歯科開業について

歯科開業を考え始めたら、まずは歯科を取り巻く業界の全体像を知ることが大切です。
全体像から開業の流れやポイントを紹介します。

歯科医院の開業はゴールではなく、その後も歯科医師として診療を続けていく上での分岐点です。「今後、歯科業界はどのように変化していくのか?」動向を理解した上で、ご自身の考える将来像と併せながら、計画的に進めなければなりません。

歯科の新規開業を取り巻く状況

「歯科開業トピックス」で詳しくお伝えしている通り、歯科開業と取り巻く環境の概要は以下の通りになっています。

開業件数からみた歯科開業

歯科医院の新規開業数は若干の減少傾向にあります。 一方で、閉院数は年々増加。全国統計で歯科医院の数がコンビニエンスストアの店舗数を上回っているという現在、 新たに開業することも、開業して安定経営を続けることも、非常に厳しい状況にあることが見て取れます。

参考:歯科開業の現状「件数と開業地」

人口推移からみた歯科開業

1986年に36.5医院だった「対10万人あたりの歯科医院数」は、2007年には53.1医院に増加しています。 この20年余りで集患の競争が1.5倍近くまで激化したことで、 医師のキャリアや技術力だけではやっていけない状況が生まれています。

参考:歯科開業の現状「歯科医療の需要と供給」

歯科医師の年齢からみた歯科開業

開業年齢推移をみてみると、30歳から34歳の歯科医師のうち1994年は半数以上の53%の人が開業していましたが、20年後の2014年にはわずか14.7%まで下落してしまっています。さらに、35歳から39歳までを見てみると、1994年には76%もの人が開業していたのに対して、2014年は33.1%まで減少してしまっています。

参考:歯科開業の現状「歯科医師の高齢化」

上記のような開業をとりまく状況の中において、考えなければならない観点が3つあります。

第一は保険制度についてです。日本は、世界に誇ることのできる国民皆保険制度を持つ国ですが、 医療機関側からみると、この保険制度のために一喜一憂しなければならない状況におかれています。 歯科医院の経営は、この保険点数の増減により大きく左右されるわけですから、当然のことです。

第二は、日本特有の人口構造のため年々医療費は増加せざるを得ず、 保険点数の伸びは頭打ちになる可能性が高く、このままでは医業収入は伸びないということです。 そこで、当然のことながら、競争の激しい保険診療からいかに自院の特色をだした自費診療に移行するかが、 経営の大きな課題となります。

第三は、このような急激な市場変化に関し、マネイジメントを含めた経営を歯科医師が学んでいないため、 市場に適応できない歯科医院が出現し、淘汰されていくということです。

このような観点から、今の歯科医院経営の在り方を鑑みると、いわゆる「医は仁術」的な発想から脱し、 医療をサービスビジネスとしてとらえる側面を強化する必要がでてきます。そのためには、一般企業で論じられている、マーケティング(競争戦略)や、 CS(顧客満足)、顧客セグメント、選択と集中、戦略的人事マネイジメントなどが重要になってきます。

さらに、歯科医師という職業は生涯雇用が約束されていません。現在の状況を打開する出口として開業をされている方が多いのが現状です。それでは、開業後も安定した医院経営を続けられるようにするにはどのようにすればいいのでしょうか?

安定した医院経営を続けていくために

これから開業する先生方が心得ておくことは、いくつもありますが、絶対的なものは次の3つです。

1)患者さん目線で物事を考えること
患者さん目線は、その中でも最も大事で「常に患者さんの立場で、見る、感じる、考える」ということです。今までの医院は「患者さんのため」という大義の元、実は術者の考えを患者さんに押しつけてきました。 しかし、このように一生懸命患者さんのために考えて行ってきたことがかえって「患者さん離れ」を引き起こしてしまいます。

2)可能な限り短期間で、経営を安定させること
短期間での経営安定は、具体的に3ケ月から6ケ月以内で、収支を黒字化させることです。歯科医院の数がコンビニを上回る現状では、 融資機関が歯科医院に対し、非常に厳しい見方するため、長期間にわたる運転資金を確保することは非常に難しくなっています。 運転資金が少なければ、当然その間に黒字化することが絶対条件になります。

3)マネイジメントの仕組みを院内に定着すること
マネイジメントの仕組みの定着は、医院の安定的な成長のためになくてはならないものです。特に、医院は少人数による運営であるため、人事的な仕組みを早期に作らないと、 いつも「良いスタッフがいない」、「すぐに、スタッフがやめてしまう」などの人的不安定さを招きかねません。 さらに、歯科医師を頂点とした絶対的権威の中で、マネイジメントが不在になると、スタッフは何も考えなくなり、 常に院長の指示待ちになってしまうという現象を引き起こします。こうした事態を避けるためには、 院長、スタッフの強みと弱みをオープンするなどの新しいマネイジメントの導入が不可欠です。

開業の時に心得ておくべきことを踏まえたうえで、安定した医院経営を続けていくためには、患者さんが集まる仕組みを開業準備の段階から、計画的に進めていかなくてはなりません。集患できる医院を立ち上げるには、「資金」「物件」「広告宣伝」が大きなカギとなります。

開業の流れ

開業を進める大まかな流れとしては、以下の通りになります。

歯科開業の流れ
  • 1.開業前準備
  • 2.物件選定
  • 3.資金調達
  • 4.内装~各種準備
  • 5.広告・集患

ただ、流れに沿って開業を進めても、集患できる医院=安定的な経営が出来る医院が出来るとは限りません。インサイトでは、これらの多岐にわたる流れのサポートを行い、集患出来る医院の立ち上げをサポートしています。

開業準備

まずは、開業を取り巻く環境を理解し、開業をどのように進めるのかの全体像を把握する必要があります。また、開業計画を立てていくために、先生ご自身がどのようなりたいか・どのように診療していきたいかなどの将来設計・ビジョンを見つめなおすことが大切です。

どのように開業をすすめればいいのか?物件はどう探せばいいのか?資金は調達できるのか?など「何から始めればいいのか分からない」「まずは、情報を集めたい」「開業の全体像をつかみたい」と言う方は、お気軽に歯科開業セミナーへご参加ください。

歯科開業セミナーページ

物件選定

集患には、物件・立地の選定が大きく影響します。候補地に診療したい患者層がどれ位いて、どのような生活動線なのかをしっかりと見極める必要があります。また、立地だけではなく建物自体も様々な観点からのチェックが必要で、テナント出店する場合は、賃貸借条件が今後のランニングコストを左右します。

このように様々な専門知識が必要になる物件選定は次のようなポイントに注意してさがしていきます。

・診療スタイルと診療圏が適正かを確認する
・患者さんの生活動線を考る
・物件の視認性は良いか?

・視界性は確保されているか?
・患者さんの心理圧迫が少ない物件か?
・賃貸借条件に問題はないか?

さらに、集患出来る優良物件は、歯科だけでなく他業界からの人気も高いものが多くあります。その多くは、各企業間で内々に決まってしまい、一般に流通しないものも多くあります。インサイトでは、各企業との間で秘密保持契約を結んでいる為、一般流通前に物件の情報を取得することが可能です。

好立地の退店情報だけでなく、大手スーパーやショッピングモールなどの計画案件、駅開発情報など多くの情報の中から歯科医院におすすめの物件情報をご紹介しています。一部の物件情報につきましては、WEBでも掲載していますので、物件をお探しの方は是非ご利用ください。

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資金調達

開業には、5千万以上もの費用が掛かります。ご開業の進め方にもよりますが、多くの方は7000万~7500万円前後の費用をかけて開業しています。また、ほとんどの方はこの開業資金を、金融機関から調達しています。この資金調達が上手くいかなければ、開業自体を進めることは出来なくなってしまいます。歯科医院の開業で必要な資金がいくらになるのか計画をたてましょう。

○一般的なテナントで開業する場合にかかる概算の金額とは?

一般的なテナントで開業する場合の概算費用です。
状況により費用は異なりますので、実際のご自身の状況を組込みましょう。

・賃貸借契約時の諸経費等  :~500万円
・内外装工事費       :1,500万~2,500万円
・医療機器/材料関連(新品):2,000万~3,500万円
・運転資金         :集患や経営安定までを見越して最低でも6ヶ月分の運転資金を準備

事業計画書を作成する際は、ご自身の勤務キャリアから「売上をどの程度見込めるのか?」「算出した固定費をクリアすることが出来るかどうか?」に注意してシミュレーションを行ないましょう。

また、融資を受けて開業を進める中で、金額が減額されていく分には問題ありませんが、増額となった場合は再審査が必要になります。金融機関の視点では金融機関のリスクが高くなると同時に事業計画の見通しが甘いと判断され、追加融資が下りない場合があります。与信取得ではギリギリの額で取得するのではなく、大きめの申請額で計画を組むことが大切です。

内装デザイン・設計

医院の内装を決める時の大まかな流れとしては、次の通りです。
①設計・施工業者の選定
②内装計画(平面・設備や家具・仕上げ材など)の確定
③内装工事・引き渡し

特に内装施工業者の選定については、過去に歯科医院の実績があるかどうか、安心して任せられるのかをよく確認しましょう。歯科医院の実績がない業者に頼んでしまうと、専門的な知識が不足し、進みが悪かったり追加工事費がかさんでしまうなどの状況も起こりかねませんので注意が必要です。

○歯科医院の内装デザインを決める時のポイント

1.患者さんにとって快適な環境が整えられている
2.動線がスムーズで診療効率が良い
3.内装イメージが患者獲得の効果を生むこと

看板デザイン・施工

看板を出す時は、患者さんが「何を見てその歯科医院に来院してくれるのか?」ということを意識することが大切です。「たまたま近所にあった」という理由が一番にあげられるほど、患者さんの来院理由はシンプルなものです。

看板がどの距離から確認される看板なのかを意識し、それぞれの特性に合った看板を設置することが大切です。歯科医院の看板が、周囲に埋もれさせないためには視界融合と視界退行を避ける必要があります。

広告集患

集患については、開院してから進めるのではなく、開業準備期間中からしっかりと計画をたて進めることが大切です。開業後すぐに予約が入っていると、医院の早期安定化も測れ、何より先生方も安心して医院経営を進めることが出来ます。また、広告費は効果的に投資しないと、費用がかさみやすいものになります。広告や集患の費用対効果の良いものを戦略的に考えていきましょう。

さらに開業時に1番効果を出せる集患戦略と言えば、歯科医院の内覧会です。内覧会の進め方は、インサイトの内覧会サポートをご覧ください。

その他開業準備

物件・資金・内装・看板の他にも様々な開業準備が必要になります。数多くの取り扱い企業に連絡をとり、それぞれ内容を決めていくなど、多大な労力と時間がかかりますが、遅延がないよう、順に進めていくことが大切です。

○その他に必要な開業準備など

・歯科医療機器、材料の選定
・医院経営と集患に役立つ製作物(診察カードやパンフレットなど)
・スタッフ採用
・開業日に大きな影響を与える各種届出

開業時によくあるご質問 Q&A

ご開業時によく頂く質問をFAQとしてまとめました。もっと詳しく知りたい方はお問合せください。

開業の準備についてよく分からないのですが、どこから始めればよいでしょうか?

まずは、情報を集めましょう。実際にご開業された友人や先輩から開業時にどの様な点を注意したら良いかを聞いてみるもの1つです。 現在では、書店でも開業に関する本は増えていますし、我々のようなコンサルタントやメーカーさんでも 開業セミナーが開催されているのでいくつかタイプの異なるものに参加してみてください。

また、弊社でも歯科セミナーを開催しております。詳しくはセミナーページをご覧ください。

物件情報はどこから集めればいいでしょうか?

不動産企業や、インターネット上で情報を集めることができます。もし、開業希望地が決まっているようであればその近隣の不動産屋さんに聞くのも方法の1つです。

しかし、集患力のある物件は、一般に流通する前に出店が決まってしまう場合がほとんどですので、集患力のある物件を重点的にお探しの先生は弊社までお問合せください。

物件が決まってから開業まではどれくらい期間が必要でしょうか?

賃貸借契約後、最短2ヶ月後には開業が可能です。弊社の場合、都道府県により異なりますが保健所の申請及び関東信越厚生局の締切日から逆算をしてスケジュールを立てます。 先生のご状況により立案致しますので、お気になる方はお気軽にお問い合わせください。

土地からの開業とテナント開業ではどちらが有利ですか?

どちらがいいということはありません。ただし、土地からご開業される場合、土地の取得金額及び診療所の建設金が必要となり、 テナント開業と比較すると1.5~2倍程度初期コストが上がることが想定されるので注意が必要です。借入額も大きくなることが想定されるため、月々の固定費も上がり潤沢な運転資金がないとリスクが高くなります。

資金調達はどの程度可能なのでしょうか?

資金調達は先生のご状況により異なります。ただし、弊社の場合、融資審査を受けることが可能な方で、 開業に必要な資金調達ができずご開業できなかった方はいらっしゃいません。おおよそ3,000万円~5,000万円を資金調達されていらっしゃるケースが多いです。

どの金融機関から借りるのが有利でしょうか?

一概には申し上げられませんが、先生のご状況や開業予定地により異なります。一般的なご開業の場合、メガバンク系はなかなか融資していただけません。 各エリアにある地方銀行、信用金庫が相談先の中心となり、併せて政策金融公庫にご相談にいくケースが多いです。

開業前の告知活動はした方がいいのですか?

開業前の告知活動はしっかりと行ってください。患者さん目線とすると、医療機関というものは敷居が高く、飲食店やお菓子屋さんのように気軽に訪れるものではありません。地域に新しいクリニックができたことをアピールし、できれば先生の人柄やクリニックの様子がわかるメッセージ性のある広告活動を行ってください。

医療広告規制とは何ですか?具体的にどの様な事が可能ですか?

厚生労働省より医療に関する広告については、利用者保護の観点から次のような考え方に基づき、 限定的に認められた事項以外は原則として広告が禁止されています。医療広告とは、誘引性、特定性、認知性の全ての要件を満たした場合に広告に該当すると定義されています。具体的に可能なことは、厚生労働省より、医療広告ガイドラインが発表されています。

内覧会は医療広告規制に該当しないのですか?

内覧会は実施可能です。医療広告ガイドラインQ&A(A2-2)に開院前の医療機関の住民向けの説明会(いわゆる内覧会)の実施に関する事項については、 「病院又は診療所の管理又は運営に関する事項」として、広告可能と明記されています。

設備や機器はリースと購入どちらがいいのでしょうか?

リースの大きな特徴は、機器の所有者がリース会社であることです。つまり、先生の購入したい機器を自由に決め、使用することができますが、所有はしていないということです。 したがって、リース料を滞納するとその機器は引き揚げられてしまうことになります。 また、リース期間終了時には 機器を返還するか、再リースするかを決めなければなりません。一方、購入する場合は先生が機器の所有者になりますので、金額によっては償却資産税を負担することになります。

一般的には技術革新の激しい機器(例えば、IT機器など)はリースを利用するケースが多いです。

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