歯科医院を経営する際には、コンスタントに利益をあげることが大切なのはもちろんですが、経費を抑えることも必要です。
ただし経費にも「かけるべきコスト」と「抑えるべきコスト」があり、何でもかんでも抑えればよいというわけではありません。
一方で「かけるべきコスト」だったとしても、結果利益を圧迫しているならば、見直す必要があるのも事実です。いざ開院してから想定外だった…とならないよう「利益を圧迫する経費が生まれる原因は何か?」「生まれないようにする対策とは?」の2点について考察し、まとめてみました。
コストについて考える前に、医院のキャッシュフローがどうなっているのかを把握しておくことも大切です。歯科医院のキャッシュフローの考え方と計算方法については、別記事で紹介しているのでそちらをご覧ください。
それでは早速コストをテーマにお話ししていきます。
経費として最も高い人件費は、かけるべき?抑えるべき?
経費の中で、もっとも割合が高いのは「人件費」でしょう。
しかし歯科医院にとって、できる人材は「財産」ともいえる存在。かけるべきコストのひとつです。そうはいっても、利益に見合わない人件費をかけ続けるのは、自分の首を締めるようなもの。
そこで目安を知っておくことが必要です。
医院の経営方針にもよりますが人件費の目安は、「売上の20~25%程度」を基準に考えておくとよいでしょう。
多く見積もっても30%程度で、それを超える場合は人件費のカットを考えなくてはいけません。逆に15%を切っている場合は、適切な人件費が支払われていない可能性があるので、注意が必要です。
抑えるべきコストは日々の努力と見直しでカバーできる
単純に抑えるべき、抑えることができるコストといえば、次のものでしょう。
・水道光熱費
・通信費
・消耗品費
・事務用品費
・旅費交通費
・余剰在庫などの材料費
患者さんに気持ち良く病院に来てもらうためには、院内環境を整えることも必要ですから、エアコンなどを極端に節約する必要はありませんが、スタッフ内で節約できるところは節約することも大切です。
ただしその場合、院長が率先して行うことが重要。院長は消耗品や事務用品、旅費交通費などをバンバン使うのに、スタッフには節約するよう促す…などというのは、スタッフの働く意欲を削ぐ行為なので逆効果になります。
院長とスタッフが「利益を上げるために必要なこと」と意識することができれば、自然と経費を抑えられるようになるでしょう。
また、よく伺う例としては、材料などの在庫の余剰や誤発注などによるコストです。歯科医院の在庫管理については別記事で紹介していますのでそちらをご覧ください。
さらに、使っているものや契約を見直すことでコストを抑えることも比較的すぐに対応できます。インサイトで展開している歯科業者一括デモサービスでは、歯科医院の開業時だけでなく新規導入や見直しでも、導入サポートを行っておりますので、ご検討中のものがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
適切な利益について!売上に対して経費(コスト)は何%が適切か?
経費が圧迫して利益が上がらない…と嘆く前に、適切な利益とは何%か?についても、考えてみましょう。歯科医院の経営方針にもよりますが、売上に対して25~30%の利益があげられれば合格点といえます。
「うちの利益率はもっとすごいよ!」という場合、自費治療の割合が高いなども考えられますが、「かけるべきコスト」をかけられてない場合もあるかもしれません。
利益ばかりを追求していると、優秀な人材を失くすことにつながる危険性があることや、結果的に患者さんへよりよいサービスを提供できていない可能性があることも、頭に入れておき、しっかりと見直しされてみてはいかがでしょうか。
「経費を抑えて利益を得る」。これは経営者として正しい考え方だと思います。しかし優秀な人材を確保できるということは、長い目でみて利益を生むことにつながります。
そのためには「どんなスタッフを採用するのか」「素質のある人を見抜くコツを知る」「給与の決め方」「業績成果の還元」なども必要になります。経費の話とは異なりますが、こちらも利益を上げるために大切なことです。
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