歯科の診療内容や口腔の健康管理について患者さんの理解を深めるには、言葉による説明だけではなかなか難しいものがあります。しかし、説明をきちんとしなければ患者さんとのコミュニケーションが上手くいかず、治療の離脱につながる事も少なくありません。
そんな時に役立つのが「患者説明ソフトや説明ツール」です。写真や絵、動画などで口腔内の状況や治療内容の説明があれば、患者さんの理解も深まりやすく、治療の離脱や医療トラブルの防止などにつなげていく事ができます。そこで、歯科医院ではどのような患者説明ソフトや説明ツールが導入されているのか、種類や選び方をご紹介します。
歯科で採用される患者説明ソフトの種類
歯科で採用されている患者説明ソフトには、以下のようなものがよく挙げられます。
ソフト・ツール種別 | 補足 |
---|---|
画像資料(静止画) | リーフレット・フライヤー・ポスター・デジタルサイネージ等を活用した院内情報掲示、ラミネート加工した治療説明資料など |
画像資料(動画) | アニメーション等による治療説明資料など |
ソフトウェア | 口腔内情報管理(歯式・ポケット・プラーク等の記録)・レントゲン写真・口腔内写真・患者提供文書・患者説明資料などの管理・表示・出力 ※レセコン連動タイプあり |
場所別にどのようなものが多く使われているかを紹介します。
チェアサイドの治療説明ツール
チェアサイドやカウンセリングルームで利用する説明ツールとして、最も手軽なのがA4~B4ぐらいの大きさの用紙をラミネート加工した物です。ラミネート加工で頑丈にしておけば、何度でも手軽に使う事ができます。費用も安価なので、利用しているクリニックも多いでしょう。また、費用は多少掛かりますが、患者さんに治療内容を説明するアニメーションソフトなどもあります。
どちらも、視覚を交えて専門的な治療内容を患者さんに伝えてくれるので、口頭の説明だけよりもイメージが伝わりやすく、術前合意をスムーズに進めるのに役だつでしょう。また、資料内容に一貫性があるので、伝え漏れなどの人為的なミスを軽減する事もできます。
レセコンと連携した説明ソフト
最近ではレセコンに予約・診療記録・会計は元より、画像管理・患者説明用資料の作成~出力といった患者説明ソフトも連携できる製品が出ています。
レセコンに患者さんの口腔内データを集約できるので、レントゲン写真・口腔内写真など管理が煩雑になりがちな患者データをすぐに取り出し、モニターに表示したり、用紙に出力して患者さんに提示できるので、スタッフの手間も少なく、患者さんも自分の口腔内の事を把握しやすくなります。
また、患者さん個人の口腔内情報を冊子の形で可視化できるので、それを患者さんが家に持ち帰り後から見返す事で、説明された記憶が定着しやすくなったり、その資料を用いてご家族など周囲の方に話が伝わる事で、医院の評判が広まり集患に繋がる事もあるので、それらの副次的な効果も見込んで導入する医院が増えています。
受付や待合室の情報発信ツール
治療に直結する内容ではありませんが、待合室や受付に資料を提示し、診療や口腔ケアに関する患者さんのデンタルIQを上げる取り組みも、結果的には歯科診療への理解や地域の方の歯の健康を守る事につながり、患者説明ツールの一つとして考えられます。
院内に置く情報発信ツールには、リーフレット・フライヤー・ポスター・デジタルサイネージなど様々な種類がありますが、実際には、待合室や受付にデジタルサイネージを置いたり、壁に掲示したり、カタログホルダーを利用し手に取れるフライヤーを準備したりするクリニックが多いようです。
紙媒体そのものの価格は安価ですが、医院独自のデザインを作りたい場合には外部に依頼するデザイン料も必要になるので、それなりの金額がかかります。
患者説明ソフトの選び方と導入ポイント
画像資料は個人でも準備し易いツールなので割愛し、ここでは、患者説明ソフトに関する選び方や導入する時のポイントについて解説します。リーフレットやチラシについては下記の記事でも紹介しているので、ご参考にしてください。
導入目的を明確にする
レセコンは歯科医院に導入必須のアイテムですが、患者説明のソフトウェアについては現時点で特に行政などから定められた事柄はなく、導入の有無は経営者の自由に決められます。特にレセコン連動型システムを導入する際には、選び方次第ではレセコン導入費用より高価になる場合があるので、何のために導入するのかという点を明確にし、運用コストも事業計画に盛り込んでおきましょう。
患者説明のソフトウェアを導入するメリットは、
(1)近隣競合との差別化が図れる
(2)患者さんのロイヤリティ向上
(3)スタッフの業務効率化及びモチベーションの向上
などが挙げられます。
特に少子化が進む昨今、患者さんを確保する為に、ロイヤリティの向上はどの医院でも喫緊の課題になっています。ご開業する環境にもよりますが、周辺に競合が多い場合などには特に意識されておくと良いでしょう。
診療スタイルに合う物を選ぶ
患者説明のソフトウェアは使いこなせれば便利なツールですが、医院の診療サイクルに上手く組み込めなければいたずらに高い費用を払うだけで終わってしまうので、自分の医院の診療スタイルに合うかどうかをよく吟味されてください。
実際には先生が、ご勤務されていた時に扱った事のあるソフトウェアだと操作が分かりやすく、導入し易い傾向にあるようですが、各メーカーとも年月と共に内容が進化しているので、開業時に改めて主要メーカーのデモに参加したり、実機に触れたりする事をお勧めします。
レセコン連動型のツールは導入したら終わりではなく、使用方法をスタッフに浸透させる必要があるので、スタッフ研修のし易さや・メーカーのサポート状況なども含め、自分の医院にあう物を選ばれてください。
患者説明ソフトは単体で利用するものもありますが、レセコンと連動させるとオペレーション効率が飛躍的に上がるので、自分の医院で運用する場合の費用対効果を考えて選択なさってください。
導入時期について
ソフトウェアの種類にもよりますが、診療ルーティーンに大きく関わる様なものを新規で導入する場合には、できる限り開業時から導入する事を強くお勧めします。途中から導入した場合、スタッフが慣れるまでに時間がかかったり、結果的に使いこなせずにいるというお悩みをよく伺うことがあるので、この点についても注意が必要です。
データ連携について
インサイトでご紹介しているレセコン連動型の患者説明ソフトは、レントゲンなど歯科医院で導入している他ツールと大体データ連携ができるので、各クリニックで安心してご導入頂いております。練度を上げ便利に使いこなせる様になると、連携できるツールが多いほど、治療以外の業務時間の短縮を実感できるでしょう。
ただし、データ連携を安心して利用する為には、院内のネットワーク構築に注力が必要です。家庭用の通信機器などではトラブルも起きがちなので、初期費用がかかっても専門的な機器を導入した方が、最終的なランニングコストを抑えることにつながります。
また、レセコンと患者説明ソフトのメーカーを統一せず、違うメーカー同士を選んだ場合には、データ連携はできても費用が高額になるケースが多いです。デモや見積依頼時にその点の確認忘れずに行いましょう。
患者説明ソフトの種類や導入ポイントについてお話しました。
患者説明ソフトについてはインサイトでもご紹介が可能です。数社メーカーの一括デモも承っておりますので、お気軽にご相談下さい。
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