歯科開業全般

臨床研修修了登録証が開業に必須?日頃あまり意識されていない臨床研修修了登録証の取り扱いについて

歯科開業時の臨床研修登録証の取扱いについて
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歯科大学卒業後に臨床研修を終えてから取得する「臨床研修修了登録証」は、歯科開業時に必要な書類です。しかし、いざ開業となった時に「書類が手元にない」というトラブルも稀に見受けられます。そこで、「臨床研修修了登録証」の取得方法と、歯科開業でいつ・どのように必要になるのか、使用例やトラブル事例を交えご説明します。

臨床研修修了登録証の取得方法

臨床研修修了登録証の交付概要

2004年(平成16年)以降、診療に従事する歯科医師は1年以上の臨床研修が必修となり、履修要件や研修修了の証明については法律で以下の様に定まっています。

第十六条の二 診療に従事しようとする歯科医師は、一年以上、歯学若しくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生労働大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を受けなければならない。

第十六条の四 厚生労働大臣は、第十六条の二第一項の規定による臨床研修を修了した者について、その申請により、臨床研修を修了した旨を歯科医籍に登録する。

2 厚生労働大臣は、前項の登録をしたときは、臨床研修修了登録証を交付する。

歯科医師法

臨床研修の修了が認められると臨床研修施設から「臨床研修修了証」が交付されますが、この写しを始めとした必要書類を揃え、臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局に申請すると、研修修了の歯科医籍登録と共に「臨床研修修了登録証」が本人宛に郵送で交付されます。

必要な書類は以下の通りです。

臨床研修修了登録証の申請に必要な書類

臨床研修修了登録証の申請に必要な書類

1.申請書(※定額の収入印紙を貼付)
2.臨床研修修了証の写し(A4サイズ)
3.歯科医師免許の写し(A4サイズ)
4.臨床研修修了登録証送付用封筒(※定額の切手を貼付)
※定額は申請年度に応じた厚生労働省の情報(厚生労働省 歯科医師臨床研修制度)をご参考にして下さい。

状況により「臨床研修修了証」受領後すぐに「臨床研修修了登録証」の申請をしない方もいらっしゃいますが、歯科医師として診療を行い働くためには必ず「臨床研修修了登録証」が必要になるので、手続きを忘れない様に注意しましょう。

臨床研修修了登録証申請の注意事項

氏名・本籍地の変更

「歯科医師免許」取得以降、婚姻などにより氏名・本籍地を変更した場合には、「臨床研修修了登録証」と「歯科医師免許」の内容が一致せず登録証の交付がすぐには受けられなくなります。氏名・本籍地の変更がある場合には、「臨床研修修了登録証」交付申請の前に、歯科医籍の登録訂正を行う様に気を付けましょう。

受領住所の変更

登録証が届くまでに引越しなどで申請者の住所が変わると、登録証が地方厚生局に返送されてしまうトラブル事例があり、厚生局で注意喚起を行っているケースもあります。受領できる住所記載を心掛けるのは元より、どうしても後から住所変更が必要な場合には、郵送の転送サービスなどを利用するのも一つの手段です。転送サービスについては下記で解説しているのでご参考にして下さい。

交付スケジュール

「臨床研修修了登録証」の交付申請後、登録証が発行されるまで概ね2~3ヶ月ほど時間がかかります。管轄の厚生局や繁忙期によってもスケジュールが変わるので、正確な発行時期については申請先の地方厚生局に状況を確認すると良いでしょう。

臨床研修修了登録証が必要な場面

歯科開業で「臨床研修修了登録証」が必要になる場面は次の2点です。

  • 歯科開業の届出を提出する時
  • 歯科開業に向け勤務医を採用する時

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯科開業の届出を提出する時

歯科開業時には保健所に開設届を出す必要がありますが、添付書類として臨床研修修了登録証の写しも提出する事になっています。

臨床研修修了登録証の写し
東京都中央区 診療所(歯科診療所)開設届

上図は東京都中央区の開設届用紙ですが、管理者の臨床研修修了登録証は原本照合も必要と記されています。この様な場合には、届出時に原本も忘れず持参しましょう。

自治体により開設届時に臨床研修修了登録証の原本照合が必要であったりそうでなかったり、取扱は様々です。WEB案内の情報で分からない事があれば、届出前に保健所に必要事項を確認しておきましょう。

歯科開業に向け勤務医を採用する時

過去に臨床研修修了登録証(=歯科医籍登録)を得ずに診療に従事している事例があった事を受け、厚労省から以下の通知が自治体宛に出ています。

臨床研修を修了した者であることの確認等について

1 臨床研修を修了した者であることの確認について

医療機関等が診療に従事させる目的で医師又は歯科医師を採用する際には、各医療機関等において、次に掲げる方法等により臨床研修を修了した者であることの確認を徹底すること。

(1)各医療機関等は、診療に従事させる目的で医師又は歯科医師を採用する際には、臨床研修修了登録証の原本の提出を求めることにより、臨床研修を修了していることの確認を行うこと。

(3)採用の時点において臨床研修修了登録証の交付を受けていない医師又は歯科医師については臨床研修病院等が交付する臨床研修修了証等の原本を確認した後に診療に従事させること。なお、この場合においても、臨床研修修了登録証の交付後、臨床研修修了登録証の原本の提出を求め、確認を行うこと。

(参考1)医師法等における規定との関係

(1)臨床研修を修了していない者が診療に従事した場合、医師法第16条の2第1項又は歯科医師法第16条の2第1項の規定に違反し、行政指導や戒告等の処分の対象になり得ること。

なお、この「診察」には、医療機関で医業を行う場合のほか、検診又は検診の場において医業を行う場合も含まれる場合であること。

平成26年5月28日 厚生労働省医政局通知より抜粋

上記にある様に、医療機関で歯科医師を採用する際には、必ず臨床研修修了登録証の原本確認を行い、法令遵守を心掛けましょう。

歯科開業時のトラブル事例

採用される側にとっても医療機関に提出する必要のある書類ですが、提出後に勤務先に預けたままになっており、勤務先を退職し新たに自分のクリニックを開業する際、手元に臨床研修修了登録証の原本がないというトラブルが度々見受けられます。入職時には原本確認する法的義務があるので医療機関も預かる事を忘れませんが、退職までに返却しそびれるケースは往々にしてある様です。退職までに必ず手元に書類が戻る様に、ご自身でも気を付けましょう。

例外事項

臨床研修修了登録証は2004年(平成16年)からの制度なので、2004年4月1日までに歯科医師免許を取得した方は対象に含まれません。

(参考2)臨床研修を義務化したときの経過措置

(2)臨床研修を義務化した歯科医師法改正の施行日(平16年4月1日)時点において現に歯科医師免許証を受けている者及び施行日前に医師免許の申請を行った者であって施行日後に歯科医師免許を受けた者は、臨床研修を修了した旨の医籍への登録を受けた者とみなすこととされた。

平成26年5月28日 厚生労働省医政局通知より抜粋

免許の取得時期によって臨床研修修了登録証の確認が非対称となる方もいるので、採用時にご注意下さい。

「臨床研修修了登録証」の取得方法・利用シーン・トラブル事例などについて簡単にご説明しました。

当社では様々な形で歯科開業支援サービスを行っておりますので、歯科開業でお悩みの事がありましたら、お気軽にお問合せ下さい。

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