歯科経営管理

歯科医院の売却でセカンドキャリアを成功させるための5つの注意点

歯科医院の売却でセカンドキャリアを成功させるための5つの注意点
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歯科開業をされた方の中で、歯科医師としての現役引退をそろそろ考えるべき時がきた、または何らかの形で歯科経営者とは別のセカンドキャリアを踏み出したい、といったお悩みをお持ちの方は、次のステージに進むために、歯科医院の売却(M&A)を検討する事もあるでしょう。

現役を引退しても人生は続くので、引退後のセカンドキャリア構想と資金準備は重要な課題ですが、歯科医院の閉院手続きには費用がかかるので、スムーズに継承または売却する事で、できる限り資金化する事が理想的なプランになります。

そこで、今回は歯科医院の売却で成功するための重要なポイントをご紹介していきます。

ポイント1:親族継承を楽観視しない

歯科医院継承者の意思をよく確認する

歯科を開業された方が歯科医院売却を考えるのには様々な理由がありますが、現場でよくお伺いするお話からは、何らかの理由で親族や後継者へ継承ができないと分かった時点で売却を決意される方が多い様です。

たとえ「子供が歯科医師なので、自分の歯科医院を継がせよう」という心づもりでいても、相手の人生にも独自のライフプランや生活様式があるので、その時々の家族の状況(配偶者の仕事・子供の学業環境)などによって、ライフプランの書き換えを余儀なくされ、初めは親の歯科医院を継ぐつもりでいても、いざ親の引退が見えてきて継承が具体的な話になってきた時に、継げない状況になってしまったという事もあり得ます。

この様に、親族継承は過去のやりとり内容を楽観視する事なく、継承者の歯科医師としてのライフプランをある程度想像しながら、定期的に相手の意思や状況を確認し、いつ・どの様に継承していくか具体的に話し合っていくと良いでしょう。

歯科医院売却も同時に検討していく

いざ自分の引退を目の前にして、歯科医院継承が具体的になった段階で、継承者が医院を継げないと言い始めた…というトラブルは誰しにも起こり得ます。

たとえ親族継承をする算段があったとしても、そのようなリスクも考慮して、第三者継承や売却についても同時進行で考えておくと良いでしょう。

杞憂に終わればそれに越した事はありませんが、もし引退目前にいきなり継承ができないという話になってしまった場合、予備のプランを準備しておかなければ閉院するしか選択肢が無くなる事もあるので、注意しましょう。

ポイント2:早めに計画し準備を進める

歯科医院売却に使える体力を意識する

歯科医院を売却する場合、事前準備や売却先探し・交渉に数年~10年単位で時間がかかるケースも往々にしてあり、その時の自身の年齢や健康状態によっては体力がついていかず、何もできないまま門外漢の親族に医院の処分を任せる事になり、相続者を悩ませてしまう事にもなりかねません。

そのため、売却については早めに準備を始めるに越した事はなく、体力面に問題がない内に終わらせる事を意識した方が良いでしょう。

現役引退を考えての売却計画は早い方で40代から始められている方もいらっしゃいます。自分は健康でまだまだ働ける、と思える内は中々行動に移しにくい事柄ですが、家族やスタッフ、地域で通ってくれる患者さんのための事を考え、いざという時のために早めに準備を開始しましょう。

後継者探しに長期的ビジョンが必要

歯科の継承は、親族が後継者とならない場合、それ以外の後継者を見つけるのが中々大変な業界です。

理由の一つは、経営を志す勤務医は独立開業してしまうケースが多い事。もう一つは、開設者が開業医適正のある勤務医との共通したコミュニティに参加し、フランクに意見を交換しあう機会が中々設けにくいという点にあります。

現役の内に積極的に勉強会などを開いて後進育成に努め、付き合いを密にしながら自分の医院を継いでもらうマインドを醸成するなど意識して行動していない限り、第三者の後継者を自身で見つけるのはとても大変になります。

そのために早めにセカンドキャリアを見定めライフプランを立て、現役時代の内に後継者との接点づくりも意識していきましょう。

その活動の中で、やはり継承が困難であると感じる場合には、売却(M&A)も並行して準備し、リスクヘッジに努めるのが無難です。

ポイント3:スケジュールを守る

後継者との約束を反故にしない

後継者が親族であれ第三者であれ、「〇年後に譲る」と自分の中にあるスケジュール感を共有していても、宣言したスケジュールを守らなければ継承に臨む相手の信頼を失い、後継者としての立場を捨て、他所で開業されてしまう場合もあります。

そうなると、また一から後継者を探さなければならず、ご自身のセカンドキャリア開始が大きく遠のいてしまうので、そうならないためにも、継承に関するスケジュールや約束は必ず守る様に意識しましょう。

ポイント4:売却先との歩み寄りを意識する

歯科医院の価値を把握する

歯科医院を売却する時の価格を設定する際に、ネックになるのが医院経営の会計状況です。

特に個人立のクリニックの場合、運営資金と個人財産が明確に区分けされていな事が多いので、早い段階で会計士などに相談し、事業用財産をクリアにしておきましょう。

この準備が整ってから初めて、時価純資産・営業利益を割り出し、クリニックの売却価格を算出する事ができます。

今すぐ売却を考えなくても、日頃からこうしてクリニックの価値を客観的に把握する習慣を持っていると、経営の透明性・健全化にもつながりますし、いざ売却という事になっても慌てずに済みます。

歩み寄りのポイントを探る

売却する歯科医院の価値と、購入者の評価がマッチングすれば売却(M&A)が成立しますが、なかなか両者合意に至らず、交渉が物別れに終わるケースも少なくありません。

自己評価と客観評価のギャップは、売却を考える年齢が早いほど大きくなる傾向があります。

早期売却を考えるのは、体力的に比較的余裕がある若い方が多いので、売却価格に営業権の年数を多く見積もり、提示する買収価格が高額になりがちです。

歯科医院の適正な売却価格を見極める事はもちろん必要ですが、もしなかなか売却先が決まらないと悩んでいる場合には、自分が何をゴールに考え売却(M&A)を成功させたいのか、相手にとって買収価格に見合った付加価値を提供できているか、という事についても振り返り、可能な落としどころを模索してみると良いでしょう。

ポイント5:売却を見越した投資を考えてみる

単純に売却益を大きくしたいと考えるのであれば、更なる投資を行うというのも一つの手です。

価格が妨げとなって売却先の決定が難航するのであれば、新規のグループ医院を開設したり、利益の高い医院を買収して傘下に収めるなどして、売却する歯科医院の企業価値を高める方が、購入条件にマッチングする相手を探すだけより短期間で成果を上げる事もあります。

いわゆる投資ファンド的手法で、成功させるためには経営・売却にかなりの時間を割く事になるので、ご自身の手に余りそうであればM&Aアドバイザーなど専門家の手を借りると良いでしょう。

歯科開業支援コンサルティングを行っているインサイトでは、歯科医院の売却(M&A)の支援実績もございます。売却についてお悩みのある方は、フォームよりお問合せ下さい。

親族継承や他の後継者への継承など、歯科医院の継承全般については「歯科医院の継承が増える時代に知っておくべきこと」で詳しくご案内しています。

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