歯科医院の開業を決断してから、医院名をどうするか?今からワクワク悩んでいらっしゃる先生もいるかと思います。しかし、「せっかく考えた医院名が使えない?!」なんていうことも起こり得ます。
歯科医院の医院名のつけ方にも規則があるので、名前の決め方の具体的なアドバイスとともに、その他にも必要となる基本の準備物(医院理念やプロフィール)についてまとめました。
歯科医院の名前の考え方
医院名の付け方も、一定の規則があります。
- 患者さんにとってわかりやすい名前であること
- 医療広告規制により使用が認められないもの以外の医院名であること
名前を決めるのにはこの2点に注意が必要です。
医院名をつける時の注意点
難しい漢字やなじみの薄いカタカナ語を使うと人に覚えてもらいにくくなりますし、近くに似たような名前の医院があると地域の患者さんが混乱してしまうので、見分けやすいように名称の差別化が必要です。
また、これらに気をつけて名前をつけるだけでなく、保健所へ歯科診療所の開設を届け出て受理される内容でなければなりません。
第3条 疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。
2 診療所は、これに病院、病院分院、産院その他病院に紛らわしい名称を附けてはならない。
医療法
上記の通り、歯科医院の診療所の名称について、医療法で、類似名称の使用制限があります。
紛らわしかったり、広告となる診療所の名称はNGとされており、患者さんが歯科診療を行っている場所であると認知できる内容にしておかなければ、開設届が受理されないであろうことが伺い知れます。
こういわれてもピンとこないかもしれませんが、例えば自分の名前を冠につけて「○○クリニック」という名前を付けた時、近くに同名を冠にした「○○歯科医院」が存在すると、保健所の相談で変更をすすめられる場合があります。
また「第一○○~」や「○○センター~」などといった名前などは、地域で一番という意味で広告目的であると受けとめられることがあり、医療広告規制の観点から、同じく変更をすすめられる場合があります。管轄の保健所によっても判断が異なるので、医院名の候補を決めたら早めに保健所に相談し、確認を取っておきましょう。
医院名からうける印象
医院名のつけ方の注意点をお話ししましたが、併せて考えておきたい点としては、医院名の印象です。声に出した時の語感や目で見た時の印象で参考になりそうなものを紹介します。
医院名の印象①音の印象
- 濁音→ダイナミックな印象
- 半濁音→軽快でソフトな印象
- 擬人化(○○くん、○○ちゃん)→親しみやすい印象
医院名の印象②見た目の印象
- 漢字のみ→重厚で固い印象
- カタカナ→斬新な印象
- ひらがな→ソフトな印象
- ローマ字→知的、技術的、機械的な印象
医院理念について
医院名を考える他にも、考えておく内容としては医院理念があげられます。
医院理念はなぜ必要か?
何のためにどういった方針で、歯科診療を行うのかを明確に定めたものが「医院理念」です。
ホームページや院内掲示に出すことで、地域にどういった医院であるのかを知ってもらえるのと同時に、歯科医院を経営する自分の行動指針にもつながります。
明確な目標が定まっていれば、スタッフさんたちも同じ方向に向かって行動することができますし、もし院内外でトラブルが起き、診療に対するモチベーションや方向性を見失った時、原点に立ち返り、問題を解決するための指標ともなります。長い開業人生、いざという時に道を切ひらくためには、拠り所となる医院理念を決めておく必要があります。
医院理念を見る人と、それぞれが医院理念に対し持つ意義は以下のようになります。
見る人 | 医院理念の意義 |
---|---|
自分 | 経営の理念・行動指針 |
スタッフさん | 行動指針 |
患者さん | 医院の姿勢を把握・医院/診療への信頼 |
地域の人 | 医院の姿勢を把握・医院への信頼 |
先ほども述べましたが、自分やスタッフだけでなく、患者さんや歯科医院の情報を目にする地域の人の目も気にしなくてはなりません。それを見た人が医院への信頼を持ち、実際に来院するモチベーションにもなるからため、医院理念は重要な存在になっていきます。
医院理念の考え方
医院理念の作り方は至ってシンプルです。先ほどお伝えした通り、見る人に向けたそれぞれの視点を意識して、下記の点をまとめます。
- どういった目的でその医院が存在するのか?
- 何を考え、診療するのか?
- その実現のために、何を重視しているか?
これらを箇条書きで問題ないので、医院理念として、分かりやすくまとめましょう。医院の治療に対する考え方や、方針をシンプルかつ明確にすることが重要です。
念願の開業、初めての医院経営となると、躍起になってアレコレと盛り込みたくなりますが、医院理念と実際の医院のあり方が違うと患者さんは不審を覚え、そのウワサを聞いた地域の人の信頼も揺らいでしまいます。雑念はそぎ落とし、見る人に伝わりやすく、かつ必ず実践できる内容にするように心がけましょう。
最近は医院理念という形ではなく、診療コンセプトとして広告物に掲載することも多くなってきました。医院をアピールするキャッチコピーの基になるように、ある程度考えておくと、広告物やWEB制作を行う時も進行がスムーズになります。
プロフィール表作成
次に、一緒に準備をしておくと役立つものは、プロフィール表です。
履歴書と併用することもありますが、ここで言うプロフィールとは、先生自身の診療の来歴になります。お名前、生年月日、出身地、卒業大学、勤務先、専門医資格、所属学会、所属スタディグループなど、印刷物や看板に掲載することで患者さんはどんな先生に診療をしてもらえるのかを知ることができます。
プロフィール表や履歴書を予め用意しておくと、その後の利用の時にプロフィール表を共有すればいいので、関係各所とのやり取りもスムーズになりますね。
ただし、ここで作成したプロフィール表の表記をそのまま広告へ使う場合、表記によっては医療広告規制にひっかかる場合もあるので、注意が必要です。
以上、歯科医院の基本となる医院名のつけ方や医院理念、プロフィール表についてでした。
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