歯科開業全般

歯科医院を開業したいけど、保険ってどうするの?よく検討される5つの保険

歯科開業で検討する保険
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一口に保険と言っても、様々なものがあります。

その中から、歯科医院を開業し経営していくにあたって検討が必要な保険を紹介していきます。保険についての分類は様々な観点から分類されることが多いですが、今回は公営保険と民間保険の分類でお話ししていきましょう。

スタッフの社会保険はどうするの?公営保険

公営保険とは、国や地方自治体などの政府が運営する、社会政策や社会福祉として実施される保険のことをいいます。(経済政策としての保険もありますが、今回は割愛します。)

ここでよくご質問頂くのは、「スタッフの社会保険をどうすればいいのか?」といったお話しです。

社会保険には、医療保険、雇用保険、年金、労災保険、介護保険などがあります。

どれも、国民が自分の身に何かあった時にその暮らしを支える役割を果たすようにと政府が設置した制度で、働いていない場合は個人で手続きや支払を行いますが、働いている場合は勤め先の企業が手続きを行ったり支払を分担したりします。中でも、医療保険、年金に関しては条件に応じてさまざまな種類があり、判断に迷うところです。公営保険についてはこの二つに重点を置いてお話します。

医療保険

従業員5名以下の自営業の場合、従業員が加入する医療保険は「国民健康保険」になります。

診療所などで医療行為を受けた時、その3割を自己負担、残りを国が負担してくれる保険制度で、20歳以上で他の健康保険制度に加入してない人は必ずこれに加入するように決められています。保険証の発行は市町村が行っており、保険料率も市町村ごとに決められています。

従業員5名以上(または法人)の場合は「健康保険」への加入が必要です。医療の自己負担は同じく3割、保険証は健保組合や社会保険事務所で発行しており、給与額に応じた保険料の支払いが生じます。国民健康保険と違い、保険料の支払いは従業員と会社の労使折半、「傷病手当金」や「出産手当金」の補償もあります。

また、歯科に特化した内容として、通称「歯科医師国保」があり、全国歯科医師国民健康保険組合で定められた要件を満たせば加入する事ができます。同業種での組合になるので、何かと頼りになるでしょう。

年金

20歳以上60歳未満の国民は必ず国民年金の加入が必要です。

従業員5人未満の自営業では国民年金への加入、従業員5名以上(または法人)だと厚生年金へ加入が必要になります。厚生年金は国民年金に厚生年金基金等を上乗せした二段構造になっており、現在では70歳未満まで加入することができます。国民年金の保険料率については毎年改定さてれているので、日本年金機構などの情報を随時チェックしましょう。

厚生年金は所得に応じた保険料率を掛け算出されるので、大分割高ですし、企業と本人双方の経費負担が生じます。しかしその分、受給する年金額も国民年金だけよりは手厚い額になります。

この点、国民年金だけの加入の場合、より安定的な老後収入を得たいのであれば個人で他の保険加入を検討する必要が出てきます。年金も、歯科特有なものでは「歯科医師国民年金基金」があります。厚生年金のように上乗せがあるので、自身や従業員の需要に応じて導入を検討してみてください。

歯科医院で社会保険を導入するとなると、経費面でおよそ3~5%ほど負担が増します。従業員5名以上の場合は国が定めた義務なので対応必須ですが、個人開業の歯科医院の場合、最初は従業員5名以下の自営業としてスタートするケースがほとんどで、この場合、社会保険の導入は任意になります。

歯科医院で社会保険を導入し、組合などに加入すれば、従業員も手厚い生活保護を受けることができるので安心して仕事に取り組むことができるでしょう。

しかし一方で、医院の経費負担増はもちろん、スタッフ側にも支払費用が発生するようになります。給与から社保の金額が天引きされると、場合によってはスタッフ本人の意思にそぐわない可能性も出てきます。地域の状況なども考慮し、慎重に検討しましょう。もし迷う場合は、懇意にしている社労士や税理士に相談してみましょう。

自分の保険は加入した方が良い?民間保険

民間の会社が運営する生命保険や損害保険など、個人の自由で加入する保険のことを民間保険や私保険と言います。

開業計画中に、「生命保険は加入した方が良いか?」というような質問もよく頂きます。

民間保険は公営保険と違い国民に課せられた義務ではないので、加入するかどうかは先生自身の自由です。しかし、月並みな言い方になりますが、生きている限り寿命はありますし、昨今は大規模な震災も続いていて、いつ何がどうなるか不安の大きな時代です。保険はもしもの時の担保なので、自身の身に起きるいざという事態に備えておくことも大切でしょう。

歯科医師の方がよく検討される民間保険は、建物の保険、生命保険、賠償責任保険などになります。

建物の保険

火災や地震など、自身の手には負えない災害に見舞われた時のための保険になります。特にSC・テナントなどの賃貸の場合、建物に対する事故はとても高額な賠償責任が伴うケースが多く、借家人賠償責任保険の加入が契約に盛り込まれている事も多いです。

しかし、加入しておけばいざいという時にとても力強い助けになるでしょう。家財を補償対象としている商品もあるので、内装・什器・備品など、設備の補償なども気になる方は加入を検討しましょう。実際に、スプリンクラーの誤作動で機器類が壊れてしまった時、修繕費を保険で賄った・・・などという話をお伺いすることがあります。

生命保険

大きな病気やケガにあうと、仕事ができなくなって収入が減るのと同時に、入院や治療費といった高額な支払が生じたりします。支出負担が大きく、治療の継続や生活の心配も出てくるでしょう。ましてや、もしそのまま亡くなることがあれば、残された家族の生活はどうなるでしょうか・・・。

そのような時の負担を和らげてくれるのが生命保険や就労不能保険です。特に生命保険は保障の手厚さに応じ、掛け金も高額になります。キャッシュフローの問題もあるので、自身や家族のライフプランに応じて検討しましょう。最近は満期支払を終えると、元本や利潤が手元に戻る商品などもあります。元気に働ける内に保険を支払い、仕事をリタイアした後の収入補填にあてるといったスタイルも一つの選択肢です。

賠償責任保険

医療行為を続けている以上、医療上やクリニック内で起きる事故に対する責任も発生します。この様な事故の補償として、医師賠償責任保険や医療施設賠償責任保険などがあり、歯科医師会、歯科保険医協会などで紹介していることがあります。

たとえば東京医師歯科医師共同組合では医師賠償責任保険が紹介されています。

医療上の事故だけでなく、診療所内で発生したケガ・食中毒なども補償する保険

東京医師歯科医師共同組合

とある通り、クリニック内で起きる事故は医療上のモノだけとは限りません。

また、医院や先生の責任になるかどうか、専門の目で見ないと不確かな案件の時もあるので、事故が起きた時は安易に示談などに応じず、保険会社の調査や弁護士に相談するなど、専門家の判断を仰ぐようにしましょう。

先生方からよく頂く質問や検討しているとお伺いする保険について5つに焦点をしぼり、お話ししました。他にも、開業した先生方の味方となってくれる保険医協会でサポートを受けている先生もいらっしゃいます。

このような保険の紹介に限らず、インサイトでは様々な開業のサポート行っております。開業について支援をご希望される方は、お問合せ下さい。

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