歯科医院の広告・集患

歯科広告で注意すべき医療広告規制を徹底解説!限定解除とは??

医療広告規制解説!
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歯科医院の集患のために看板や広告など様々な方法を検討されると思いますが、医療には広告の規制があり、法律でNGとされる内容もあります。

今回は、その医療広告規制について解説します。

医療広告規制とはどんなもの?

医療広告規制とは、医療法第6条の5で定められた広告規制のことをいいます。

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示(以下この節において単に「広告」という。)をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。

医療法第6条の5

とある通り、規定以外の事項を広告することは許されていません。

これは患者さんを守るための措置で、

① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当 なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。②医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。

医療広告ガイドライン

という考えに基づいており、広告に記載していい事項も、よく目にする一般の広告などから比べるとだいぶ種類が限られています。

歯科医院の広告対象となるものはどんなもの?

広告として取り扱われる媒体については「医療広告ガイドライン」に記載があり「誘因性」「特定性」を持つことが定義されています。

広告対象とされるもの

先ほども、簡単に広告の定義に触れましたが、ガイドラインでは以下のように記載されています。

① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)

② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)

医療広告ガイドライン

つまりは、誘因性・特定性の2つを満たせば広告としてみなされるということです。具体的にはどのようなものが広告とみなされるのでしょうか?実際によく見かけるものとしては以下のようなものがあげられます。

  • 医院の看板
  • 野立て広告、電柱広告
  • バス・電車の交通広告
  • 雑誌広告
  • 電話帳
  • ホームページなどのWEBサイト
  • インターネット上のバナー広告
  • 内覧会

上記の他にも、歯科医院の広告種類などを「歯科医院の広告で集患に有効な媒体と種類」で紹介していますのでご参考ください。

広告とみなされたものは、広告掲載そのものを禁じているのではなく、掲載内容の基準をクリアしていれば広告として出すことは可能です。

広告に掲載出来ること

広告対象とされたものに掲載できる事項は以下のとおりです。

  • 歯科医師である旨
  • 診療科名
  • 医院名
  • 電話番号
  • 場所
  • 管理者名
  • 診療日、診療時間
  • 指定医である旨
  • 医療従事者に関する事項(氏名、年齢、性別、役職、略歴など)
  • 医療相談・安全措置・個人情報の取扱いなど、管理運営に関する事項
  • そのほか、厚生労働大臣が定める事項

歯科で表示できる科目については下記で詳しく紹介しています。

注意ポイント!広告の掲載が禁止されていること

禁止されている広告の基本的な考え方は以下のように定義されています。

(1)内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
(2)他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
(3)誇大な広告(誇大広告)
(4)公序良俗に反する内容の広告
(5)広告可能事項以外の広告
(6)患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
(7)治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等

例えば「集患○○『日本の名医100人』に掲載されました」など、自分や医院の功績を誇張するような広告内容は誇大広告として受け止められる事があります。また、「○週間で90%の患者に効果がみられます」「最新の治療が受けられます」など、医学上根拠のない広告については虚偽とみなされます。

広告として見なされないもの

広告とみなされるものと、その場合の掲載内容をどうするのかを紹介しましたが、以下のものは、広告とはみなされません。

・学術論文、学術発表
広告の定義のうち誘因性がないため、広告としてみなされないとされています。ただし、ダイレクトメールで論文等を送り、特定医院の受診を増やすことを目的にしている場合は誘因性を満たしているとして広告として扱われます。

・新聞や雑誌などの記事
こちらも通常は誘因性がないため、広告ではないとされています。ただし、医院が費用負担し記事を掲載してもらう記事風広告は誘因性があるとし広告帰依し対象になります。

・患者さんが自ら掲載する体験談・手記
患者さん自身やその関係者からの伝聞など、実体験に基づいた医院に関する体験談・手記(SNSも含む)等については広告とはみなされません。ただし、話題に上った医院との関与(金銭授受や医院関係者からの依頼)がある場合は誘因性があるとして広告規制の対象になります。

・院内掲示、院内で配布するパンフレット
情報の受け手が来院患者さんに限定されるので、情報提供や広報とみなされ、広告とはされていません。ただし、希望していない人にダイレクトメールとして送るパンフレットは広告としてみなされます。

・スタッフ募集などの採用に関する広告
採用目的の求人広告は、患者さんの受診を誘引するものではないため、広告とはみなされません。

医療広告ガイドラインに掲載されている、広告として見なされないものを紹介しましたが、次に広告としてみなされた場合に掲載できることを紹介します。

広告規制の限定解除とは?

平成30年にガイドラインが変更になり、これまで広告とみなされていなかったWEBサイトも広告の対象となりました。ホームページなどのWEBサイトが、どのようにあるべきかについては、厚労省の「医療広告ガイドライン」に記載があるので、参考になさって下さい。

広告としてみなされた場合であっても、限定解除の要件を満たしていれば、広告可能事項の限定を解除できるとされています。

広告の限定解除要件

限定解除の要件は、次のようにされています。

(1)患者が自ら求めて入手する情報であること
(2)「連絡先」を明記(患者が照会可能なもの)
(3)「費用」を明記
(4)「リスク、副作用」を明記
※(3)(4)は自由診療を提供する場合に限る。

例えば、院内パンフレットなどは患者さんが来院し自ら手に取らないと得られない情報なので限定解除の対象となりますが、看板などは患者さん本人が探し求めずとも目に入る情報なので逆に広告内容が限定されるといった感じです。

(3)(4)に関してよくあるケースとしては、保険対象外のインプラント治療やホワイトニング、矯正などを行っている場合、(1)(2)の要件を満たしたほか、費用やリスクについても明記しなければ限定解除対象とならない点に注意しましょう。

広告のNG例と判断に迷う例

具体的な例を紹介します。

広告のNG事例

新規患者数を増やす為、期間限定で「ホワイトニングが今なら〇〇円!ご相談頂いた方には〇〇をプレゼント!」という案内をホームページに載せた。

→標準的な費用記載ではないので広告は不可。また、プレゼントなど医療と関係ない事で広告を見た人を誘因する内容も広告不可。

インプラント治療が診療所の強みなので、「〇〇クリニック インプラント科」という診療科名を看板に掲示した。

→「インプラント科」「審美歯科」など法令の根拠のない科目記載は標榜不可。(歯科で許される科目名は「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の4項目、及び、この4つの内からの常識的な組み合わせのみ)

参考:歯科医院で掲載出来る標榜科目

在籍Dr数が数名おり、スタッフ数も周辺の歯科診療所より多かったので、治療の受けやすさをアピールする為に「歯科医師が〇名います。地域で一番のスタッフ数です!」とホームページのトップに大文字で掲載した。

→「地域で一番~」などの比較優良表現は、事実であっても不可。従業者の人数は掲載しても構わないが、事実と異なる・強調掲載は不可。かつ、実態に即した随時更新・歴月の時点記載が必要。また、年に1度の更新が必要。(記載例:「歯科医師〇名、衛生士〇名、助手〇名在席(2021年10月時点)」)

医院の診療イメージを伝えるため、アンケートに基づいて患者さんの治療体験談をホームページに掲載した。

→医院が自分の都合の良い様に取捨選択を行った上で掲載している情報なので不可。また、患者さんがSNS上などで自ら掲載する体験談・手記については広告とはみなされないが、その内容を書くにあたり医院関係者(その家族等も含む)の関与があれば医院にとって都合の良い情報が掲載されている可能性があり、誘因性があるものと見なされるので不可。

治療イメージを伝える為、インプラントの施術前後の写真をホームページに掲載。術後の効果をよく見せようと思い写真の色合いをデジタル加工し見栄えを良くしてホームページに掲載した。

→広告の限定解除要件を満たしていない場合、術前術後の写真掲載は広告不可。また、解除要件を満たしていても、あたかも効果があるように加工・修正した写真は患者さんに誤認させる恐れがあるので広告できない。また、写真要件を満たしても、通常必要とされる治療内容、費用、リスク、副作用等に関する詳細な説明を併記しなければ広告不可。

自分の得意とする治療Aをなるべく取り入れたかったので、医院サイトの治療内容コンテンツ内で「B(施術)よりもA(施術)の方が比較的痛くなく、必ず効果があります!」と紹介した

→治療効果の保証、根拠のない比較表現は広告不可。

判断に迷う事例

・予約について記載しても良いか?
→広告掲載可能。「24時間予約受付」などの予約時間、予約受付電話番号、ウェブサイトのURL、Eメールアドレス等も掲示OK。

・バリアフリー構造など、障害者の方に向けた診療所の配慮について記載しても良いか?
→実質の構造要件を満たしているのであれば、バリアフリー構造、院内点字ブロック、点字表示、音声案内設備等の有無は広告掲載可能。車椅子利用者、視覚障害者等への配慮をした構造である旨を示すことも差し支えない。

・往診を実施しているが、その旨を掲載しても良いか?
→「訪問診療の実施」等、掲載可能。往診に対応する医師名、対応時間、訪問可能な地域等についても広告掲載可能。

・インプラント治療にCTを導入しているが、治療に安心感を持ってもらう為、そのような機器を導入している事について記載して良いか?
→画像診断装置・放射線治療器等の医療機器、空気清浄機等の医療機器以外の機械器具の配置状況、一般的な名称(例:CT・セファロ等)やそれらの写真・映像・導入台数・導入日等については広告掲載可能。(ただし、医薬品医療機器等法の未承認医療機器に関しては不可)

よく迷いそうなポイントについて挙げてみました。

医療法には抵触していなくても、虚偽・誇大広告に対しては景品表示法・薬機法などを根拠として刑事罰が適用される場合があるので注意しましょう。例え、限定解除の要件を満たしたとしても、医療に関する広告としてふさわしい品位を常に問われています。

適切な医療が受けられなければ、患者さんが大きな被害をこうむる事になるので、医業や歯科医業では特に情報提供(広告)に関する規制を守る必要がありますね。患者さんが医療を受けるのに適切な情報を得られる内容であるかどうか、という事を念頭において、集患の為の広告をどうするか考えていきましょう。

これらの具体例以外にも、規制対象になるのかどうか迷う場面に遭遇する事は多々あるでしょう。

広告規制は細かく限定されており、自分医院の場合に照らし合わせて読み解くのも容易ではありません。そういった手間暇は、専門家に任せてしまってもいいかもしれません。

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