歯科医院設備・環境

歯科医院の開業時の機材選定!歯科医療機器・器材の選び方

歯科機材の選び方
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歯科の開院準備が進んでいく中で、医院の内装設計とあわせて、歯科医療機器や器材を決めていきます。ユニットやレントゲンなど高額なものは、今後の運営コストや1日に診療できる患者さんの回転効率などにも影響するので、特に注意が必要です。

それでは、さっそく器材の選び方について紹介していきましょう。

ユニットの種類と選び方

ご存知の通り、ユニットには様々タイプがあります。それぞれの種類を紹介します。

テーブルの種類

・ベースマウント
可動式のテーブルがユニット下部に取り付けられているタイプです。治療可動域が大きく取れ、治療中の圧迫感がなくデッドスペースが少なくて済む、最近人気のタイプです。患者さんの前面に大きなアームなどの取付けがない為、患者さんを前導入する動線分離タイプに適しており、モニタを前面に壁付けする事もできます。

・オーバーアーム
患者さんの左手より右手側にオーバーする形でテーブルのアームが付くタイプです。治療中は手元にテーブルやインスツルメントがあることで術者は使い易く、以前主流だった仕様ですが、アームがある分空間が圧迫されるのがデメリットです。

チェアー足元の造り

・ステップタイプ(足折れ)
日本に多いタイプです。高齢者など、足腰の動きが辛い方でも着席しやすい造りです。

・カンタータイプ(まっすぐ)
海外に多い、患者さんが全身横になるタイプの造りです。オペなど長時間の治療には患者さんにとっては楽な姿勢で治療を受ける事が出来ます。

その他

・フライングタイプ
タービンやマイクロモーターのホースは通常垂れ下がっているタイプが多いですが、テーブル上部にフライングアームが設置されているタイプもあります。ホース分の重さを感じず治療時のストレスが軽減されます。オペなど長時間の治療に向いており海外製品などには多く利用されています。

それぞれの部位でさまざまなタイプが見受けられますね。価格も300万程度の物から千万単位のものまで幅広くあります。

  • 限られた面積の中で何台置けるか(収益に影響)
  • どれくらいのコストがかかるか(開業資金内で賄えるかどうか)
  • 使いやすいかどうか(治療のパフォーマンスに影響)
  • 地域性に合うかどうか(患者さんの目線での考え方)

などが、機材選定のポイントになります。診療スタイルにも応じるので、一概のどのタイプが良いという事はありません。選ぶポイントを念頭に置き、限られた要件の中で最適なユニットを選びましょう。

レントゲン、CTの種類と選び方

開業時にはCTの導入が主流ですが、CTはレントゲンの2倍程の価格になります。CTもレントゲンも商品そのものが高額ですし、専用の区画設備とそれに応じた内装費用も必要なので、コストパフォーマンスを見越した上でそれだけの予算が出せるかどうかを良く検討しましょう。

レントゲン、CTの導入となると数百万~3千万円以上の費用がかかります。初期の開業資金で賄えない場合、リースなどの手段もありますが、その分キャッシュフローのやりくりが大変になるので、事業計画で返済プランを良く練っておきましょう。

バキューム、コンプレッサーの種類と選び方

治療となれば必ず必要になるのがバキュームです。機械室にはバキュームの他、排水分離機・エアードライヤー・コンプレッサーの取付けも必須になり専用の配管が必要になるので、内装の時によく確認しておきましょう(院内に取回すには床下の配管スペースが必要になります)

将来的にユニットを全部で何台入れるかで、開業時に導入するバキュームに求める性能や馬力も変わります。台数が多ければ馬力の大きい物が必要です。設置場所や機械室の大きさ、配管位置の問題もあるので、内装計画までに決めておきましょう。

価格帯はメーカによって様々ですが、より良いクオリティや容量を求めると数十万~百万円以上の物もあります。口腔外バキューム単体移動式だと単価約80万円、セントラルタイプで数百万円程度と院内の配管工事費が必要になります。開業時に導入しなくても将来的に入れる予定であれば先行して配管を作っておく必要があります。

モノによって静音性や清浄能力、吸引フィルタなど各性能が変わるので、自分の医院にあった物を選びましょう。

口腔外バキュームを導入し、診療報酬で初診・再診の外来環の加算対象の要件を整える方も多くいます。外来環の施設基準について「歯科用吸引装置」以外の要件については厚生労働省のホームページなどで公開されていますので、各年度に応じてご確認下さい。

オートクレーブ(滅菌器)の種類と選び方

使用済機器の滅菌を行ってない歯科医院は7割、という新聞記事が2014年以降何度か掲載された影響もあり、最近ではクラスBやタービン専用の滅菌器の導入が増えています。

日本で主流だったクラスNで20~30万円、高い滅菌力を持つクラスBで100万円程度とその差は3倍ほどにもなりますが、最近はクラスBを使う医院が多くなりつつあります。

こちらも自身の診療スタイルと予算に合わせ、適正な物を選びましょう。

超音波スケーラー・エアースケーラーの種類と選び方

振動数はエアースケーラーに比べ超音波スケーラーの方が10倍近く上で、出力が大きい分効果が大きく時間も短縮できますが、患者さんに与える刺激も大きくなります。

エアースケーラーの良い点は、出力が弱い分、歯や補綴を痛める事なく治療を行いやすいのと、電磁波が生じないのでペースメーカーを使用している患者さんにも安心して使用できる点にあります。

価格はメーカやオプション機能によって様々ですが、超音波スケーラーは30万円ほどで、エアースケーラーは20~30万円ほどになります。最近は超音波スケーラーでもエンドモードが付いて低振動で対応できるものもあるので詳しく比較してみましょう。

その他機器等の種類と選び方

レーザー

レーザーはヤグレーザー、CO2レーザーが主流になります。ヤグレーザーでは一部、保険加算対象の機種もあります。

CO2レーザーもホワイトニングや口内炎など、軟組織を中心に多様な使い方ができるので便利ですが、保険の加算対象にはなりません。それぞれ価格は300万円程度から、高い物で500万円以上になります。

マイクロスコープ

マイクロスコープは根管治療などで使用される先生もいらっしゃいますが、将来的に天井から吊るす、壁付けにするといった場合には、将来的な設置位置や補強など内装工事の問題もあるので、開業時にどうするかよく考えておきましょう。

価格は100万~1,000万と性能やメーカーにより幅広くございますので、医院で行う治療の必要性に応じて、導入を決めましょう。

口腔内スキャナー

インビザラインによる矯正治療などの普及に伴い、需要が高まっているツールです。3Dスキャナーで型どりできるタイプだと印象不要で、患者さん負担・診療時間ともに軽減できます。

スキャン速度・大きさ・重さなどにより使い易さや価格も変わりますが、概ね価格は500~600万円程かかるので、開業時の初期投資として必要かどうかは診療スタイル・事業計画に反映しながらよく吟味しましょう。

光照射器

コンポジットレジンを固める為の照射器は、今や歯科医院には必須のアイテムです。価格は数万~数十万円と幅広く、出力・形状・重さなど各商品により異なるので、手に馴染む物を選びましょう。

現在はコードレスが主流ですが、使いやすい分落とすと壊れやすい面もあります。最近は非常に安価の商品も販売していますので、それなりに良いクオリティの物と安価な物の両方を用意しておくと、どちらかが壊れても診療が継続できるので安心です。

様々な医療機器・材料などを選ぶポイントとは?

機材ごとによくある種類や選び方をお伝えしましたが、開業する医院の診療方針や医院のコンセプト、事業計画に沿っていることが全てにおいて最も重要です。

また、開業時に急いで用意していなくていい物もあります。

あれもこれもと思いのままに導入すると後々キャッシュフローで苦しい思いをする事もあるので、初めから絶対に必要でなければ、開業医院の収益が上がった後の追加購入品として検討してみてはいかがでしょうか。

まずは必要なものだけを用意し、医院の経営を安定させる事を先決にしましょう。

その為にも、資金調達時に作成する事業計画が大切になってきます。事業計画を綿密に立て、初期導入・追加導入それぞれの器材優先順位を決め、計画的に購入と資金の返済を行っていきましょう。

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