別記事でも、歯科医院で使える助成金や補助金について紹介してきました。
今回は東京都で開業した歯科医院向けの奨励金を紹介します。また、奨励金を受給するには様々な準備や書類作成・提出が必要になります。煩わしい書類作成や届出などを支援してくれるサポート企業のご紹介も可能ですので、お気軽にお問合せください。
東京都の働き方改革に伴う奨励金の概要と条件
今回紹介する奨励金は2019年度の、東京都の働き方改革に伴う奨励制度です。新たに機材購入などの必要がなく、研修受講や就業規則の改定など、働き方改革方針にのっとった労働改善を行うことで受給可能になります。
また、今回の奨励制度は、条件のハードルも高くなく、人気のため申込後に抽選があります。抽選は毎年6~10月にあり、今回おすすめさせて頂いているものを受給されると最大130万円受給できます。受給条件は次の通りです。
≪受給の基本条件≫
- 東京都で開院していること
- 半年以上「労働保険・社会保険・雇用保険」に加入している社員が2名以上いること
- 申請時に就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること
受給の基本条件の東京都で開院していることについてですが、法人事業税を支払っていること・都民税を支払っていること・東京都の医院で雇用していることに該当していれば、問題ありません。
また、上記の他にも、労働関係法令の一部を満たしていることや都税の未納がないこと、過去5年に重大な法令違反がないことなど、奨励制度によって細々とした条件があります。基本的には、本奨励制度を利用したことがなく、通常通り歯科医院を経営している医院であれば特に大きな問題はないでしょう。
歯科医院で使える4つの奨励金と受給までの進め方 2019年度版
それでは具体的な、奨励金の内容と流れを紹介しましょう。今回歯科医院で使える奨励制度として紹介するのは次の4つです。
- 働き方改革宣言奨励金(おすすめ30万円/最大70万円)
- ボランティア休暇制度等整備助成金(定額20万円)
- 育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金(定額20万円)
- 東京都働きやすい職場環境づくり推進奨励金(おすすめ60万円/最大100万円)
働き方改革宣言奨励金
この奨励金は、中小企業など規模の小さい事業所に対し、働き方や休みの改善を推進することを目的に募集されている奨励金です。働き方改革宣言奨励金には、A働き方改革宣言事業(30万円)とB制度整備事業(40万円)の2種類があります。
Bの制度設備事業は、A働き方改革宣言事業を実施した後に、労使協定や制度内容を就業規則に明文化するなど、手間が多くかかることから、A働き方改革宣言事業のみ実施されることが多いようです。今回ご紹介させて頂くおすすめ内容としても、A働き方改革宣言事業のみとさせて頂きます(もちろんご希望があれば、B制度設備事業のご案内も可能です)
A働き方改革宣言事業の大まかな流れとしては次の通りです。
<奨励制度の流れ>
①事前研修(90分)を受ける
②長時間労働の削減、年次有給休暇等の取得促進に向けた問題点の抽出
③原因分析及び対策の方向の検討
④目標及び取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)
⑤院内周知
⑥1年後に東京都から委託された社労士が訪問し簡単な面談を実施
都内で実施される事前研修を、先生(理事長・院長)もしくは雇用保険に加入しているスタッフのどなたか1名が受講します。次に、院内の問題点の抽出を行い、対策方向の検討と取り組み内容の設定(宣言書)の作成を行い、院内へ周知するというような流れとなっています。
インサイトでご紹介させて頂くパートナー企業様をご利用頂くと、90分の研修のご受講のみで、その他書類は全て作成サポートができるので、手間が少なく奨励金を受給可能です。
ボランティア休暇制度等整備助成金
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの開催をきっかけに、働く人や世代のボランティア参加を推進することを目的とされた奨励制度です。
<奨励制度の流れ>
①ボランティア休暇制度導入に向けた検討
②ボランティア休暇制度の整備
③院内周知
≪追加の条件≫
- 就業規則や規定などで、ボランティア休暇について明文化されていないこと
- 東京都のホームページで企業名等の公表に同意する
- 過去1年間に720時間を超える時間外・休日労働を行った従業員がいないこと
就業規則やその他の規定などで、ボランティア休暇を明文化していない医院向けの奨励制度で、奨励額は定額の20万円です。ボランティア休暇制度を就業規則に組込み、労働基準監督署に届出を行うことで、奨励金が受給できます。
育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金
ジョブリターン制度とは、結婚や配偶者の転勤・妊娠・出産・育児や介護などを理由に退職した人が復帰できる制度のことです。ジョブリターン制度を導入する企業や事業者を支援することで、労働者の労働環境の整備を推進することを目的とされています。
<奨励制度の流れ>
①ジョブリターン制度の検討
②ジョブリターン制度の整備
③院内周知
≪追加の条件≫
- 東京都のホームページで企業名等の公表に同意する
- ジョブリターン制度が労働協約や就業規則や規程に明文化されていないこと
就業規則やその他の規定などで、ジョブリターン制度を明文化していない医院向けの奨励制度で、奨励額は定額の20万円です。一時的に退職しなくてはならないスタッフが戻りやすくなる制度でもあるので、医院側のメリットも十分に考えられます。
東京都働きやすい職場環境づくり推進奨励金
この制度は、都内の中小企業などが育児や介護・病気治療と仕事の両立や、非正規労働者の処遇改善を図るための経費を助成し、働きやすい職場環境づくりの推進を目的とされた奨励制度です。
<奨励制度の流れ>
実施するコースや事業を選択し、それぞれのコース内容に合わせて取り組みを実施していきます。対象となるコースは次の4種で最大100万円まで受給可能です。
コース | 内容 |
---|---|
A 育児と仕事の両立推進 | ①育児と仕事の両立制度整備事業(20万円) ②男性の育児参加推進事業(20万円) ③育児中の従業員のための多様な選択肢整備事業(40万円) |
B 介護と仕事の両立推進 | ①介護と仕事の両立推進事業(40万円) ②介護離職防止のための制度整備事業(40万円) |
C 病気治療と仕事の両立推進 | 病気治療と仕事の両立に関する相談窓口を社内に設置し、 病気治療のための休暇制度を新たに整備(20万円) |
D 非正規労働者の処遇改善 | 非正規労働者の処遇改善に向けた制度、教育・研修制度、 福利厚生制度を新たに整備(40万円) |
≪追加の条件≫
- 過去1年間に720時間を超える時間外・休日労働を行った従業員がいないこと
- 知事がホームページ等で企業名、従業員数、業種等について公表することに同意している
※受講するコースによっても追加条件があります。例えば、男性の育児参加推進事業では、院内に男性社員がいることなどが条件となります。
東京都働きやすい職場環境づくりの奨励金は、最大で100万円受給可能ですが、100万円の受給を目指される場合、法を上回る育児休業制度や在宅勤務制度や介護休業制度や介護サービス利用支援制度等を新たに整備したりする必要があります。
そのため、この中でもおすすめさせて頂くコースは、2~3時間の研修2回のご受講とその他書類作成でできるのが60万円分のコースです。どのコースを選択すればいいのか?など奨励金にご興味がある方は、本ページ下部にもございますお問合せボタンより、お気軽にご相談ください。
奨励制度を利用して奨励金を受給するには
ここまで2019年度に利用可能な奨励制度を紹介しました。
今回は働き方改革に伴う奨励制度のため、労働環境の整備が主な対象となっています。今回の奨励制度を利用することで、奨励金が受給できるだけではなく、院内の労働環境も整備できるので、働くスタッフの満足度だけでなく、採用など求人募集の際にも、医院をしっかりアピールすることができるでしょう。
しかし、今回紹介したような奨励制度を利用するには、書面作成や労働環境の整備、届出、スケジュール管理など様々な準備と対応が必要になります。
インサイトへお問合せ頂ければ、就業規則の作成・変更から奨励制度利用のサポートを行うパートナー会社をご紹介し支援することも可能です。
サポートをご利用頂く場合、様々な書面の作成や届出、スケジュールの管理や労働環境整備のための実施内容など、煩わしい作業や分かりにくいことなどを全てサポートいたしますので、奨励制度利用のハードルも高くなく、安心してお任せ頂けます。
今回の奨励制度や奨励金にご興味の方は以下より、お問合せください。
お問い合わせ・ご相談はこちら
「どんな奨励制度が使えるのか?」などご状況にあわせた最新情報をお伝えします。
また、奨励金の他にも助成金や補助金などについて紹介しています。タイミングによっては、院内設備などの見直しで利用できる場合もございますので、お気軽にお問合せください。
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