歯科医院を開業する場合、開業地の選定はとても大事です。単純に「駅に近いほうがいい」「人口が多い場所がいい」と決めつけることはできません。
もっとも重要なのは「どれだけの患者さんを集めることができるか」つまり、集患力がある場所かどうか、立地の選び方がポイントです。今回は「集患力がある立地の選び方」と「駅近と郊外のメリット・デメリット」についてお話しします。
集患力がある立地か見極める2つのポイント
歯科医院にとって「集患力」のある立地かどうかは、以下の2つのポイントをチェックすることが大切です。
1.潜在患者数が多いか?
2.日常的に使う動線上にあるか?
まず、潜在患者数が多いかをチェックする際は、まず診療圏の範囲の設定から始めます。
一般的な診療圏の設定は半径○キロメートルの設定となりますがこれでは意味がありません。
開業場所の候補が決まったらその場所にどのような交通手段でどのようなルートで患者が来院するかを確認し「実質的な診療圏」を設定しそのうえで「潜在患者数」を見積もることが大事です。
また、潜在患者数が多かったとしても、それだけで良い立地と決めることはできません。
次に大切なのが「日常的に使う動線上にあるか?」のチェックです。診療圏である住宅街に住む人の日常的に使う動線上になければ、診療圏であっても実際には患者さんが集まらないことがあります。
開業候補地から見て、住宅の逆側にショッピングセンターがあったり公園があったりした場合、患者さんの立場になって考えてみましょう。
多くの患者は急に歯が痛くなった時にはまず、日常的に使う動線上でよく見かけている歯科医院を思い出し来院するでしょう。相当評判が良くない限り、商圏内でも路地裏にある歯科医院はふと思いだすことはありません。
常々、目に留まる開業立地を選ぶことが重要なポイントとなります。
実質的な診療圏の設定と動線の考え方の一部を紹介させて頂きましたが、他にも「距離ではなく時間」「昼間人口」「動線の判定要素」「商圏の分岐」「商圏の断裂」など、歯科開業の際に立地を見極めるポイントがたくさんあります。
集患力のある物件選定ページでも歯科医院立地選定の概要をお伝えしておりますが、具体的な理論等はインサイトの歯科開業セミナーで詳しくお伝えしています。実際に物件を探される前に、一度立地の判断方法や情報をお知りになりたい方は是非お気軽にご参加ください。

駅近物件VS郊外物件のメリット・デメリットは?
それでは、駅近と郊外それぞれのメリットデメリットについて紹介していきます。
駅近物件のメリット・デメリット
まず駅に近い物件は、先ほどの「集患力がある立地かどうか」で考えると、潜在患者数も多く、日常的に使う動線上にあるといえるでしょう。これは大きなメリットです。
実際、歯科医院を開院すると「家賃は高かったが駅近を選んで正解だった」と感じる方も多くなります。なぜなら大きな宣伝費用をかけなくても、立地条件ゆえに自然と患者が集まる傾向にあるからです。
しかし、駅前といってもビルの上階、いわゆる「空中階」であると患者からの目に留まりずらく患者を誘引するまで至らない物件もあります。
駅前でも1階の物件は、日常的に使う動線に面していれば、問題はないのですが「空中階」と呼ばれる物件は看板が出せる位置や視認性などをしっかりと確認してから見定める必要があります。
郊外物件のメリット・デメリット
一方で郊外の物件は、駅前よりは「集患力」は弱いですが宣伝広告次第で多くの集患が見込めることができます。
口コミで集まる患者さんは、男性よりも女性、またお子さんなどが多くなります。住宅街の歯科医院を訪れる患者さんは時間的に余裕がある方も多く、キャンセル率も低いのです。この点が郊外の住宅街物件のメリットといえます。
郊外型の集患のポイントについては、別コンテンツで紹介しています。
駅近物件と郊外物件の立地比較まとめ
項目 | メリット | デメリット | 集患のポイント |
---|---|---|---|
駅近物件 | 日常的に使う動線上にあることが多い 潜在患者数も多い | 賃料が高くなりがち | 看板や視認性の確保 |
郊外物件 | 駐車場完備や広い空間がつくりやすい | 集客力が駅近と比較して弱い | 宣伝広告と口コミ発生方法 |
それぞれのメリット・デメリットをお伝えしましたが「駅近物件だから」「郊外物件だから」といって、必ずしも当てはまるとは限りません。駅近・郊外のメリットデメリットだけでは判定できない他の要素も絡んでくるのです。
一つ例を分かりやすい例あげると、立地以外の集客力です。
例えば、複合施設やショッピングモールなど、立地としては郊外ですが、その場所自体に集客力があります。そうなってくると「駅近だから〇〇」「郊外だから〇〇」といった判断基準が異なってきますね。
極端な例として複合施設をあげましたが、一般的に考えられる「メリット・デメリット」を知った上で、開業場所を探す際の参考にしていただければと思います。
今回は、駅近と郊外でポイントを比較しましたが、テナント開業の場合のタイプ別についても紹介しています。
また、歯科開業トピックス以外でも、インサイトで取得した「歯科医院におすすめの物件」の流通物件情報の一部をWEBで掲載しています。
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