歯科開業全般

歯科医院の継承が増える時代に知っておくべきこと

歯科医院の継承が増える時代に知っておくべきこと
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日本の少子高齢化が加速する中で歯科医師の高齢化も進み、歯科の開設者総数56,800人の内、60歳以上の割合が約5割を占め、今後現役をリタイアされる方の急激な増加が予想されます。(参考:厚労省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(令和4年)

そのような背景に伴い、現場でお話をお伺いしていると、歯科開業については新規クリニックの立ち上げの他に、継承についてお悩みの先生も大分増えてきました。

そこで、親族や勤務先の医院をどの様に受け継いでいったらよいのか?というお悩みの方に向けて、改めて歯科医院継承の考え方や注意点などについてご案内します。

歯科医院継承の種類

歯科医院の継承と一口に言っても、様々なケースがあります。

現役リタイアを見据えた親と一緒に働きながら地域の患者さんの診療を途切れさせる事なく継承する場合や、長らく勤務していたクリニックを院長先生の意向で譲り受けるなど、状況は人によって様々です。

その中でも共通したメソッドやポイントがいくつかあるのでご紹介します。

歯科医院継承の考え方

歯科医院継承の利点

日本で歯科医院を継承するとなると、次世代の家族や、長年勤務してくれた次世代リーダーに引き継ぎ、医療サービスを引き続き提供するケースが多く見受けられます。

この場合、経営者の交代は家族や、それに等しい知己の内で行われるので、クリニックの運営方針や環境の変化は比較的少なく済むでしょう。それ故に、継承するクリニックと地域の患者さんが良好な関係を築いてきた場合には、新たな経営者に変わるとしても、しかるべき告知や手順を踏む事で、クリニックと患者さんの信頼関係は比較的維持しやすい傾向にある事が利点です。

低コストに囚われず、費用対効果を念頭に置く

その一方で、歯科医院の継承では、土地や建物、機材などを引き継ぐ事になるので、新規開業より初期費用が安く済み、全体的に低コストで済むのでは?と思われがちです。しかし、リスクを把握せずに踏み切ると、新規開業より返ってコストがかかってしまった、という結果に陥る事も間々あります。

また、「低コストで歯科医院を開業する4つの方法」でも解説していますが、居抜きや継承の開業では収益性が大きなカギを握るので、コストを安く抑える事ばかりにとらわれず、コストパフォーマンスを重視する事が肝要です。

歯科医院継承の注意点

親世代の歯科医院を継承する場合

親世代からの歯科医院を継承する場合、開業当時に比べマーケットや資産内容も遷移しているので、継承の前に地域の歯科医療ニーズ、設備の状態(修繕・買い替え・譲渡代等の検討)、スタッフが残ってくれるかどうかなどの課題を洗い出しておく必要があります。その上で、新規開業とどちらにメリットがあるのかを検討しましょう。

親族での歯科医院継承」でご紹介している7つのチェックポイントを参考に、ご自身のケースの継承にメリットがあるかどうかをまずはご判断下さい。

継承と新規開業どちらにメリットがあるか?という点について比較検討するためには、新規開業の概要についても把握しておく必要があります。

近年の開業傾向、開業する場合・しなかった場合それぞれの良否、継承以外のメジャーな開業方法にはどのような形態があるか?など、以下の記事で系統別に分かりやすくご紹介しています。

土地を継承し歯科医院を造る場合

土地を継承し建物を新築する場合、建築の段階から携わるので理想の医院を作りやすいメリットがある一方、相続税(または適正な売買価格)・高額な建築資金・毎年の固定資産税がかかるので、歯科医院を経営する中でそれなりの固定資を支払う必要があります。また、歯科用の建築物は売却・賃貸などの転用が難しくなる事も頭に入れておきましょう。

加えて、受け継ぐ土地が必ずしも集患できる立地とは限らないという点にも注意が必要です。立地に収益性がないと判断された場合は、改めて自分の開業をどうしたいかプランを見直す必要も出てきます。

土地を継承し開業する場合の詳細な注意点やプランの見直し方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

歯科医院継承の方法

歯科医院継承の手続き方法

個人立クリニックの継承では様々な機関への届出が必要になります。特に、生前継承では診療所の廃止・新規開設手続きをする必要がありますが、事例によって保険診療の遡及処理が認められる制度もあり、手続きのタイミングを上手く合せると、途切れる事なく保険診療を継続する事が可能です。具体的な手続き内容・期限については以下の記事で解説しています。

歯科医院継承をスムーズにする法人化

歯科医院の事業継承をスムーズに行いたい場合には、生前に歯科医院を法人化し、譲り受ける相手を役員にしておくという手段もあります。

法人化しておけば役員を変える事で財産を引き継げますし、相続税も発生しないので、将来的な歯科医院継承を見据えて法人化を行うクリニックも最近増えてきています。

法人化は手続きが煩雑で時間もかかるので、メリット・デメリットをよく考えて採択すると良いでしょう。法人化で解決できる課題や、設立前にチェックすべきポイントを以下の記事でまとめているので、ご参考にして下さい。

歯科医院継承者が見つからない場合

家族などを始めとした継承者が見つからない場合は、売却・譲渡や、閉院といった選択肢についても検討する必要が出てきます。それぞれ、以下で詳しく解説しています。

歯科医院の継承の考え方や注意点についてご案内しました。

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