歯科開業の環境と将来予測7 歯科の未来予測「アクティブシニア・小児歯科・アジア進出」


近年の歯科開業の傾向と人口推移から予測られる、歯科医院の開業予測の第7回で最後となります。過去のシリーズをまだ読まれていない方は1から順にお読み進みください。歯科開業の全体については「歯科開業について」をご覧ください。

今回は歯科新規開業の現状と将来の予測4でお話しした30年後の人口予測から推測される未来予測の「アクティブシニアの増加」「小児歯科の自費化」「歯科医療のアジア進出」について説明していきます。

○未来予測3 アクティブシニアの増加

アクティブシニアの増加

超高齢社会の到来を言われて久しいですが、実はその中身に変化起きています。たとえば、65歳以上の高齢者の可処分所得を見てみると、2000年から2006年まで急減しています。

さらに、働いている高齢者と無職の高齢者の可処分所得差は2倍にもなっているのがわかります。このことは、高齢者の中でも無職の高齢者に対し、働く高齢者は消費にたいしてその余力があり、潜在的な購買力があることを示しています。

しかも、この層は健康や予防に関心が高く、こうしたものへの出費を惜しまない特徴を持っています。こうした層こそ、これから注目すべき「アクティブシニア」と言われる層なのです。

このアクティブシニア層の高齢者全体に占める割合は、現在のところ高齢者の約3割程度ですが、将来的には様々な予防や健康意識の高まりや、年金支給年齢の引き上げ、不足する労働力へのニーズなどを背景に、4割~5割程度まで伸びる可能性が高くなります。

この結果、従来の介護保険を中心とした訪問歯科診療や高齢者歯科診療から、元気に働くために、自身の健康のための食事に気を遣い、口腔内への関心も非常に高い層が新たな歯科診療マーケットとして出現し、大きなパラダイムシフトが起こると推測できます。

そして、いち早くこうしたアクティブシニアを中心とした食育や口腔ケア活動、全身的な口腔健診などを手掛けることが、アクティブシニア顧客のロイヤリティにつながり、次の段階の介護や訪問歯科への囲い込みにつながっていくでしょう。

○未来予測6 小児歯科の自費化

自費診療枠の拡大

年少人口は、政府が少子化対策を行っているにも関わらず、前述のように2015年の1,583万人から2045には1,012万人と571万人減少すると予想されます。この結果、政府は今よりもさらに子育て環境を整えるとともに、生まれた年少者への保護は手厚くなり、より大事にされるようになります。

このことは、すでに中国で実証されています。

中国では1979年に始まった人口規制政策により、幾何級数帝に増加していた人口を抑制することに成功しました。しかし、中国の一人っ子は両親と祖父母の6人(全員存命であった場合)の大人から一身に愛情を受けて育つため甘やかされ、小皇帝(女児の場合小公主)とも呼ばれ、それ以前の世代とは異なる価値観を持ち、家事もまともにできなかったり、徴兵されても精神的・肉体的に脆弱すぎて使い物にならない兵士がでるほどなのです。

極端な例をお話ししましたが、日本の場合ここまで極端ではないにしろ、やはり子供に相当のお金をかけることが当たりまえになっていきます。

この結果、多くの子供がいわゆるキッズ倶楽部に加入し、治療や口腔イベントに参加するたびに何かインセンティブを与えられたりするとともに、こうしたキッズ倶楽部は特別な環境下で、特別な扱いをする自費診療を前提として予防から齲蝕処置を親御さんに教育することで、小児歯科を自費化していく可能性があると思われます。

すでに、その予兆として「キッズデンタルパーク」などの名称でプログラムの導入と運営サポートを行う会社も出現しています。

○未来予測7 歯科医療のアジア進出

歯科医療のアジア進出

今まで見てきたように、日本の人口は減少の一途ですが、アジアに目を向けると実は人口は拡大していく傾向にあります。

特にASEAN加盟10ケ国(インドネシア、タイ、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミヤンマー、ラオス)だけでも、人口は日本の4.7倍の5億9,791万人(2011年)にのぼります。

一方、対10万人当たり歯科医師数は、日本の80.4人に対し、
・ミャンマー6.9人
・ラオス3.5人
・カンボジア2.0人

と日本の約10から40分の1にしか過ぎず、極端に歯科医師が不足しています。このように、ASEAN諸国の歯科医療の整備は十分に進んでおらず、将来にわたりかつての日本のように、歯科医療を国民に普及していく整備が行われることは明らかです。

実は、このASEAN諸国で歯科医師に関して、2009年に相互承認枠組み協定(ASEAN Mutual Recognition Arrangement on Dental Practitioners)が締結されました。

この協定により、ASEAN各国は自国の歯科医師管理制度を整備し、域内での歯科医師の移動を自由化することを目指しています。ただし、現状は各国の歯科医師資格試験制度や歯科医師養成制度、医籍登録制度、外国人向の取り扱いなどがバラバラで、これらを2015年目途に整備し、運用していこうとしています。

また、現状でもすでにマレーシア、シンガポール、オーストラリアでは多くの外国人歯科医師が資格を行使している事実があるのです。

このように、国際的な歯科規制の法整備が出来上がれば、より一層歯科医療マーケットが国際的に解放された状況になると思われます。

こうした、機会をとらえて、日本が国際的なレベルでの歯科医療を確立し、東南アジアでの歯科医療のデファクトスタンダードになっていけば、将来において日本人歯科医師がこうしたASEAN諸国で歯科医業に従事することは、充分考えられるでしょう。

以上です。

これまでお伝えしてきた、「歯科新規開業を取り巻く環境と将来の予測」シリーズはいかがでしたでしょうか?もっと詳しく聞きたい!この状況から具体的に開業はどうすればいいの?などセミナーでさらに詳しくお伝えしていますので是非ご参加ください。

歯科開業の現状と将来予測が1日で分かる

このシリーズの総括として、各章の概要をまとめた徹底解説!歯科業界の動向、10年後の未来もあわせてご参考ください。