自分がどのような医院を開業し経営していきたいのか、具体的な将来ビジョンはもうお決まりでしょうか?
昔と違い、今はよくよく立地を選ばなければ歯科も集患が難しい時代です。更に、その立地に合わせた診療スタイルになっていなければ、立地がもつ集患力を最大限に活かすことが出来ません。
今回は、最近の歯科開場所の傾向についてお話すると共に、その立地で開業した場合どのような医院運営を行う事になるのかという概要を説明していきます。
開業場所タイプと保険診療を中心とした設備や売上上限の目安
歯科開業場所のタイプは、だいたい以下の5つに分かれます。
- 都市型
- 住宅地型
- 郊外型
- 商業施設型
- 医療モール型
それぞれどのような特徴を持ち、構造や設備、保険診療メインで診療をした場合の売上はどの程度見込めるのかの目安など、代表的な例を見ながら詳しく紹介します。
都市型の場合
都市型とは、商業・流通などが栄え人の多く集まる都市部で開業するスタイルの事です。人通りが多い分、来院数が見込めるという点がメリットとして挙げられますが、同時に物件の賃料が高く、近隣競合が多くなりがちというデメリットも存在します。
ターゲットとなる患者さんの層は、周辺の環境にもよりますが、都市型タイプの中で多いのは、住宅地が少ないオフィス型で、オフィス勤務の成人の方が主流となります。また、賃料が高いため坪面積は狭めになる傾向があり、同じ理由から空中階のテナントで運営するクリニックも多くあります。
・構造、設備、人員体制の代表例
開業地タイプ | 都市型 |
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面積 | 25坪~ |
ユニット | 4台 |
導入機材 | 開業初期に必要な物を万遍なく大体揃える |
人員体制 | Dr1名・衛生士2名 |
上記の例を基に考えると小規模診療所となり、収益構成も保険診療中心よりは自費診療型の傾向が強く、Drの力がそのまま売上に直結してくるケースが多いです。診療内容にもよりますが、年間売上の上限目安は大体1.5億円程度となります。
都市型の駅近物件で開業するメリットやデメリットは、下記の記事でも紹介しています。
都市型の物件をお探しの方はこちら
住宅地型の場合
住宅地タイプで開業する場合、患者層はファミリー層が中心となります。多くの方が住みやすい土地柄から見ても、賃料は一般的な価格で、1階のテナント開業を選ばれる方が多いです。面積は都市型と郊外型の中間くらいになります。
・構造、設備、人員体制の代表例
開業地タイプ | 都市型 |
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面積 | 35坪前後 |
ユニット | 5台 |
導入機材 | CT・滅菌器・レーザー・口腔外 |
人員体制 | Dr2名・衛生士2名 |
ファミリー層を意識し、小児等への配慮、衛生面に力を入れた機材を導入する場合が多くあります。上記の例を基に考えると、保険診療を柱に、ロイヤリティの高い患者層には、小児矯正、アライナー矯正、インプラントなどの自費診療のオプションも拡大していき、年間売上上限は、2億円程度となります。
住宅地型の物件をお探しの方はこちら
郊外型の場合
場所にもよりますが、郊外型では交通手段が車になる場合も多く、その場合、診療圏が広くなる分、老若男女を取りそろえた幅広い患者層となります。
こちらも1階のテナントや、駐車場を兼ね備えた平屋や戸建てなどが主流となる事が多く、物件の面積は他のタイプに比べ一番広くなります。また、郊外型では「土地を購入したい」「所有している土地で開業したい」というケースも多くあります。
・構造、設備、人員体制の代表例
開業地タイプ | 都市型 |
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面積 | 40坪前後 |
ユニット | 7台 |
導入機材 | レーザー・口腔外バキューム・訪問診療機器 |
人員体制 | Dr2名・衛生士4名 |
広さを活かし、ゆったりとした診療所設計、無痛治療などを意識しレーザー、訪問診療の体制を整えか強診を取得している医院も増加傾向にあります。上記の例を鑑みると年間売上は大体2.5億円程度が上限目安です。
郊外型での開業ポイントは、別記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。
商業施設型の場合
商業施設での開業は施設の中核テナントなどを目的に、施設そのものを目指し来訪するお客様(患者さん予備軍)が多くなるので、診療圏も広域で幅広い患者層となります。集客できる施設という事で、開業後の認知性・集客性は非常に高く、早期に経営安定化している医院が多いです。
一方、賃料は高めに設定されており、商業施設の意向を受けての診療となるため、営業時間や休診日などが大きく影響を受けます。物件の広さは大体小~中規模くらいとなる事が多いです。
・構造、設備、人員体制の代表例
開業地タイプ | 都市型 |
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面積 | 40坪前後 |
ユニット | 4台 |
導入機材 | レーザー・自動釣銭機 |
人員体制 | Dr3名・衛生士2名 |
最近では、商業施設内の限られた区画で診療に集中できるスタッフを増やし、オペレーション効率、コロナ渦における感染対策として、自動釣銭機の導入が進んでいます。上記例の場合、構造・設備や人員体制などから考えて、保険診療中心の野戦医院化することも多く、年間売上は大体1.5億円程度が上限目安となります。
商業施設での開業について詳しく知りたい方は以下も併せてご参照下さい。
商業施設型の物件をお探しの方はこちら
医療モール型の場合
医療モールは、他の診療科目と一緒に開業するので、一等地での開業や、医療モール内の他科目で治療を受けに来た患者さんが歯科医院の患者さんになってくれる場合などが多くあります。他科目の医院と上手く連携することで、高度な医療を提供することができるので、専門歯科を開業したい先生も比較的開業がしやすい場所です。
場所にもよりますが、賃料・面積は一般的で、代わりに1階に調剤薬局や一般的な科目が入るケースが多く、歯科や専門歯科は空中階となる事が多いです。
・構造、設備、人員体制の代表例
開業地タイプ | 都市型 |
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面積 | 30坪前後 |
ユニット | 4台 |
導入機材 | ※診療スタイルによって大きく異なる |
人員体制 | Dr1名・衛生士3名 |
上記の例の構造・設備や人員体制などから考えて、年間売上はこちらも1.5億円程度が上限目安です。
医療モール型の物件をお探しの方はこちら
開業場所タイプ別の傾向と特徴についてご紹介しました。ご自身が開業する医院の診療スタイルや運営指針、事業計画と適合する開業地の傾向が、ある程度おつかみ頂けたでしょうか?
もちろん傾向がある程度決まったとはいえ、実際の立地や物件それぞれがもつ特徴によっても設備や構造、必要な人員体制も異なるため、どの物件が自分の開業に一番合う場所か決めるのは中々難しいものです。
当社にご相談頂ければ、診療したいスタイルや構想にあわせた物件のご紹介やサンプルの事業計画を作成することも可能です。下記よりお気軽にお問合せください。
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