【立地Point】歯科医院の視認性と間口の考え方


歯科医院の視認性と間口の考え方

歯科医院の立地を考える時に、視認性の良い場所がより良いという事について、多くの方はイメージが付くと思います。地域の方や患者さんに見て、認知してもらわなければ医院をアピールできません。

人が見るという特性を活かした看板の出し方や種類などは以前お伝えしていますので以下をご参考ください。

【参考】
歯科医院の効果的な看板の出し方と注意点
歯科医院の看板の種類と費用

今回は視認性と間口の考え方に着目して、物件選定時のポイントを紹介します。

○視認性とは

“目で何かを見た時に、対象物やその対象物がもつ意味合いについて、正しく確認・理解できるかどうかの度合い。”
(三省堂「大辞林第三版」)

このようにある通り、他の建物が立ち並ぶ中でも歯科医院がそこにあるとすぐに気づいてもらえるかどうかが視認性となり、視覚的に認知しやすいほど視認性が良いとされます。

簡単に言えば周りから抜きん出て目立つ・強く認識されるかどうか。それだけでも集患に大きな優位性が生まれます。(視認性を確保した後、いかにして医院を認知して貰うかについては歯科開業トピックスの広告・集患をご参照下さい。)

○間口とは

建物の正面の幅の事を言います。入口の幅ではなく建物の道路接面の幅を言い、環境にも応じますが、適切な幅にすることで店舗などは視認性を得やすくなることもあります。

それでは、視認性と間口の関係性を詳しく解説していきましょう!

見てから認知するまでの視認性と間口の関係性

何気なく道を通りすぎる時、人は、視界に入ったお店の業種・開店状況・入りやすさなどを一瞬で判断しています。その一瞬の判断に訴え掛けるには、まずお店が人の視界に入り認知される必要がありますが、この認知性には間口の広さが影響します。

それでは、人がどのように歯科医院を認識するのか、歯科医院にとって良い間口はどのようなものなのか、商圏別に考えていきましょう。

〇徒歩商圏の視認性と間口

「これが繁盛立地だ!」の著者・林原安徳氏によると、“人が、店舗や看板などを見てから、実際に購買活動を決断するまでの時間は、平均的には、人の視界に7秒以上あること”とされています。人が歩く速度を分速80mとすると、7秒で10mほどの距離になります。このわずかな距離を歩く間に、お店の様々な印象が決まってしまうのです。

このことからも分かるように、徒歩診療圏での間口は、少なくとも5mはあった方が良いでしょう。

また、人間の標準視力は1.0ですが、これは視力を測る際に使用される外径7.5mmの「C」の記号(ランドルト環)の開いている幅約1.5mmを、5mの距離から見て認識できる力の事を指します。

(参考:J-STAGE「視力検査の基準化について」 ※J-STAGEとは、文部科学省所管の独立行政法人科学技術振興機構(JST)運営の無料公開システム)

つまり、10m離れた所から人が認知できるのは大体15cm四方の文字という事になります。

一般に、ドラッグストアなどでは間口3mのかなりコンパクトな店舗もありますが、仮に3mの間口で歯科医院を建てるとして、1~2mは入り口となり、ファサード看板以外のサインは残りの壁1mほどしか使用できません。15cm四方の文字にすると6文字が限界です。

【参考】歯科医院でよくある看板の種類と費用

小売店なら間口全てを使い商品を前面に出してアピールする事もできますが、診療の来院をメインとする歯科医院でそのような事ができるはずもなく、このように間口が狭くては歩行者に認知しても対してのアピールもなかなか難しくなります。

また間口そのものが狭いと、そこが何の業種なのかを表わす顔(店舗の特徴)を作る面積が限られるので、よほどの工夫をしなければ一目で何の業種か判別できなってしまう可能性が高くなります。

歯科医院は飲食店や小売店、娯楽施設などを始めとする他の店構えの様に、店頭に特徴を出しにくい業種でもあるので、5mくらいの間口は確保して店頭の顔作りに力を注ぐと、業種の伝わり難さも解消しやすくなるでしょう。

また、間口より建物がセットバックしている場合には、看板や庇(ひさし)を利用して視認性を上げる工夫などが必要になります。他にも、段差や障害物(自転車やゴミ、柱など)は入り難さを感じさせるので、注意しましょう。

〇車商圏の視認性と間口

先ほどと同じく「これが繁盛立地だ!」の理論を借りると、車での店舗の認知は100m前から始まります。

また、運転中の車で運転手から見える範囲は、一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF)の「クルマ何でも質問箱」の速度と視野の関係を教えてください。の回答から、“注視点から視覚5度の範囲”と言われているので、プラスマイナス合わせて10度と考えると、おおよそ15m程度の間口が認識できると考えられます。

仮に車商圏で、徒歩商圏で推奨した5mの間口しか確保できていなかった場合はどうなるのか考えてみましょう。同じく5mを視野角10度で認識しようとすると、大体30mほどの距離が必要になります。それは換算すると、時速40kmで走行する場合、3秒ほどになります。

つまりは、3秒で歯科と視認してもらわなくてはならなくなります。速度と視認のバランスから考えても、車商圏の場合は徒歩と比べて間口を15mと広く必要な理由も分かりますね。

さらに、車商圏では駐車場という要素も考えなければなりません。

自分が運転する時も、狭い駐車場は入れ難くて大変ですよね。つまり、いらっしゃる患者さんの為に入りやすい駐車場を用意する、それだけの間口が必要になります。普通乗用車1台辺りの駐車場の幅はおよそ2.5m程度必要になります。何台停められるか、車いす対応が必要か、などにも応じて、必要な間口の幅の総計も異なってきますね。

また、一般的に駐車場への入り口は歩道と車道の間の縁石に切り込みが入ります。この切り込みは一般的には6mに設定される場合がほとんどですが、たとえ道路に接している間口が広くても、この切り込み幅が小さければ入車しにくいと判断されてしまうので注意しましょう。

ちなみに、歩道の切り下げは道路法第24条の定めにより道路管理者の承認が必要です。幅についても管理先ごとに取決めがあるので注意しましょう。

他にも駐車場入口に電柱がある場合は、心理的な圧迫になることも。電力会社に相談すると、電柱を移動してくれるケースもあるので、まずは管轄の電力会社などに確認をしましょう。費用がかかる場合もあるので、依頼する時は見積りなどもきちんとお願いしましょう。

商圏別の視認性と間口のまとめ

・徒歩商圏では、視認性を確保するために、最低でも5mの間口が必要
 →間口を確保していても視認性を上げる工夫が必要

・車商圏では、視認性を確保するために、最低でも15mの間口が必要
 →駐車場によって必要な間口が変わるので注意が必要

視認性と間口について、それぞれの商圏で考えるべき医院作りについて、ご参考になれば幸いです。

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