開業地の物件・立地

開業後に患者さんの動線が変わってしまう??開業場所を決める前に見ておくべき都市計画の調べ方とポイント

都市計画の確認方法
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開業物件を探すにあたっては、さまざまなポイントに注意することが大切です。今回はその中でも、開業立地の将来の動線がどうなっていくのか?を確認する方法をお伝えします。

開業後に、医院への動線が変わってしまうことがある?!

開業物件の候補が出てきて、物件を見に行った時も人通りが多く集患できる!と思った物件でも、医院を構えて数年後には、あれだけ多かった人通りがなくなっていることがあります。

理由はいくつか考えられますが、ご相談頂く際にしばしば伺うのが、歯科医院を構えた場所のすぐ近くに新たな道路が出来て、動線が変わってしまったということです。「開業前に知っていればここでは開業しなかったのに」と思っても、歯科医院は設備投資が高いので、気軽に移転はできません。

このようなことにならない為にも、動線の変更などを予め確認しておくことが必要です。

動線の変更予定を知るには、地域ごとの都市計画をおさえておきましょう。

そもそも都市計画って何?

適正な土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため都市計画法の規定により定められたものを「都市計画」といいます。

都市計画法

上記のようにある通り、土地には使い方が定められている地域があります。

土地の内、どれだけの割合で建物を建ててよいのか(建ぺい率)、総床面積(容積率)の制限なども定められている場合があり、安易にどこでも高い建物を立てたり、工場や工業施設を建築したりという事はできません。

土地には用途地域というものが定められています。都市計画の目的外の建物を建てる場合には、都市計画法の規定に基づき、開発許可の申請を行った上で、県知事の許可を得る必要があります。

現在、用途地域には次の13種類の種別があります。

第一種低層住居専用地域/第二種低層住居専用地域/第一種中高層住居専用地域/第二種中高層住居専用地域/第一種住居地域/第二種住居地域/田園住居地域/準住居地域/近隣商業地域/商業地域/準工業地域/工業地域/工業専用地域

参考:https://www.mlit.go.jp/common/000234474.pdf

個人開業の歯科の事業区分は「診療所」に該当しますが、2021年6月現在、「診療所」はこれらのどの用途地域でも対応可能です。

ただし用途地域によっては、建てられる建物などの高さや種類など制限を受ける場合があったり、テナントなど賃貸物件そのものが用途に則しているかどうかは別の話になるので、物件選定時に十分注意して確認しましょう。

都市計画について概要は前述のとおりですが、この一環で「都市計画道路整備事業」というものがあり、都市活動の促進や街区の構成、災害時の避難経路などの機能を考えた上で道路を整備する計画が立てられています。

この計画実行により選定した開業地の動線が変わる場合があるので、こちらも気を付ける必要があります。

都市計画はどうやって調べるの?

都市計画の調べ方は、各市区町村のホームページ、都市計画課などで公表されている内容を確認するか、対応窓口に電話で問い合わせる方法などがあります。

「駅前開発や計画道路などをどのように計画しているのか?」や「計画の遅延や廃止になっていないか?」などの進行状況もしっかりと確認しましょう。

例えば住宅をつぶして道路を作る場合、そのエリアに含まれる住民の方と協議を進めているがなかなか協議が進まずに計画が遅れている場合などもあります。

開業候補地の動線に影響がありそうな都市計画があった場合は、直接問い合わせてみるのが良いでしょう。

都市計画を見る時のポイントまとめ

では実際に、都市計画を調べる時どのような点に注意して見ていけばいいのでしょうか?

前項でも触れていますが、都市計画を見る際は以下のような点を確認してください。

【都市計画確認のポイント】

・駅前開発や計画道路などの有無
都市計画があるかどうかを確認しましょう。

・都市計画がある場合の計画の実現性
都市計画が計画決定か事業決定かを確認しましょう。事業決定がされている場合、都市計画に基づき、区画整備・用地買収が進みはじめています。

・都市計画が事業決定されている場合の進捗
実施される次期や完了時期を確認しましょう。計画が始まっていても、進んでいない場合などがあるため、計画の実行進捗はどうか?などを確認しましょう。

・計画が実行された場合の影響
都市計画が実行された場合の、地域の方が日常的に使う動線の変化などを予測し、医院への影響はあるかなどを調査しましょう。

都市計画によって歯科医院に影響が出た例としては、都市計画が事業決定に変わった時に、開業地が計画に含まれていて、立ち退きをしなくてはいけなくなった医院がありました。

逆の例としては、セットバックにより医院の敷地(駐車場など)が一部小さくなりましたが、歩道が出来て、歩行者が通りやすくなり、医院の前を通る人が増え、良い影響がでたこともありました。(このケースは、開業前に都市計画で歩道が出来ることを予め調査し分かっていたものです)

都市計画により、患者さんの動線が変わってしまったという話もありますが、先ほどの通り、逆も然りです。

都市計画の道路工事で動線が変わり、急に人の流入が増える場合もあります。それで「患者さんが増えた!」という例もお伺いしますので、このような動線の読み方をするのも良いでしょう。

都市計画を見る場合のポイント例を紹介しました。冒頭でもお伝えした通り、歯科医院の開業地選定には、さまざまな知識やポイントをおさえる必要があります。

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