開業前に学んでおくべき経営学とは?知っておくと便利な考え方と必須の経営知識


開業前に学んでおくべき経営学とは?知っておくと便利な考え方と必須の経営知識

開業を意識し始めたら、まず多くの方が「どのように開業を進めるか」など開業の全体像や流れなど様々な情報を集めることかと思います。その中でも「開業後の経営に関してどうすればいいのか不安」と言う声をよく伺いますが、それを反映するように開業するにあたり経営学や経営術を学びたいという先生も多くいらっしゃいます。

もちろん、経営学をしっかりと学び身に着けることで経営が上手く行くこともありますが、経営学や経営術は知れば知るほど奥が深く、実際の経営をし始めた時に何が適切なのか分からなくなってしまう事もあります。また、理論を突き詰めることが目的になってしまって実際の開業や経営がうまくいかなければ本末転倒です。

そこで「経営者としての考え方」を身につけた上で、最低限押さえるべき経営術を学ぶようにアドバイスさせて頂くことが多くあります。どのような事なのか詳しくみていきましょう。

〇自分を見る目を意識する

歯科を開業すると、開業主である先生が医院の経営者であり、職場で一番偉い人になります。スタッフが模範とし、何かあったら判断を仰ぐ相手が経営者です。

勤務医の時、院長や役職の言う事に従い、彼らを手本として倣っていればよかったのが、今度は立場が逆転して自分が仰ぎ見られる立場になります。医院のお金や物の出入り、ちょっとしたトラブル対応まで院長である自分が責任を持って対処しなくてはいけません。

また、その対応をたくさんの目が見ていて、追従・批判の対象になります。その事をよく意識して行動しましょう。

上の立場にある人間の横暴なふるまい・迷いのある態度などは周囲の人を不安にさせます。自分が下の立場でみたらどのように思うか、という客観性も合わせ持つと良いかもしれません。スタッフマネジメント、人心の把握も経営をうまく進める上で大切な事なので覚えておきましょう。

〇公私混同せず、誠実に

経営し儲かるようになると、経営に対する姿勢が緩みがちになります。例えば、節税のために資産を経費に繰り入れるなどの公私混同は控えましょう。

健全な運営を続けなくては、役所から調査や指導を受けたり、金融機関から追加の融資が貰えなくなる事もあります。その為にも、開業前から医院経営の理想を決め、真摯に実践していきましょう。謙虚さ、素直さがなければ公正な経営はできませんし、身近な協力者やスタッフ、患者さんなどといった人もついてきません。

〇経営者としてのバランス感覚を持つ

歯科医院を開業すると、経営者であると同時に一人のドクターとしても診療にあたる事になるでしょう。医療人の理想としては患者さんを大事にし、1件の診療時間はできるだけ丁寧にじっくりと診療したいところですが、経営者として考えるとこのような採算度外視の方法は難しくなります。

特に保険診療の収益を主体とするならば、1人20~30分程度で進めていかないと採算が合わないこともあり、今後の事業展開が苦しくなるでしょう。もちろん、診療に携わる医師としての姿勢も大切ですが、経営者としてのバランス感覚も持つように心がけましょう。

〇財務諸表を読めるようにしよう!

以上のような経営者としての心の持ちようの他に、実践的な経営知識として最低限PL・BS・CFは押さえておきましょう。細かい事は税理士事務所や会計士の方に任せるとしても、経営者たるものざっくりとでもいいので自分で財務諸表を読み経営方針を打ち出せなくてはなりません。

・PL(損益計算書)
・BS(貸借対照表)
・CF(キャッシュフロー計算書)

PL(損益計算書)

PLは経営成績を記した表で、これを活用すると年間の目標が立てやすくなります。下図のように、売上がいくらか、それに対する費用と差し引き利益がいくらになるのかを示しています。

PL(損益計算書)

PLで計上する費用の内、売上の変動に比例して増減するものを「変動費」、比例しないものと「固定費」といいます。個人経営の歯科診療所であれば売上に対する変動比率(材料費+技工費)は15%前後、人件費を含む諸経費費用は大体55~60%くらいになるでしょう。

最終利益は25~30%程度で、費用の内訳はクリニックによって様々です。例えば自費診療がメインであれば人件費を抑えたり、逆に保険診療がメインであれば人件費に比重を置いたり、良い立地のテナント開業で賃貸費用が多くかかる場合もあれば、賃貸費用を抑えネットなど宣伝広告費に大きく投資する場合もあったりと、診療スタイルや集患方法などによっても内訳が変わります。

また、何に費用を使い何で収益が上がっているのかを見れば、利益を出す為の対策ポイントも見えてくるでしょう。

BS(貸借対照表)

BSでは医院の財政状態が分かります。資金をどう調達し、何に投じているのかという事を表わしています。

BS(貸借対照表)

BSは上図のように資産・負債・純資産で構成され、資産=負債+純資産となります。医院の利益を増やすには、負債・純資産を資産に変え資産で売上を作って利益を生み、増えた利益は純資産として資産を増やし、その資産でもっと大きな売上を作って…というサイクルを繰り返していく必要があります。

この内、自己資本(純資産)の比率が高いほど経営が安定し倒産しにくい会社になりますし、逆にマイナスであれば倒産の危険性があると判断できます。

また、売上の入金・費用の振込は後日行うなどといった事があると、PLで計上した売上額と手元現金額がイコールにならない事もあります。手元現金がなければ支払が滞り倒産の危機を迎えるので、手元現金についてもCFで常に把握しておきましょう。

CF(キャッシュフロー計算書)

CF(キャッシュフロー計算書)については「歯科医院のキャッシュフローの考え方と計算方法」でお話しているので説明を割愛します。

ざっくりとではありますが、開業前に知っておく必要のある最低限の経営知識と心構えについてお話しました。開業に向けて事業計画を立てるには、特に後半の経営知識は必要になるので覚えておきましょう。

また、他にも医院の経営に役立つ知識や指標などを紹介しているので、こちらもご覧ください。

歯科医院のキャッシュフローの考え方と計算方法
歯科医院の労働分配率の見方と考え方
歯科医院の財務分析をしてみよう!財務分析の考え方
経営指標を考えよう!歯科医院で目指すべき数値とは??
利益を圧迫する経費が生まれる原因と対策まとめ!
開業医が意識しなくてはならない実来院数・点数って実際どのくらい?

経営学や経営の知識については経験がないと中々理解しにくい内容かもしれません。もしご自身の開業に不安な点がありましたら、まずは一度当社までご相談下さい。ご相談は無料で受け付けております。

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