、建物の柱・梁(はり)・床など躯体(くたい)だけの状態で引き渡される事で、内装工事を一から始めるのに適した状態になります。

そのため、引き渡し時に建物に残置物や図面に無かった柱などが残っていると撤去作業が必要になり、内装工事の着手が遅れ、余分な費用発生の原因ともなります。残置物については出店申込前の注意事項としても取り上げましたが、引き渡し時の最終チェックで改めて確認し、問題があれば仲介業者や貸主に連絡して撤去を依頼しましょう。

スケルトン引き渡し契約であれば、それらの撤去費用などは貸主負担となるので、この点についてもしっかり調整しましょう。

その他の物件引渡しの注意事項

引き渡し時に建物の鍵を受け取るので、契約書通りの本数があるかどうか、ちゃんと使えるかどうかを確認しましょう。鍵は退去時に返却しなければならず、本数が足りない時には弁償義務があるので注意が必要です。

その他、レアケースではありますが、看板を残しておくように依頼してあっても、引き渡し時に撤去されてしまっていたり、自動ドアを設備として引き継いでいても、実際には機器不良があって使えず修理が必要となり、最初から撤去を依頼した方が良かった…などといったトラブルも実際には起こり得ます。

基本的な調整は出店申込前に済ませてあっても、引き渡し時に不測の事態が起こる事もあるので、上記の注意点を元に貸主・仲介業者に確認していきましょう。

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また、物件が決まったら次に資金調達や内装、その他様々な設備や届出など、いよいよ開業準備が進んでいきます。インサイトでは、ご状況にあわせてご利用いただける様々なサポートを展開しております。開業にご不安な点があれば、お気軽にお問合せ下さい。

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