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新型コロナ感染症拡大の状況下で、歯科医院の開業はどの様に考えるべきか?ポイントと注意点をお伝えします。

新型コロナ拡大の状況下における歯科開業はどの様に考えるべきか
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※この記事は2020/10/09時点のものです。

新型コロナ感染症が拡大してから早くも6ヶ月が経過しました。この間の開業動向としては、先行きを見通すことができないからと開業を見送りされた方や、これを契機ととらえ積極的に開業へ動き出された方と二分化しています。

また、コロナ前から開業に向けて動かれていた先生も「物件の契約が終わっていたので、開業時期はずらせない」「話を進めていたのにテナント側の回答が遅れていてなかなか進まない」などの影響やお悩みも出ています。

今回は「新型コロナ感染症拡大の状況下で、歯科医院の開業はどの様に考えるべきか」をテーマに、歯科開業コンサルティングを行っている当社の考えをお伝えできればと思います。

コロナ禍で開業するかどうかは、一定条件を考えて判断

驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、結論から申し上げますと、コロナ渦中での開業は、従前より優良立地での情報が流通しやすい状況下にあり、地域に住んでいる方の日常的に使う動線上での開業であれば、新患の来院推移は順調な傾向と言えます。

つまり「一定条件をクリアすること」「一定のリスクとうまく付き合うこと」ができれば、この状況下での開業はチャンスが大きいと判断できます。

逆に、これからお伝えする条件やポイントを考慮出来ないとお考えになる場合は、急いで開業することはお勧めしませんので、ご参考までにご一読ください。

コロナ禍における歯科開業

それでは、そのコロナ禍における歯科開業について「物件・資金・内覧会・開業後の推移」についてポイントを解説していきます。

コロナ禍における歯科開業~物件選定について~

物件選定は、開業後の立ち上がりを考える上でも、非常に重要な要因です。さらに物件選定は、既存テナントか新築テナントかによっても状況や注意点が異なりますので、それぞれ詳しくお伝えします。

既存物件情報については◎! 優良物件が増加予想

現在、既存物件の情報流通量が増えてきています。

特に、大手FC(フランチャイズチェーン)などが、コロナの影響で収益ラインの見直しを行っており、普段ではなかなか空きにくい優良立地の情報流通も増加傾向にあります。これを契機とお考えになられる先生は、アンテナを張られておくといいでしょう。

しかし、優良物件情報が増えてきている既存テナントですが、注意点もあります。

それは、解体費用です。経営難で退店する場合など、原状回復工事を行うことができずに退去するテナントも出てくると推測されるため、内装工事で解体費用などを予め予測しておく必要があります。状況によりますが、30坪程度のテナント解体撤去費用は約200万円程度を想定しておくと良いでしょう。

新規の計画案件、複合施設は△!契約の内容や、工事進捗などに注意

「開業時期は、コロナの感染状況が落ち着いてくるであろう1年~2年後位」とお考えになり、出店申込から建物の竣工までの期間が長期間になる新築計画で物件を探されている方も多いかと思います。このご判断は、時流をみた良いご判断かと思います。

しかし、良いご判断と同時に、より注意が必要になります。というのも、新型コロナ感染が拡大した、2020年春から夏にかけて最も計画のキャンセルがでた物件のタイプが、新築計画案件なのです

このキャンセル理由の多くは、賃貸人(オーナー)側の計画変更によるものです。

例えば、緊急事態宣言を受けて、建築工事の休止・遅延、サービス系、飲食系の営業自粛、撤退が相次ぎ、賃貸経営への不安などによる計画の中止です。また、建築計画の企画だけが先行して「肝心の工事請負契約ができていない」「賃貸人と賃借人とで賃貸借契約、賃貸借予約契約等が締結できない」などの場合は、賃貸人の意向で計画を取りやめる事例もありました。

また、難しい判断にはなりますが、工事請負元の規模感も、長期案件では影響が出る場合もあります。新築計画では、1~2年先を見越して工事が進行しますが、緊急事態宣言などで工事を中止せざるを得ない状況や期間に、その企業が耐えられるのかどうかという視点が必要です。

要約すると、新築の計画については「賃貸人と建築会社の工事請負契約書がすんでいるか否か」「工事請負業者の経営業況はどうか」に注意する必要があります。

コロナ禍における歯科開業~資金調達について~

融資環境は〇!融資面談の質問事項は多くなる傾向

金融機関としては、リスクは当然にして避けたいため、いつも以上に手元資金・事業計画・想定外へ場合の対策などの質問や確認事項が多くなる傾向にあります。しかし、この状況下であっても、計画的に開業へ向かわれる方については、融資も問題なく受けられています。

資金調達時の金融機関の審査では、従来通りの開業動機とビジョン、実際の開業地が優良立地であることに加え、感染対策を行いながらどの様に運営・集患を行うのか、事業収益をどう考えているかをしっかりと考えられているかどうかがポイントです。

さらに当社でサポートをさせて頂いている場合は、特に手元運転資金は手厚くし、6ヶ月以上を確実に確保して頂くように推奨しています。

コロナ禍における歯科開業~内覧会と告知活動について~

内覧会集客は△、予約率は〇!感染リスク抑えた運営を

開業後の早期収益化には欠かせない、開院前告知で行われる内覧会ですが、感染リスクを出来る限り軽減させる運営が必要です。

マスク、検温、消毒、患者情報カード、院内定員の制限、滞在時間の制限、一定期間での換気・消毒などできる限りの対応をしていきましょう。できる感染対策を取らずに内覧会を実施してしまうと、思わぬ風評被害へもつながりかねません。

当社では、上記の一般的な対応の他に、通常通りの呼び込みはせず、予め興味を持ってご来場頂いている方に、じっくりとお話を聞きながら、医院の取組みや考えをご案内することで、予約に繋げています。その取り組みもあってか、予約率が通常15%~18%の所、コロナ禍での内覧会では30%~45%と高い成果を生んでいます。

コロナ禍における歯科開業~開業後の立ち上がり~

開業後の立ち上がり推移は〇!ただし、立地と計画によって格差も

今回のコロナをきっかけに社会の在り方が様変わりしました。オフィス街からは人が減り、在宅ワークやテレワーク・リモートワークがスタンダードに変化しつつあります。

この変化に伴い、オフィス街を中心とした診療圏の開業では、大きく影響が出てきています。なかには、オフィス街の立地で売上高が前年対比△50%以上となってしまった歯科医院があるとの話も伺っています。

一方、郊外や住宅地のような、その地域に住んでいる方をターゲットとした開業は、緊急事態宣言時は一時的に減少したものの、緊急事態宣言解除後は従来通り、場所によっては従来以上の来院につながっている様子です。

理由としては、医科とは異なり歯科医院へは元気な方が来院されるということ、自粛や在宅ワークなどで、患者さんが時間調整を取りやすくなり、今まではなかなか来院できていなかった方が来院されていることなどによる増患が考えられます。

これらの事からも分かる通り、コロナ渦中での開業後の立ち上がりは、従来以上に、立地が開業後の立ち上がりに大きく影響すると言えるでしょう。

当社では、開業後の医院の立ち上がりも計画に組込み、先生のビジョンにマッチした物件紹介と開業サポートを実施しておりますので、コロナ渦中でご開業された歯科医院でも、3か月で単月黒字化し、安定した推移となっている医院も多くあります。

「コロナ感染症の状況下で歯科医院の開業はどの様に考えるべきか」について紹介いたしましたが、物件選定は優良立地だからと安易に判断せず、ご自身の特徴診療スタイルと、マーケット特性がマッチングしているかを検討し、それに基づき強みを最大限生かした事業計画書での資金調達が重要です。

広告宣伝については、インターネットを活用した情報発信・情報開示は当然ですが、リアルで実施する内覧会については、安全で健全な運営を行うことで、クリニックコンセプトに共感いただけるコアな患者層を予約、来院へ繋げることは十分に可能と言えます。

開業という1歩を踏み出すことは、平常時でさえ勇気がいることです。

これをコロナ渦中で行うということは、平常時以上に勇気と決断を求められます。その為、何となく開業、必要に迫られての開業はお止めになられた方がいいでしょう。本来経営とは、危機感はあっても不安はあるべきではありません。このコロナという逆境の状況下で、どの様に突破するのかを考えてご開業をされることをお勧めいたします。

インサイトでは、セミナーやご相談頂いた方向けに、コロナ状況下での開業の進め方など、事例を交えて詳しくお伝えしています。

一人でお悩みになられる前に「開業に向けてどのように現状を打破すればいいのか悩んでいる」「コロナ状況下で開業した事例を知りたい」など、当社までお気軽にお問い合わせください。

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