歯科経営管理

歯科医院の労働時間の44時間ルールを知っていますか?

歯科医院の労働時間の44時間ルールを知っていますか?
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歯科医院の就業規則例!就業規則作成のポイント」でも簡単にふれましたが、歯科医院で働く場合の労働時間については、労働基準法に則って決める必要があります。歯科医業での労働についてはどのようなルールがあるのか、どう気を付けていったら良いのかをお話します。

歯科医院の労働の44時間ルール

基本的な労働時間とは

労働時間について、一般的によく知られているものとしては、休憩時間を除いて1日8時間以上、1週間40時間以上労働させてはならないという法定労働時間についてでしょう。

「公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるもの」として、一部の業種については労働者数が常時10人未満の場合、1週間44時間まで労働させる事が出来ると特例措置が認められており、保険衛生事業も対象業種なので、歯科診療所でも人数の条件を満たしている場合には週44時間を法定労働時間とする事ができます。

しかし、導入にあたってはいくつか注意すべき点があるので次に紹介します。

週44時間を導入する上での注意点

新規開業時にこの特例を自分のクリニックで適用するのであれば、クリニックで定めた労働時間(所定労働時間)を週44時間とする事について、就業規則に明記し、それに基づいて従業員との間に労使協定を結ぶ必要があります。

実際の現場では、従業員の代表者と労使協定を書面で取り交わすのが一般的です。

また、就業規則には周知義務があるので、スタッフがいつでも閲覧出来る様にしておきましょう。

週44時間の内訳

特例措置の導入が決まったら、次はシフトをどう組むかという問題があります。1週間の労働時間を普通の業種より多くできるとはいえ、1日8時間までという法定労働時間の制限については基本的に変わりがないので、一つには、単純に1日労働日を増やすという方法が挙げられます。

<1週間のシフト例>

週合計
44h8h8h8h8h8h4h
8時間×5日+4時間×1日の例
週合計
44h7.33h7.33h7.33h7.33h7.33h7.33h
7時間20分×6日の例

※休日は、週1または4週に4日以上与える事となっているので、これ以上の労働日数追加はできません。また、分かりやすい様に週休1日で例であげています。

もう一つの方法は、月単位の変形労働時間制の採用です。こちらの制度は週当たりの労働時間が平均44時間になるように1ヶ月の労働時間を定め、その中に収まるのであれば繁忙期の所定労働時間が1日8時間・週44時間を超えていても良いとする制度になります。

<1ヶ月の法定労働時間(上限)>

A:月の日数B:1日の労働時間
(週44時間÷7日)
C:月の法定労働時間
(A×B)
最大316.29h194
最小286.29h176

<1ヶ月のシフト例>週の内訳:8.5時間×5日+休み×2日

週数週合計
117h8.58.5
242.5h8.58.58.58.58.5
342.5h8.58.58.58.58.5
442.5h8.58.58.58.58.5
542.5h8.58.58.58.58.5
月31日の場合:月合計187hの例
週数週合計
117h8.58.5
242.5h8.58.58.58.58.5
342.5h8.58.58.58.58.5
442.5h8.58.58.58.58.5
525.5h8.58.58.5
月28日の場合:月合計170hの例

分かりやすく月日数の最大・最小値のみサンプルを提示しましたが、月日数30日の場合でも条件はクリアしています。他にも色々なシフトの組み方がありますが、週44時間上限で月の法定上限も守れるシフトとして一例を挙げておきます。

月単位の変形労働時間制を採用する場合は、所定の協定書を労働基準監督署に届け出る必要があるので気をつけましょう。また、各日の労働時間が特定できない場合には、週44時間の特例措置における月単位の変形労働時間制そのものが適用できなくなるので、あまり無茶なシフトは組まない様に気をつけましょう。

医療現場での44時間ルール導入状況

実際にこの制度を導入している医院はどのくらいあるのか、厚生労働省労働基準局がまとめた「労働時間等実態総合調査結果」の中の「週所定労働時間別の事業場割合(特例措置対象事業場)」を見ると、以下の実態が分かります。

医療現場の労働時間等実態

参考:平成17年度労働時間等総合実態調査結果/平成25年度労働時間等総合実態調査結果

歯科だけの分別がない為、9名以下の医療保険業のまとめ数値を抜き出したものをグラフにまとめました。直近2回の調査結果では、週40時間超えの事業場割合は2割半ばとなっており、特例措置の適用は医療業界でそれほどスタンダードな方法でないという事が分かりますね。

しかし、近年は働き方が色々と見直され、週40時間以上の事業場割合そのものは平成17年より平成25年の調査結果の方が10%近く増えています。最後の調査より6年経過した今、その枠は更に広がっているかもしれません。

いずれにせよ、沢山の患者さんの来院が見込まれる場所で、週40時間では対応しきれないと判断できる場合には、特例措置の導入も検討する必要があるでしょう。導入する上での注意点に気を付け、スタッフに無理のないシフト作成で対応しましょう。

週44時間労働について、気を付ける点についてでした。

医院の労務などについては、既にお取引されている税理士事務所や社労士が対応してくれることがほとんどかと思います。ご自身の医院で抱えている人材や労務関係については、お付き合いのある所にご相談頂くのがスムーズでしょう。

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