歯科医院の開業について

歯科医院の開業を考え始めたら、まずは開業を取り巻く業界の全体像を知ることが大切です。
開業の全体像、開業を進める流れやポイントを紹介します。

「開業を考え始めたけど、何から始めればいいのか分からない」「開業物件を探し始めたけど、本当に大丈夫だろうか?」「開業の資金調達は出来るのか?そもそもしっかりと返済していけるのだろうか?」など、多くのご不安やお悩みをお持ちかと思います。

歯科医院の開業はゴールではなく、その後も歯科医師として診療を続けていく上での分岐点です。先生ご自身が思い描く将来像とあわせて「今後、歯科業界はどのように変化していくのか?」などの動向を理解し、計画的に開業を進めて行くことがとても大切です。

当社では、⻭科医院の開業に特化したプロフェッショナルとして『強くて愛される⻭科医院の創設』をテーマに、開業⽀援を行っています。本ページでは、開業の概要を紹介いたしますので、さらに詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

歯科の新規開業を取り巻く状況

歯科医院の新規開業数は減少傾向にあり、閉院数は年々増加しています。また、対10万人あたりの歯科医院数をみても、集患の競争が1.5倍近くまで激化しています。これらのことから、歯科医師のキャリアや技術力だけでは歯科医院の経営をやっていけない状況が生まれてしまっており、新たに開業することも、開業して安定経営を続けることも、非常に厳しい状況にあることが見て取れます。

日本全体の人口構造の予測を見ても、年々医療費は増加せざるを得ず、 保険点数の伸びは頭打ちになる可能性が高く、このままでは医業収入は伸びていきません。競争の激しい保険診療での経営をいかに早期安定化させ、そこから自院の特色をだす自費診療も取り入れていくかが、 経営の大きなポイントです。

そのためには、開業前から医院のプランニングと合わせ、マーケティング(競争戦略)や、 CS(顧客満足)、顧客セグメント、選択と集中、戦略的人事マネジメントが重要です。

しかしながら、歯科医師という職業は生涯雇用が約束されておらず、プランニングや戦略を曖昧にしたまま、現在の状況を打開する出口として開業をされている方が多くなってしまっているのが現状です。

開業後も安定した医院経営を続けられるようにするためにも、先生ご自身のプランニングと開業を取り巻く環境をしっかりご理解頂くことが大切です。

歯科医院の開業に関する情報は、開業に関連したポイントやノウハウを配信している「歯科開業トピックス」や、開業を取り巻く現状や開業の流れや注意点など全体像をお伝えしている「歯科開業セミナー」を是非ご参考ください。

歯科医院開業までの流れとスケジュール

開業を進める大まかな流れとしては、以下の通りです。

開業までの期間とスケジュール

開業までに必要な工程は多岐に渡り、スケジュールの管理もとても重要です。いつまでに開業をしたいのかを決め逆算でスケジュールを立てていく必要があります。開業したい場所が、賃貸(テナント)なのか/新築なのか/商業施設なのかなどによっても変わってきますが、大まかな期間としては次のようなイメージです。

  • 開業前の準備(情報収集や自己資金を貯める):開業の3~1年前
  • 物件の決定と資金調達先選定:開業の6カ月前
  • 内装計画や機材選定:開業の5カ月前
  • スタッフや院内設備広告物の準備:開業の3~2カ月前
  • 届出や集患の事前告知:1カ月前

スケジュールの立て方や進め方は「歯科開業トピックス」でも詳しく紹介しています。

歯科開業前に準備すること

まずは、開業を取り巻く環境を理解し、開業をどのように進めるのかの全体像を把握する必要があります。どのように開業をすすめればいいのか?物件はどう探せばいいのか?資金は調達できるのか?など「何から始めればいいのか分からない」「まずは、情報を集めたい」「開業の全体像をつかみたい」と言う方には、お手軽に情報収集が出来る『歯科開業WEBセミナー』を開催しておりますので、是非ご活用ください。

また、情報収集と合わせて、開業計画を立てていくために、先生ご自身がどのようなりたいか・どのように診療していきたいかなどの将来設計・ビジョンなどの考えをまとめ、言語化しておくことが大切です。これらはこの後の物件選定の基準や事業計画・融資面談だけでなく、開業後の歯科クリニック経営方針の軸にもなってきます。

「考えはあるけど具体的に言語化するのが難しい」「ぼんやりとイメージはあるけどまだ悩む点がある」など、イメージを具体的にして行きたいと言う方は、考えを整理していくお手伝いやアドバイスも可能ですので、お気軽にご相談ください。

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歯科医院の物件を探す

歯科医院の集患には、物件・立地の選定が大きく影響します。候補地に診療したい患者層がどれ位いて、どのような生活動線なのかなどをしっかりと見極める必要があります。また、立地だけではなく建物自体も様々な観点からのチェックが必要で、テナント出店する場合は、賃貸借条件が今後のランニングコストを左右します。

このように様々な専門知識が必要になる物件選定では次のようなポイントに注意しながら早期収益化が目指せる物件を探していきます。

  • 診療スタイルと診療圏が適正か
  • 患者さんの生活動線を考えられているか
  • 物件の視認性は良いか
  • 交通手段に合わせた視界性が確保されているか
  • 患者さんが入りやすい物件か
  • 賃貸借条件に問題はないか

さらに、集患出来る優良物件は、歯科だけでなく他業界からの人気も高いものが多くあります。その多くは、各企業間で内々に決まってしまい、一般に流通しないものも多くあります。インサイトでは、各企業との間で秘密保持契約を結んでいる為、一般流通前に物件の情報を取得することが可能です。

好立地の退店情報だけでなく、大手スーパーやショッピングモールなどの計画案件、駅開発情報など多くの情報の中から歯科医院におすすめの物件情報をご紹介しています。一部の物件情報につきましては、WEBでも掲載していますので、物件をお探しの方は是非ご利用ください。

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開業の事業計画と資金調達

開業には、5千万以上もの費用が掛かります。ご開業の進め方にもよりますが、多くの方は7000万~7500万円前後の費用をかけて開業しています。また、ほとんどの方はこの開業資金を、金融機関から調達しています。この資金調達が上手くいかなければ、開業自体を進めることは出来なくなってしまいます。歯科医院の開業で必要な資金がいくらになるのか計画をたてましょう。

一般的なテナントで開業する場合にかかる概算の金額とは?
  • 賃貸借契約時の諸経費等  : 500万円~
  • 内外装工事費       :1,500万~3,000万円
  • 医療機器/材料関連(新品):2,000万~3,500万円
  • 運転資金         :集患や経営安定までを見越して最低でも6ヶ月分の運転資金を準備
※状況により費用は異なりますので、実際のご自身の状況を組込まれてください。

事業計画書を作成する際は、ご自身の勤務キャリアから「売上をどの程度見込めるのか?」「算出した固定費をクリアすることが出来るかどうか?」に注意してシミュレーションを行ないましょう。

また、融資を受けて開業を進める中で、金額が減額されていく分には問題ありませんが、増額となった場合は再審査が必要になります。金融機関の視点では金融機関のリスクが高くなると同時に事業計画の見通しが甘いと判断され、追加融資が下りない場合があります。与信取得ではギリギリの額で取得するのではなく、大きめの申請額で計画を組むことが大切です。

医院の内装と看板デザイン・設計

医院の内装を決める時の大まかな流れとしては、次の通りです。
①設計・施工業者の選定
②内装計画(平面・設備や家具・仕上げ材など)の確定
③内装工事・引き渡し

特に内装施工業者の選定については、過去に歯科医院の実績があるかどうか、安心して任せられるのかをよく確認しましょう。歯科医院の実績がない業者に頼んでしまうと、専門的な知識が不足し、進みが悪かったり追加工事費がかさんでしまうなどの状況も起こりかねませんので注意が必要です。

歯科医院の内装デザインを決める時のポイント
  • 患者さんにとって快適な環境が整えられているか
  • 動線がスムーズで診療効率が良いか
  • 患者さんにPRしたい医院の雰囲気が伝わるか

また、看板を出す時は、患者さんにいかに歯科医院があることを認知してもらえるかがポイントです。看板がどの距離から確認される看板なのかを意識し、それぞれの特性に合った看板を設置することが大切です。

看板の設置場所やデザインを決める時のポイント
  • どんな人にどこから見せたい看板なのか
  • その人の動線や交通手段は何か
  • 条件をクリアできる看板は何かを考える

機材・採用・届け出などの開業準備

物件・資金・内装・看板の他にも様々な開業準備が必要になります。数多くの取り扱い企業に連絡をとり、それぞれ内容を決めていくなど、多大な労力と時間がかかりますが、遅延がないよう、順に進めていくことが大切です。

特に行政への届出は、受付の締切りなどがあるため、期日をよく確認して進める必要があります。

これらは、開業でも大切なポイントではありますが、細々とした調整も多く、手間がかかってしまいます。当社では、各社の商品説明やデモンストレーションの調整や連絡などを、当社で一括管理しながら導入サポートを行うサービスも用意しております。

歯科医院開業時によく頂くご質問 Q&A

ご開業時によく頂く質問をFAQとしてまとめました。詳しく知りたい方はお気軽にお問合せください。

開業の準備についてよく分からないのですが、どこから始めればよいでしょうか?

まずは、情報を集めてみてください。また、書籍だけではなく、WEBでも多くの情報が収集可能です。すでに開業されているご友人や先輩から開業時にどの様に進めるかなどを聞いてみるもの1つです。開業の流れなどは、多くの企業でも開業セミナーが開催されているので、いくつかタイプの異なるものに参加なさってみてください。

弊社でも歯科開業セミナーを開催しております。詳しくはセミナーページをご覧ください。

物件情報はどこから集めればいいでしょうか?

不動産企業や、インターネット上で情報を集めることができます。もし、開業希望地が決まっているようであれば、その近隣の不動産屋さんに聞くのも方法の1つです。しかし、集患力のある物件は、一般に流通する前に出店が決まってしまう場合がほとんどですので、集患力のある物件を重点的にお探しの先生は弊社までお問合せください。

物件が決まってから開業までに、最短ではどれ位の期間で開業できるでしょうか?

賃貸借契約後、最短2~3ヶ月後には開業が可能です。都道府県により異なりますが保健所の申請及び関東信越厚生局の締切日から逆算をしてスケジュールを立てます。しかし、この期間はかなりタイトなスケジュールの為、具体的に内容が決まっていないと間に合いません。平均的なスケジュールとしては、「開業までの期間とスケジュール」の通りです。もしスケジュールでお困りでしたら、先生のご状況にあわせたスケジュール立案も可能ですので、お気軽にご相談ください。

土地からの開業とテナント開業ではどちらが有利ですか?

どちらがいいということはありません。ただし、土地からご開業される場合、土地の取得金額及び診療所の建設金が必要となり、 テナント開業と比較すると1.5~2倍程度初期コストが上がることが想定されるので注意が必要です。借入額も大きくなることが想定されるため、月々の固定費も上がり潤沢な運転資金がないとリスクが高くなります。

資金調達はどの程度可能なのでしょうか?

資金調達は先生のご状況により異なります。ただし、弊社の場合、融資審査を受けることが可能な方で、開業に必要な資金調達ができずご開業できなかった方はいらっしゃいません。おおよそ3,000万円~5,000万円を資金調達されていらっしゃるケースが多いです。

どの金融機関から借りるのが有利でしょうか?

一概には申し上げられませんが、先生のご状況や開業予定地により異なります。一般的なご開業の場合、メガバンク系はなかなか融資していただけません。 各エリアにある地方銀行、信用金庫が相談先の中心となり、併せて政策金融公庫にご相談にいくケースが多いです。

開業前の告知活動はした方がいいのですか?

開業前の告知活動は開業後の経営を早期に安定化させるためにもとても大切です。患者さんの目線で考えると、医療機関というものは敷居が高く、飲食店やお菓子屋さんのように気軽に訪れるものではありません。地域に新しいクリニックができたことをアピールし、できれば先生の人柄やクリニックの様子がわかるメッセージ性のある広告活動を行われてください。

設備や機器はリースと購入どちらがいいのでしょうか?

リースの大きな特徴は、機器の所有者がリース会社であることです。つまり、先生の購入したい機器を自由に決め、使用することができますが、所有はしていないということです。 したがって、リース料を滞納するとその機器は引き揚げられてしまうことになります。 また、リース期間終了時には 機器を返還するか、再リースするかを決めなければなりません。一方、購入する場合は先生が機器の所有者になりますので、金額によっては償却資産税を負担することになります。

一般的には技術革新の激しい機器(例えば、IT機器など)はリースを利用するケースが多いです。

歯科開業後の経営早期安定に必要なこと

これから開業する先生方が心得ておくことは、いくつもありますが、絶対的なものは次の3つです。

1)患者さん目線で物事を考えること
患者さん目線は、その中でも最も大事で「常に患者さんの立場で、見る、感じる、考える」ということです。今までの医院は「患者さんのため」という大義の元、実は術者の考えを患者さんに押しつけてきました。 しかし、このように一生懸命患者さんのために考えて行ってきたことがかえって「患者さん離れ」を引き起こしてしまいます。

2)可能な限り短期間で、経営を安定させること
短期間での経営安定は、具体的に3ケ月から6ケ月以内で、収支を黒字化させることです。歯科医院の数がコンビニを上回る現状では、 融資機関が歯科医院に対し、非常に厳しい見方するため、長期間にわたる運転資金を確保することは非常に難しくなっています。 運転資金が少なければ、当然その間に黒字化することが絶対条件になります。

3)マネジメントの仕組みを院内に定着すること
マネジメントの仕組みの定着は、医院の安定的な成長のためになくてはならないものです。特に、医院は少人数による運営であるため、人事的な仕組みを早期に作らないと、 いつも「良いスタッフがいない」、「すぐに、スタッフがやめてしまう」などの人的不安定さを招きかねません。 さらに、歯科医師を頂点とした絶対的権威の中で、マネジメントが不在になると、スタッフは何も考えなくなり、 常に院長の指示待ちになってしまうという現象を引き起こします。こうした事態を避けるためには、 院長、スタッフの強みと弱みをオープンするなどの新しいマネジメントの導入が不可欠です。

開業の時に心得ておくべきことを踏まえたうえで、安定した医院経営を続けていくためには、患者さんが集まる仕組みを開業準備の段階から、計画的に進めていかなくてはなりません。集患できる医院を立ち上げるには、「資金」「物件」「広告宣伝」が大きなカギとなります。

歯科開業コンサルティングについて

ただ流れに沿って開業を進めても、集患できる医院=安定的な経営が出来る医院が出来るとは限りません。インサイトでは、『強くて愛される⻭科医院の創設』をテーマに、開業後の早期経営安定を目指した歯科医院の開業支援コンサルティングを行っています。

歯科医院の開業を考え始めたら

ここまで開業についてお伝えしましたが、当社が進める開業の流れや全体像を歯科開業セミナーで惜しみなくお伝えしています。開業について考え始めたばかりの方でも、開業へ向けて動き始めている方でも、お役立ていただける構成となっておりますので、情報収集の場としてお気軽にご参加ください。

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