歯科医院を閉院することになった時の手続き方法


歯科医院を閉院することになった場合の手続き方法

年齢や体調、経営状況など様々な理由により歯科医院の閉院をせざるを得なくなった際には、開設時と同様に歯科医院の届出を提出する必要があります。「歯科医院の継承に必要な手続きとは?医院継承方法と流れ」でも少し触れましたが、今回は歯科医院の閉院の流れや手続きについて解説していきます。

一言で閉院といっても、閉院までには様々な道のりがあります。

①スタッフへの対応
②患者さんへの対応
③院内の機材や材料などの整理
④閉院の届出

上記のテーマに分けて解説していきましょう。

○スタッフの雇用契約

スタッフへの周知については、スタッフも生活があるので、タイミングを見て話しをすることが大切です。労働基準法の第二十条に

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
○3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

とある通り、30日前には従業員への解雇通知を行う必要があります。30日を切ってしまう場合は、解雇日までに足りない日数分の平均賃金を払えば問題ありません。しかし、経営状況の悪化により支払が困難な場合は、未払賃金立替制度という国の制度があるので、手続きを行います。

○患者さんへの対応

閉院する場合、閉院前から来院してくれている患者さんへの告知をしておいた方がいいでしょう。通院中の患者さんへは、治療の終了予定時期を伝え、閉院前に完治出来ないようであれば代診または他の医療機関への診療を伝えておきましょう。再来患者さんについては、閉院予定までに終了見込みが立てられれば受付、そうでない場合や新規患者さんについては他の医療機関を紹介することで、余計なトラブルを生まずにスムーズに進められます。

また、カルテやレントゲンなど診療に関する記録等にはそれぞれ次のような保管義務があります。

対象物 保存期間 指定
カルテ 5年間保管 医師法24条
レントゲンデータ 完結の日(診療行為終了)から3年間 険医療機関および保険医療機関療養担当者規則
エックス線装置等の測定結果記録 記録を5年間 医療法施行規則第30条 21、22

カルテや診療記録など整理を行い、上記に該当するものは保管、そうでないものは廃棄をしましょう。

○院内の機材や材料の整理

院内にあるユニットやレントゲンなどの大型機材や治療材料や薬剤など様々なものを整理・破棄をしなければなりません。リース期間が残っているものなどは、リース料の支払いなどが必要になります。リースの場合、機材などの所有権はリース会社にありますので、リース会社と廃棄等の相談をされるのが良いでしょう。

その他の廃棄物などは医療廃棄物処理業者に依頼して整理していきます。金属等はすでに取引のある業者などを利用し業者に買い取ってもらいましょう。

○閉院の届出
提出先 必要な手続き 期限
保健所 診療所廃業届 廃止後10日以内
診療用エックス線装置廃止届 廃止後10日以内
地方厚生(支)局 事務所等 完結の日(診療行為終了)から3年間 険医療機関および保険医療機関療養担当者規則
税務署 個人事業の開廃業等届出書 廃止後1ヶ月以内
事業廃止届出書 廃止後速やかに
給与支払事務所等の廃止届出書 廃止後1ヶ月以内

この他にも、生活保護法指定医療機関廃止届や、ハローワークへの雇用保険適用事業所廃止届・雇用保険被保険者資格喪失届・雇用保険被保険者離職票などの提出も行います。

簡単に流れを紹介しましたが、スタッフや患者さんへの対応・カルテや診療記録などの保管義務などを考えると、様々な手間がかかる為、譲渡や売却できる状態が良いでしょう。譲渡する場合については「歯科医院経営講座:やむなく医院を譲渡するなら」で事例を紹介していますので併せてご覧ください。

しかし、良い立地で医院の収益が出せている際の売却ではなく、経営状況が悪化して閉院となる場合は、医院を引き継いでくれる人を探しても見つかるとは限りません。そうならない為にも、開業の際の場所や立地選びは何より重要です。インサイトでは、歯科医院向けの優良物件の一部をWEBでも紹介していますので、是非一度ご覧ください。

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