歯科開業全般

歯科診療所開業時の要注意!保健所への開設届提出の流れと注意点

歯科医院開業の届け出
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歯科医院を開設する際には、歯科診療所の所在地を管轄している保健所に、開設届を届け出なくてはいけません。また医院にX線装置を置く場合は、別途X線装置設置届の提出も必要になります。

さらに個人と法人でも届け出の流れが異なります。今回は、個人開設の場合の「保健所届出の流れ」と「注意点」についてお話しします。

保健所への開設届提出の基本的な流れ

まずは、歯科診療所の開設届提出までの、基本の流れについて、おさらいします。

(1)事前に保健所へ相談する
おおよその内装図案が出来上がりましたら、工事を行う前に図面を持って保健所に相談に行きます。万が一法令に違反する箇所があった場合、工事着工前に確認が取れるので無駄がありません。

(2)開設後10日以内に「開設届」を提出する
歯科診療所の開設届で必要な添付書類は以下の7点になります。

・開設者、または管理者である歯科医師の免許証の写し
・診療に従事する歯科医師の免許証の写および経歴書
・土地および建物の登記簿謄本
・敷地の平面図
・敷地周囲の見取図
・建物の平面図
・案内図

加えてX線装置を置く場合は、このときに「X線装置設置届」も用意します。

ここで大事なのは、用意する書類を最低2部用意することです。保健所とは別に厚生局へ開設時の書類の写しを添付しなくてはいけませんので、最低でも2部用意しておきましょう。

「開設届」の添付書類に関しては管轄の保健所により違うのであらかじめ電話等で必要書類の確認を行ってください。また、本提出の前に書類を揃えて事前相談を行ったほうがスムーズに届け出を行うことができます。

上記を行うと、副本が交付され、保健所の手続きが完了となります。

開設届の最大の注意点!届け出期日

開設届を行う場合、一番重要なポイントは届け出の期日です。

開業する歯科医院で保険診療を行うためには、保健所での副本交付のあとに、厚生局へ保険医療機関指定申請書を提出し、指定医療機関コードを発行してもらわなければいけません。

厚生局の申請書の受付は毎月締め切りがあり、締め切りの翌1日以降に指定となります。(この締め切りは管轄する地域により異なりますので事前に確認が必要です)

厚生局の提出締切日をすぎてしまうと次の締め切りの翌1日に指定となり、保険診療の開始が先に延びてしまうなんてこともあります。

ですので、保健所への開設届の届け出は、厚生局の申請書提出締め切り日から逆算して開業準備のスケジュールを決めることが何より重要です。

開設書類記載の注意点

開設届を記載するときは、以下の3点に特に注意が必要です。

(1)開設場所を正しく記載すること
登記簿謄本、あるいは賃貸契約書に書いてある住所のとおりに記載します。勝手に略して書くことは避けましょう。

(2)開設年月日は届出以前の日付で
開設日は、実際に営業を始めた日ではなく、施設が整い「開設できる状態になった」日のことを指します。この書類の提出は医療法第8条により「開設後10日以内に管轄の都道府県知事に提出すること」になっているので、未来の日付を書くことはできません。他にもX線装置は設置後10日以内にするなど、提出書類により決まっていますので注意が必要です。

(3)診療日や診療時間にも注意
診療日や診療時間は、当初予定していたものと実際は変更になることもあるかもしれません。ただし、開設届に記載した曜日や時間以外に診療することはできない決まりとなっています。変更があった場合は管轄の保健所に「診療所開設届出事項変更届」の提出が必要となります。

基本的に保健所を含め、役所に届け出る書類は「整合性」を重視されます。(1)に書いた以外にも、歯科医師の氏名、担当診療科目などすべて、正しい記載で統一しておきましょう。

保健所の事前検査をパスするための注意点

開設届を提出すると、事前検査が行われます。管轄の保健所によっては保健所が実際に来る場合と来ない場合があります。保健所が検査に来た場合、主にチェックされる6つのポイントについてお話しします。

(1)各部屋の仕切状況
診療室、技工室、待合室などは、それぞれ完全に分離されている必要があります。設計段階から分かるようにしておくと、チェックもスムーズになります。

(2)技工室
技工室がある場合「防塵」設備が必要になります。通常は換気扇をつけておけば問題ありません。

(3)X線室
「関係者以外がX線室に立ち入らないよう注意喚起をしているか」「実際に患者やスタッフが被ばくしないような設備になっているか」の2点になります。「エックス線室」の表示、「管理区域への立ち入り禁止」の表示、「患者とスタッフへの注意事項」の表示が必要となります。放射線診療従事者等用の防護用具(防護衣)や放射線診療従事者の被ばく測定器具(ガラスバッチ、ポケット線量計)の有無も確認事項となります。

(4)劇物の管理状況
当たり前のことですが、劇物の管理は鍵付の場所に保管することが望まれます。また、保管場所に「医薬用劇物・毒物」などの表示をしておくとよいでしょう。

(5)院内の掲示物
医療法第14条に基づき、「管理者の氏名」「診療に従事する歯科医師の氏名」「歯科医師の診療日および診療時間」といった最低限の項目が、患者にとって「よく見える場所」に掲示されているか。

(6)産業廃棄物の処理状況
歯科医院で出る廃棄物に関し、資格を持った業者との委託契約が行われているか。

当たり前のことを当たり前に行えばよいのですが、念のためチェックしておいてください。

保健所への開設届、提出時にもポイントが!

役所へ行くと、待ち時間が長くなるなど、想定しているよりも時間がとられることもあるでしょう。それを避けるためのちょっとしたポイントがありますので、最後にご紹介しておきます。

・事前相談は午前中の早い時間に
なるべく早めの時間に行くほうが、より丁寧に対応してもらえる傾向にあります。

・提出時は昼休み直前または終業時間間際に
役所は定時に終了することが基本なので、比較的容易に受理してもらえる可能性が高くなります。ただし、書類を完璧に仕上げておくことも重要です。

・必ず印鑑を持参する
開設届に限らず、役所に行くときは必ず「印鑑」を持って行くのが無難。訂正を指示された場合、すぐに直して訂正印を押すことができます。二度手間をなくすために、ぜひ覚えておいてください。

地域によっては、開設届提出後に保健所の立入検査があります。保健所の立入検査については「歯科開業時の保健所検査!チェックポイント」で解説していますのでご参考ください。

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