歯科医院で共に働いていくスタッフを採用するために、面接の流れや注意点などの基本的なポイントを紹介します。
スタッフ面接の流れやポイント
それでは早速、面接の流れにあわせてポイントを紹介します。
面接準備
面接場所は、歯科院内にするのが望ましいでしょう。そうすることで、求職者は職場のイメージがしやすくなり、通勤にかかる時間も体感できるので、採用後のギャップを減らすことができます。
新規開業時で、歯科医院での面接が、内装工事などの理由により難しい場合は、近所の公民館や貸会議室などを活用しましょう。質問内容も事前に整理しておきます。1~2分で回答できる簡単な質問用紙を用意し、求職者にその場で記入してもらうのも一つの手です。
面接当日について
先生の服装はスーツよりも、カジュアルすぎないきちんとした服装がおすすめです。医院のスタイルにもよりますが、あまりかしこまりすぎると返って求職者を緊張させてしまうこともあります。また、当日は遅くとも面接開始時間15分前には現場に到着しておきましょう。
<面接当日の持ち物>
- 筆記用具
- 面接票
- 質問用紙を使用する場合は、質問用紙
- 募集広告の原稿(待遇について質問された時に、確認するため)
- 面接予約表
- 預かった履歴書を保管するファイル、封筒など
面接が開始したら
求職者の入室と同時に、面接は始まっています。第一印象、服装、挨拶・自己紹介ができるかといった基本的な点をチェックしましょう。
ただし、求職者が先生のことをチェックしていることを忘れてはいけません。面接する側は、選んでいると同時に求職者から選ばれているのです。世間話をするなど、相手をリラックスさせる工夫をすると好印象です。医院がどの様な医院理念や診療方針で行っていくか、開業の思いを求職者に簡単に語りましよう。オープニングスタッフは先生の思いを共有し患者にも伝えて行くことが大事になりますので大いに語りましょう。
面接が始まったらまず履歴書に目を通し「簡単にご自身のご経歴をご説明いただけますか?」と声をかけ、自ら経歴を説明してもらいます。自分で説明させることで求職者が論理的な説明ができるか、こちらの意図を汲み取っているかがわかります。
説明を聞いたら、求職者に質問をしていきます。
求職者への質問
質問で最低限聞いておくことの例を紹介します。
志望動機
初めに訊くのが志望動機です。「家から近い」という理由だけでは志望度が低い可能性があります。特に正社員として採用する場合は、しっかりとした志望動機が話せるかどうかチェックしましょう。
経験者の場合
勤務していた医院について詳しく質問しましょう。複数の歯科医院で経験がある場合は直近の2~3医院について詳しく聞けば十分です。
衛生士の場合
上記に加え、具体的な業務にかかる時間なども質問します。
前職を退職してからブランクがある場合
ブランク期間とその理由、復帰にあたり不安に思うこと、などについてよく確認しておく必要があります。結婚・出産・子育てのためという回答が多いと思いますが、体調や親の看病などが理由の場合、今は本当に就業に問題が無いのかよく確認しましょう。
未経験者の場合
なぜ歯科医院で働いてみようと思ったのか、志望動機をよく確認します。知人が経験者という場合、経験のまた聞きで仕事を楽に考えている場合もあるので、どんな仕事と聞いているか確認したほうが良いでしょう。仕事の経験があれば、他業種でも前職の内容や志望動機、退職理由についてについて確認し、求職者の仕事に対する考え方を把握します。
仕事内容の説明
募集ポジションの担当業務を伝えます。具体的に詳しく話し、求職者の希望と相違ないか確認しましょう。
通勤方法について
遠方にお住まいの方の採用は避けたほうが無難でしょう。ただし、衛生士である場合や、助手でも能力・人柄が突出して長けているという求職者の場合は例外です。
パートの勤務可能シフトについて
パート志望の方には「勤務希望日」ではなく「勤務可能日」を聞くようにします。その上で、週に何日、1日何時間程度働きたいか確認します。午前のみ勤務希望でも、午後途中まで働ける可能性があるので「遅くとも何時に医院をでなければいけないのか」を質問し、参考にしましょう。
※すべての求職者にすべての質問をする必要はありません。臨機応変にご対応ください。
面接の最後に
面接が終わったら、結果をいつまでに、どうやって伝えるかを忘れずに説明しましょう。その際、連絡の付きやすい曜日、時間を聞いておくとベターです。あわせて、今後の履歴書の取扱いについても説明しましょう。
結果の連絡
採否の連絡について、採用者の場合はその場で本人の意向を聞く必要があるので必ず電話で連絡しましょう。もしご縁が無かった場合は、書面の郵送でも構いません。
最も大事な、心構え
求職者の多くは医院の近くに住んでいる方です。
ご縁が無かった場合も、患者として来院しクチコミ発生源となる場合もあるでしょうし、次回募集のときにお願いすることもあるかもしれません。丁寧な対応を心がけましょう。
採用における注意点
では次に採用を行う際の注意点を紹介していきましょう。
身内採用の場合
身内採用は、一般的に縁故採用やコネ採用などとも言われますね。歯科医院でも、身内を採用することはよくあることでしょう。もともと身内なので、身元も分かっていますし採用の為の人件費や時間、採用費などを削減できるのが大きなメリットです。
しかし、メリットばかりではありません。いざ働き始めてからその人の適正や能力が見えてきて思っていたように働いてくれない場合や、まわりのスタッフと折り合いが上手くつかず、身内以外のスタッフが全員辞めてしまったなんてお話しもしばしば伺います。
身内であるからこそ、頼りになる半面、何かあった時に辞めてもらうことが難しい時もあるので、予めしっかりと考えておくことや、お互いに取決めをしておくといいでしょう。
「悪い条件」がある場合は事前説明
採用の時は、いい人に来てほしいからと言って医院の良い面ばかりをアピールしてしまいがちです。
もちろん医院の良い面は十分にアピールして頂いた方がいいですが、実際と乖離している場合や、面接では伝えていなかった悪い条件が働いてから見えて来た時に「面接ではそんなこと聞いていない」と言ってせっかく採用できたスタッフがすぐ辞めてしまうこともよくあります。
そうなってくると、採用費だけではなく、採用後に行った教育のコストや人件費も全て無駄になってしまいます。応募者の方には面接のタイミングでしっかりと雇用条件を説明しておきましょう。
試用期間を設ける
よく聞く試用期間についてですが、医院側が試用期間を設けるためのメリットは、試用期間中は本採用した後の解雇より、広い範囲での解雇が認められています。本採用後は、解雇予告手当の支払いなどもありますが、14日間以内であれば解雇予告及び解雇予告手当の支給をすることなく解雇できます。なお、試用期間を設ける場合は、就業規則、労働契約書にしっかりと明記しておかなくてはなりませんので注意しましょう。
また、言うまでもないかとは思いますが、試用期間は、長期雇用を前提とした本採用するかどうかをお互いに見るための期間となります。
最長が1年が限度ではありますが、むやみに試用期間を延ばしたり条件を悪くするようなことは、いい人を採用することには繫がりませんので、あくまでお互いに適正を見るためのお試し期間ととらえ設定されてください。
スタッフ採用9つのポイントとは?
ここまで面接で必要なポイントについてお話しました。要点をまとめると、下記ようになります。
- 面接場所はなるべく院内
- 開始時間15分前には現場にいる
- 世間話など、相手をリラックスさせる工夫をしよう
- 志望動機を見極める
- 仕事への考え方を知る
- 就業が現実的に可能かどうかを判断
- 募集の業務内容を説明し、相手の希望と相違ないか確認
- 合否結果の伝達方法をきちんと説明する
- 今後も続くかもしれない一つのご縁、対応は丁寧に
歯科医院の採用面接全般でいえることですが、技術は実際のところ雇ってみないとわからないものです。面接で判断する点と面接ではわからない点を割り切って考えるのがポイントです。まずは良い印象を受ける方を採用することを重視しましょう。
また、新規開業においては、採用まで進んでいったらいよいよ開業準備も大詰めを迎えます。インサイトでは、開業前から予約を集める歯科医院の内覧会運営も行っており、採用されたスタッフさん向けの研修もしっかりと行うので、安心して準備を進めることができます。
「まだ税理士事務所を決めていない」「人材や労務関係に精通している税理士事務所を探したい」など、ご希望がございましたら歯科医院の実績がある所を紹介することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
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