歯科医院経営講座⇒やむなく医院を譲渡するなら


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院長、こんなときどうしますか?~やむなく歯科医院を譲渡するなら~

<ケース>
30歳で開業してから25年経った〇〇歯科医院の医業収入は36,000千円で、申告所得は約10,000千円の中規模医院です。院長は55歳で、半年前から腰痛がひどくなり、この秋から長期間の入院をしなければならなくなりました。

この間、代診を入れて診療を継続することができないか考えていましたが、ある程度の資産や積み立て保険あるので、思い切って、医院を譲渡しようと考えています。

さて、どのように譲渡したらよいのでしょうか?

○歯科医院の譲渡

歯科医院の譲渡

医院の譲渡にあたっては、以下の3段階を経なければなりません。

1)譲渡金額をいくらにするか
2)譲渡先をどうやって探すか
3)テナントオーナに譲渡を承諾してもらう

譲渡が可能な物件としては、現在の医院に相応の患者数があって、医業収入が上がっていることが条件になります。今回のケースでは、院長がまだ若く、医業収入も全国平均以上なので、譲渡や貸し出しを魅力的に感じる若手の歯科医師はいると考えられます。

そこで考えなければならないのは、譲渡の場合医院をいくらで譲渡するのかということになります。

いくらで譲渡するかは、医院を売りたい人と買いたい人との相対になるのが基本です。売る側としては、譲渡する医院がいかに魅力的ですかを分かりやすく買いたい人に伝える必要があります。

そこで、プレゼン資料をしっかり用意します。最低限必要なのは過去3年間の税務申告書、決算書です。そのほかレセプト枚数・実来院数・アポイント数・月間保険点数・自費金額の月別推移表を作成しましょう。こうすることで、買いたい人の意思決定が早まり、売ったあとに問題が発生することも少なくできます。

譲渡の金額ですが相場としては、医院の資産価格+月間医業収入の3ケ月から6ケ月分くらいではないでしょうか?

したがって、上記のケースでは、25年経っているのでユニットやレントゲンをそのまま使用していたとすると資産価値はゼロで、年間医業収入が36,000千円だから、9,000千円から18,000千円の間ということになります。

また、歯科医院が新しい場合には、必ず医院内に残る譲渡機器のリストを作成し、譲渡する資産価値を明確にすることが重要です。さらに、この譲渡機器リストを作成することで、譲渡時のトラブルを回避できます。

実際に、契約時にはあった器材が譲渡時にはなくなってしまい、最終的に譲渡がながれてしまった例もあります。

次に、譲渡先をどうやって探すかということですが、これは専門の業者に任せた方が良いでしょう。もちろん、歯科医師間で譲渡できれば越したことはないですが、買いたい人とめぐりあうこと自体が難しいと言わざるを得ません。

さらに、譲渡にあたっては保証金や賃料、契約にある退出時の現状復帰が継承されることを事前に文書でテナントオーナーに必ず了承してもらわないと、新たな賃貸契約を結べず破談になってしまうケースもあるから注意が必要です。

今回は医院の譲渡(売却)についてお話しいたしましたが、譲渡される側(購入する場合)の注意点やポイントについても解説しています。是非ご参考ください。
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