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【法令から見る災害への備え】歯科医院で用意しなくてはならない避難器具って何?

歯科医院で用意しなくてはならない避難器具って何?
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歯科医院に関わる消防法!内装設計時と届出の注意点」でも軽く触れましたが、歯科診療所でも条件によって避難器具を用意する必要があります。

具体的に何が必要になるのか、法令で定められている事項を詳しく見ていきましょう。

必要とされる設置数

必要となる避難器具の設置数については、開業している建物・収容人数の条件ごとに異なります。

消防法施行令の中で無床の歯科診療所は別表一(六)項イ(4)の防火対象物に該当しますが、この防火対象物に求められる避難器具の設置条件と数は以下の通りです。

該当の消防法施行令条件避難器具の設置数
第二十五条避難階及び11階以上除外
第二十五条第一項一号避難階及び11階以上収容人員100人以下で1個以上、
以降100人ごとに+1個以上
第二十五条第一項五号3階以上の階のうち、当該階(※)から
避難階または地上に直通する階段が
2以上設けられていない階で、
収容人員が10人以上の場合
収容人員100人以下で1個以上、
以降100人ごとに+1個以上

※当該階に総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分がある場合、その区画された部分が該当

避難器具の設置個数については減免措置もあります。かなり細かい条件が指定されているので、詳しくは消防法施行規則の第二十六条第一項から六項をご参照の上、ご自身の環境に当てはまるかどうかをチェックして下さい。

大まかには、主要構造部が耐火構造であるかどうか、避難階段・防火戸・スプリンクラーの設置状況、渡り廊下の構造・設置状況、避難橋を設置した屋上広場や壁・床・天井の構造、バルコニー及びバルコニーへの避難器具の設置状況、小規模特定用途複合防火対象物の場合(他階の別業種入店の影響も含む)等々の単体または複合条件によって、避難器具の設置数の算定方法が変わったり、設置自体が免除されるケースがあります。

診療所は不特定多数の患者さんも出入りする施設なので、有事の際に被害をできる限り防ぐ為に避難経路を確保する必要があり、その為の取決めが法令上でも細かく定められています。

どのような環境で開業するかは一概には言えないので、それぞれの環境に応じて賃貸契約時にオーナーに確認したり、自分で準備するなどして対応していきましょう。

収容人員については消防法施行規則第一条の三で定められており、以下の合算で考えます。

一 医師、歯科医師、助産師、薬剤師、看護師その他の従業者の数

二 病室内にある病床の数

三 待合室の床面積の合計を三平方メートルで除して得た数

消防法施行規則第一条の三

人員算定はスタッフ数だけではない事に注意しましょう。

設置する避難器具

設置する避難器具は以下のように指定されています。

避難器具地階2階3階4-5階6階~
滑り台
避難はしご
救助袋
緩降機
避難橋
避難用タラップ

〇…第二十五条第一項一号だけに必要な防火対象物
●…第二十五条第一項五号だけに必要な防火対象物
◎…第二十五条第一項一号・五号双方に必要な防火対象物

避難器具の規格や設置、維持に関する詳細は消防法施行規則第二十七条にも記載がありますが、総務省消防庁の「避難器具の基準」や「避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目」でより詳細な基準が定められています。こちらも改訂が重ねられているので、同省の最新の通知・通達を参考にして設置・見直しを行いましょう。

設置場所の注意

具体的な設置場所については以下の様に指定されています。

該当の消防法施行令避難器具を設置する場所
第二十五条第二項二号避難器具は、避難に際して容易に接近することができ、
階段、避難口その他の避難施設から適当な距離にあり、
かつ、当該器具を使用するについて安全な構造を有する開口部に設置する
第二十五条第二項三号避難器具は、上記の開口部に常時取り付けておくか、
又は必要に応じて速やかに当該開口部に取り付けることができるような状態にしておく

設置する避難器具は救助袋やはしご、滑り台などになるので、いざという時はそれらの器具を開口部に設置し実際に使用する必要があります。いざという時に使えない状態では意味がないので、その為の必要な場所指定があるという事を覚えておきましょう。

※本稿は「消防施行令(平成三十年三月二十八日公布(平成三十年政令第六十九号)改正)」「消防法施行規則(令和元年六月二十八日公布(令和元年総務省令第十九号)改正)」を元に記述しております。法令は随時改正されますので、ご開業時の最新の法令をご参考にして下さい。

無床の歯科診療所で必要とされる避難器具の設置についてお話しました。診療所となると普通の家屋とは違うので、建物の条件によってはそれなりの設備が求められる事が分かりましたね。

歯科医院の内装は、他にも、配管や機械室など一般とは異なる専門知識が必要です。施工会社を選ぶ際は歯科医院の実績があるかなどしっかりと確認なさってください。

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