歯科医院に関わる消防法!内装設計時と届出の注意点とは?


歯科医院に関わる消防法!内装設計時の注意点とは?

歯科開業に関わる法律ってどんなものがあるの?よく知っておくと良い法律とその概要」でも簡単にふれましたが、歯科開業の内装設計時には、消防法が関わってきます。今回は、歯科医院で注意しなくてはならない消防法や検査・その内容について紹介します。

歯科で消防法に関連することとはどんなこと?

消防法とは、その総則第一条にあるように、火災の予防と鎮圧、国民の生命・財産の保護、火災・地震被害の軽減、災害による傷病者の適切な搬送などを行う為に、様々な規制が定められた法律です。医療機関については消防法第十七条の二の五項四の中で「特定防火対象物」(防火対象物で多数の者が出入するものとして政令で定めるもの)に指定されており、歯科診療所もこれに含まれます。

特に有床の診療所や病院の場合は、火災で甚大な被害が起きた過去の事案などもあり厳しく規制されていますが、個人開設の歯科診療所は無床の場合が多く、求められる内容が異なります。歯科で何を用意すべきなのか細かく見ていきましょう。

消防法施行令の別表第一を見ると「(六)イ(4)患者を入院させるための施設を有しない診療所又は入所施設を有しない助産所」とあり、無床の歯科診療所はこれに該当しますが、この防火対象物に対して消防法などで必要としている設備は下の表の通りになります。

(1)いずれの場合も必要になる設備

設備 関連法
避難口誘導灯
通路誘導灯
誘導標識
防炎対象物品の防炎性能
消防法第八条の三
消防法施行令第四条の三
(2)延べ床面積別(1000坪以上の場合については記載省略)

面積 設備 関連:消防法施行令
150㎡以上 消火器具 第十条二
300㎡以上 自動火災報知設備 第二十一条三イ
漏電火災警報器(※1) 第二十二条三
500㎡以上 消防機関へ通報する火災報知設備 第二十三条
700㎡以上 屋内消火栓設備(※2) 第十一条二
動力消防ポンプ設備(屋内消火栓設備と同基準) 第二十条

(※1)間柱若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁、根太若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの床又は天井野縁若しくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの天井を有する場合に設置。(※2)主要構造部が耐火構造または主要構造部を準耐火構造(またはそれと同等の性能を有する)かつ内装仕上げが難燃以上の場合は1,400㎡以上、主要構造部が耐火構造でかつ内装仕上げが難燃以上の場合は2,100㎡以上。

(3)収容人数別(30人以上の場合については記載省略)

収容人数 設備 関連:消防法施行令
10人以上 避難器具(3階以上で、避難階または地上に直通する階段が2以上設けられていない場合) 第二十五条五
避難器具(2階以上・地階で、下階に消防法施行令別表第一1~4項・9項・12項イ・13項イ・14項・15項がある場合) 第二十五条一
20人以上 非常警報設備 第二十四条2一
避難器具(2階以上・地階の場合、避難階の場合は除く) 第二十五条一

※用意する避難器具の詳細に関しては消防法施行令第二十五条2の一覧表をご参照下さい。

地下3階以下・地上3階以上から階層別の要件もありますが、こちらの設備については記述を省略します。

必要とされる設備の一覧表を見ての通り、診療所の面積や人員規模に応じ求められる設備も変わります。特に表(2)の屋内消火栓などは通称2倍読み・3倍読みと言われる内装設計に合わせた面積条件(表外※2参照)などもあるので、ご自身の環境に合わせて対応していきましょう。

また、内装については設計のほか「防炎対象物品」(表(1))としてカーテンやカーペットなどの院内で使うファブリックの防災・防炎性能なども問われてきます。ご自身で用意される場合などは、特に注意しましょう。

消防法に関連した届出はどんなものか?

消防の実働部隊の管理・運営は地方自治体の管轄で、届出書は管轄の地方自治体に用意があり、書類の提出先は管轄の消防署予防課などになります。詳しくは自治体に案内が出ているので、ご自身の環境に合わせてチェックしてみて下さい。

主に必要な書類は下記になります。

・防火対象物使用開始届出書
・消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書

開始届は開業7日前までに届出の必要があり、以下の資料添付も必要になります。

開始届の添付書類:防火対象物概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、室内仕上表及び建具表等

書類はそれぞれ2部用意し、提出先に提出します。

設置届は設備設置に関わる工事が完了してから4日以内に行う事になっています。添付書類は以下の通りです。

設置届の添付書類:設計書、仕様書、計算書、系統図、配管及び配線図並びに平面図、立面図及び断面図、各消防用設備等ごとの消防用設備等試験結果報告書

また、場合により工事着工7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」が必要な場合もあります。添付書類も一定の基準はありますが、条件により求められる内容が変わる場合もあるので、それぞれ管轄の提出先に事前に確認を行い、内容を協議しておくと滞りなく進めやすいでしょう。

消防署の立ち合い検査はいつ・どんなことをやるの?

通常、開始届・設置届を出してから開業までの間に消防の検査があります。何か不備がある場合は開業できなくなる事もあるので注意しましょう。

また、消防検査には設備の関係者(施工主・診療所の代表者など)の立ち合いも必要になります。こちらも事前に誰の立ち合いが必要かを確認した上で、各所のスケジュールを事前に押さえて、準備を整えておきましょう。

立ち合い検査では、提出した書類通りに消防設備が設置されているか、それぞれ正常に動くかどうかなどの確認がメインとなります。所轄や担当により詳細の判断が異なる場合もあるので、届出の際に何が必要となるかしっかりと相談しておきましょう。

例えば、消火器の周りに物が置かれていてすぐ使えない状況にある、勝手に場所を移動していた、などといったトラブルも絶対にないとは言えません。現場の責任者として、開業主である自分自身も設備の状況をきちんと把握しておきましょう。

検査をクリアしたら「消防用設備等検査済証」または「立入検査結果通知書」の交付を受け終了となります。また、消防設備は一度検査を受けたら終わりではなく、定期的な点検も義務付けられているので忘れない様にしましょう。

特定防火対象物となる事業所を所有したり、防火管理者になったりという経験がなければ、知らなかった事も多いのではないでしょうか。

お話した通り、歯科診療所には特殊な消防要件が課せられるので、開業準備をする時にはその内容を理解し、消防の事までしっかりと対応をしてくれる信頼のおける工事業者を選ぶようにしましょう。

医療施設の有床・無床の違いや、それぞれに課せられる要件を理解していない業者だと、消防の事前相談時にコミュニケーションがうまくいかず、不要な指示まで受け入れる事になり、結果として工事費用が嵩むケースも実際にあります。開業主である先生ご自身も消防法をある程度理解した上で、適切な業者選定を行いましょう。

内装設備や業者選定の他、歯科開業に向けては他にも様々な準備をする必要があります。他にもどのような点に気をつけたらいいのか、効率的に内容を把握するには一度どこかのセミナーにご参加される事をお薦めします。

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