歯科医院へ税務調査の連絡が来たらどうする?税務調査の流れとポイント【歯科医院経営講座】


税務調査の連絡

※この記事は2008年に、メールマガジンで配信した内容を基に紹介しています。

歯科医院の経営・マネイジメントの事例を交えたケーススタディを紹介します。歯科医院経営事例シリーズをまとめて読みたい方はタグの「歯科医院経営講座」をクリックしてください。

税務署から歯科医院へ税務調査の連絡が来ると、ついつい慌ててしまったり、不安になってしまったりという先生もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は歯科医院の経営事例として、税務調査をテーマにお話ししていきましょう。

○歯科医院経営事例 税務署から連絡がきた!

<事例:インサイト歯科医院に税務署から連絡がきた>

開業して4年目を迎えたインサイト歯科は、一昨年に院長が車で大怪我をして約2ケ月間入院を余儀なくされた為、申告所得は前年に比較して、約1,000万円落ち込んでしまっていました。

怪我が回復した院長は、その落ち込みを補うため診療時間を延長し、日曜診療をするなどして奮闘しました。その結果、医業収入は約54,000千円に増加し申告所得は16,000千円になりました。

先生自身は、この結果をふまえ益々治療に専念しようとしていた矢先、税務署から電話があり「A 税務署の B 部門の C と申しますが、○月○日から×月×日まで貴医院に税務調査に伺いたいとの連絡が入りました。

慌てて先生は、会計士に連絡をとりました。

過去に歯科医院の経営コンサルティングを行っていた際、税務署から調査の連絡がきたとの話しを伺いました。慣れない税務署からの連絡で、先生は慌てて会計士に連絡をしたとの事でしたが、実際連絡がきた場合はどうすればいいのでしょうか?

歯科医院の税務調査とは?

税務調査は、以下のような場合に実施されます。

・歯科医院開業後一定期間が経過した場合(個人診療所は約10年に1度、法人では約3年に1度)
・前年と比較して大幅の増益になった場合
・過去の経営比率と比較して際立ったものがあった場合
・他の歯科医院との比較による場合
・第三者からの情報などによって行われる場合

今回のケースでは、おそらく前年に比較して急激に所得が伸びたために税務調査の対象になったと思われます。

そもそも、通常の税務調査は任意調査であって、脱税の容疑をかけられて調査される強制調査とは違います。ただし、税務職員には質問検査権という権利を持っていて、納税義務者、特定関係人に対して、質問をしたり、関係帳簿を検査したりすることができます。納税者はこの質問検査権を拒否することはできず罰金(国税通則法 第百二十七条)となります。

歯科医院側からすると、税務署は宿敵のように考えてしまいますが、感情的に調査を受けるのは避け、冷静に受け止めるべきです。ごまかさなければならない経営をしているようでは、歯科医院自体が大きくなることは決してありませんし本当の意味での経営の安定化とは言えないでしょう。

○税務調査までの流れ

・税務調査の事前連絡
基本的には、税務調査の連絡が事前にくるはずです。税理士に連絡が先に行くこともあれば、直接医院に連絡が来ることもあるようです。連絡がきたら、顧問税理士に確認をしましょう。

税務調査の連絡が来たら調査日のスケジュール調整をおこないます。調査日が診療日の場合、診療に影響がでないよう、休診日に変更してもらえないか調整も可能なようです。

代理権限証書の提出がされていれば、関与税理士にも立ち会いをしてもらえるので、そちらのスケジュールも確認して返答するのがいいでしょう。また、基本的な事ですが調査担当官の部署や名前、連絡先はこちらから連絡する必要が出来た場合の為にも必ず聞いておきましょう。

・調査準備
税理士と相談し、必要な準備を進めていきましょう。申告書や請求書、領収書、通帳、給与関連の書類など、収支に関わるものや、調査の対象期間分のアポイント帳、金庫やキャビネット、引き出しなどの整理・点検なども行っておきます。

○税務調査で見られるポイント

実際の調査で問題になるのは、やはりカルテの閲覧だと思います。

税務当局はカルテも質問検査権の範囲内と考えているので、守秘義務をもった歯科医師との間で、「見せる、見せない」ともめてしまう場合があります。医院としては、求められた最低限のカルテは開示せざるを得ないですが、だいたいは自費収入の計上漏れチェックが多いようです。

それ以外は
1.家計費のつけこみ(医院以外の経費を計上する)
2.一部負担金をもらわなかった金額の処理
3.回収した金属の売却代金未計上
4.治療中の自費診療計上もれ
5.専従者給与の額と業務内容との比較
6.架空の人件費計上
7.接待費の額の多さ(二次会費用は認めない)
8.講習会出席と旅費の整合性
9.材料・技工代等の伝票操作
などです。また、調査ではたわいもない雑談には注意しましょう。

調査官は、雑談の中から経理操作を想定して実際の経理操作との矛盾を突いてきます。

気をつけなければならないのは反面調査です。反面調査とは、歯科材料店や技工所、金融機関等からの関係資料に基づいて調査することで、技工所の場合は医院側からの技工依頼書と技工所の受注伝票を付き合わせる調査をします。

これらに整合性がなければ、なんらかの操作が行われたと税務署は判断していきます。

いづれにしても、普段からしっかりと帳簿を付け、書類の保管をしておくことが大切です。収入をごまかさず計上し、もらった領収書等はきちんと整理して台紙に貼り、使った金額・用途・日付・参加者人数・内容などを書いておくのが一番です。

また、税理士や税理士事務所を利用せず、全て自分で税務報告書を作成している先生もいらっしゃるようですが、やはり専門的な知識が必要となるので、普段から税務管理を依頼しておくのがいいではないでしょうか?