歯科経営管理

歯科医院の移転を考えたら?移転前に決めておくべき6つのこと

歯科医院の移転を考えたら?移転前に決めておくべき6つのこと
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歯科医院の移転を考え始めたらまず、医院移転のメリットデメリットを考え、契約内容を確認します。また、移転理由と移転先の条件を決め、現行のマーケットを調べます。ここまでできたら次に、移転先選定ですが、移転理由や条件によって探し方のポイントがあります。さらに資金調達では、客観的に自分の経営者としての実績を見る必要があります。

それでは、歯科医院の移転について詳しく紹介していきましょう。

移転のメリット・デメリット

移転をする理由は様々ですが、まず簡単に移転のメリットデメリットについて話しましょう。

【移転のメリット】

  • 診療所規模拡大
  • 患者さんの利便性の確保(駐車場、駐輪場)
  • 診療圏の拡大
  • 売上の拡大

【移転のデメリット】

  • 費用(解体費、新規移転の開業費用)
  • 月次キャッシュフローの変化
  • 従来患者層の離脱

メリット面としては売り上げの拡大がありますが、デメリットや懸案事項としては、固定費等の再見直しが必要になります。

移転前までに考えておくべきことと注意点

移転のメリットとデメリットをふまえた上で、歯科医院を移転しよう!と考えたら、次項のように進めていきましょう。

移転を考え始めたらすること!契約内容を確認しよう

移転を考え始めたらまず、現在のテナントの契約内容の確認を行いましょう。現在のテナントに入った際に結んだ賃貸借契約で解約予告・原状回復・敷金や保証金などの預託金など、退店に関わる内容をしっかりと確認しておきましょう。

特に原状回復については、費用発生でトラブルが起きやすいものです。細かい内容まで記載されているかを確認しておきましょう。解約予告については「退店の告知を何ヶ月前までにしないといけないなど、期限が定められています。タイミングによっては、空家賃を多く支払わなければならない可能性がありますので注意が必要です。

また、時々伺うのが、賃貸借契約書を紛失してしまったという話です。開設届の提出時に賃貸借契約のコピーの添付と、原本確認を行っています。この際のコピーを税理士に渡しているという方も多くいらっしゃるので、万が一紛失してしまった場合は、確認してみてもいいかもしれません。

しかし、それでも賃貸借契約書が見つからない場合、テナントの管理会社(仲介会社)に賃貸借契約のコピーを頼むことも可能です。しかし、この場合、書類発行の手数料として賃料の1ヶ月分を請求されることがあり、さらに費用がかかってしまう可能性があります。

そうならない為にも、賃貸借契約書は紛失しないようしっかりと保管しておくことが大切です。

移転理由を明確にして、移転先の条件を決めよう

移転は「医院の売上を何とかしたい」「手狭なので広くしたい」というような理由から移転を考える方が多いかと思います。そもそもの移転理由の原点を明確にしてから、移転計画をたてることが大切です。

移転理由を明確にすることで、移転先の条件がおのずと見えてきます。

移転理由が「とりあえず古くなったし、適当に移転しよう」というのであれば投資以上の効果が得られないかもしれません。人の採用や院内環境に関しても、規模が大きくなることでマネジメントが煩雑になります。あらかじめ、経営の規模感をもっていないと、自身もコントロール利かなくなるため注意が必要です。

また、移転計画を立てる時は現状と目先で移転を判断するのではなく、中長期の医院設計・自身のライフプランから判断することが重要です。

移転先選定前に、現在の医院のマーケットを調べよう

移転先選定には、現在の医院のマーケットを知ることが大切です。現在の医院のマーケットを知るには、開院からこれまで来院された患者さんデータを元に地図上にドッドマッピングをすることがオススメです。年齢・属性や家族構成・最終来院日などカテゴリを作り時系列にマッピングすると、より詳細な医院の状況がわかります。どの様な来院状況になっているかを分析しましょう。

移転先を選定しよう!

ここまでの準備が終わったら次に移転先の選定です。移転先選定の考え方は2つあります。

既存の診療圏を活かした移転

1つ目は、既存の診療圏を最大限に活かして移転する方法です。「医院が手狭になってしまった」「患者さんの利便性を向上させたい」というような理由から移転を考える場合は、現在の診療圏を活かした移転がおすすめです。

この場合、近場で規模が拡大できる場所や、現在の医院が空中階であれば1階の案件を見つけるなど、既存の診療圏を活かした立地の選定が必要です。

注意点は、診療圏で見えてきた主要通院動線から外してはいけないということです。あくまで、既存のマーケットから市場を拡げることが目的のため、既存患者さんが無理なく通院できる事を念頭に置き、移転先を選定することが大切です。

異なる診療圏へ移転

2つ目は、現状の診療圏とは異なる診療圏での開業を考えるということです。この場合、新規開業と同じようにご自身のビジョンにあわせて、場所を選定していきましょう。

この場合の注意点としては、あまり既存の患者さんにとらわれすぎないということです。「現在の患者さんが通院出来る範囲での移転」ということに捕らわれすぎて、立地選定で制限をかけてしまい、結局中途半端な立地で開業してしまっては、本末転倒です。

移転の目的にしっかりと優先順位をつけ、最適な場所を見つけることが大切です。

客観的に自分の経営者としての実績を見てみよう

移転開業でも、自己資金でまかなえなければ、新規開業時と同様に融資を受けて資金を調達する必要があります。しかし、金融機関が融資を行うかどうかの判断基準は、新規開業時とは大きく異なります。

新規開業時は、医院の経営実績がないため、個人の返済能力・信用性があるかどうかを金融機関が判断しています。しかし、移転開業の場合は一度歯科医院の経営実績があるので、融資判断は、経営者としての実績がみられます。

既に、現在の医院を開業した際の融資金を完済している場合や黒字を出せていれば、経営能力・返済能力があると判断されやすくなりますが、そうでない場合、融資審査が厳しくなる可能性があります。

例えば、開業当初は医院経営も上手く行っていたが、年々収益が落ちていってしまっている場合の移転については、収益が下がり切ってしまったタイミングで移転を決断しても、経営者としての判断能力がない(決断が遅い)と金融機関に見られてしまう可能性があります。

また、そもそも開業時に受けた融資は、あくまでその場所で歯科医院を経営するために受けた融資となります。その医院を廃止するとなると、その受けた融資の残債はその時点で返さなければなりません。

融資金の残債が残っている場合は、移転計画時に、現在の医院を居ぬきで売却して負債を帳消しにする・一旦勤務医として働くなどで、完済しておくか、少しでも残債を減らしておく必要がありますね。

以上、移転前に考えはじめたら決めておくべきことでした。

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また、具体的に移転先の物件を探している状況ということであれば、条件に合致する物件のご案内も可能ですのでお気軽にお問合せください。

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