開業資金関連

銀行融資で見られるポイントとは?銀行にとって歯科医業は要注意業種なのか?

開業資金の準備と融資
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なぜ歯科医院開業は銀行にとって「要注意業種」と言われたのか

数年前までは、銀行にとって「歯科医業は要注意業種」などといわれたこともありましたが、現在は融資を積極的に行っている銀行もあります。それでも一般個の人事業主よりは、歯科医師の開業は大変です。

その理由はまず「競合の歯科医院が多い」という点。

少し古い情報にはなりますが、厚生労働省の調査によると歯科診療所の数は、令和3年10月時点で68,028件(厚生労働省の令和3年医療施設動態調査)対して同年月のコンビニエンスストアの数は、55,938店(日本フランチャイズチェーン協会 コンビニエンスストア統計データ)となっています。

コンビニの数より歯科医院のほうが多いというのは今も変わらない現状であり、歯科医院には競合が多いという点は、ご納得いただけるのではないでしょうか。

もうひとつの理由は「設備投資費用がかかる」という点。

歯科医院の開業資金は最低でも約5,000万円といわれています。飲食店の場合だと相場は約1,000万円といわれているそうですから、5倍にあたります。

また、歯科医師の多くは10~99人の小規模の診療所で働いていて、この勤務層の平均年収は約775万円(厚生労働省の令和2年度賃金構造基本統計調査)です。さらに、歯科医師の年収を地域別に見ると、500~1800万円(令和2年度賃金構造基本統計調査)となっています。一方、歯科開業している医師の年収は医療法人で1400万円程度(令和3年医療経済委実態調査)となっています。

つまり、歯科医師の中でも、地域や働き方により年収に差がでてしまっており、年収が低い開業医ほど、投資資金をなかなか回収できず廃業に追い込まれたり、申告所得がほとんどない「ワーキングプア」的な存在になったりしてしまうのです。

このような実態もありますが、もちろん年収2,000万円以上を稼ぐ開業医の先生もいらっしゃいますし、新規開業しても安定した経営を行う開業医も多くいらっしゃいます。

みなさんもその仲間入りをするためには「開業資金の準備方法」や「銀行融資をスムーズにする方法」を知っておくべきではないでしょうか。さっそく、具体的にお話ししましょう。

開業資金準備のために知っておくべきこと

開業資金を全てキャッシュで準備することは困難です。借金がある状態での多額の借入が難しいのはもちろんです。

歯科医の収入が不安定、不安要素が強いのは前項まででお分かりいただけたと思いますが、この状態では容易に借入することができません。

少なくとも、自身のカードローンの支払残高をゼロにすることと、国民年金の支払を行う必要があります。そうなると借入、融資を考える必要性がでてきますが、この場合に注意しておきたいことがあります。

国民年金については、平成19年より国民年金未納の歯科医師は保険医登録の更新が認められなくなりました。

年金未納でも開業は可能ですが、保険医として認められませんので、患者さんの保険診療ができなくなり、確実に患者離れと収入減になることが予測できます。

歯科開業資金の準備はどうする?

歯科医が開業するために必要な資金には様々なものがあります。

医院の設立に関する準備費用や建物の内装・外装、医療機器・事務機器…これらは一般的な歯科医院を設立するために必要です。

「どこで開業するか」という開業地の選定にもよりますが、テナント出店の場合、諸経費などを考えると7000万~7500万円以上の費用を捻出する事もでてきます。加えて、当面の間の人件費や消耗品なども考えなければいけません。

歯科医院開業は地域による収入格差が大きく、また年間の見込み収入にばらつきがあるため、場合によっては、銀行での融資を受けにくいことがあります。

銀行が融資を渋る業種に「不動産業・歯科医・娯楽業」などがあります。歯科医院は同業他社が多く、設備投資が多い、競争が激しいということが理由に挙げられていますが、成功している開業医も多くいます。

開業医として成功するためには、立地条件や広告など効果的に打ち出していく必要がありますので、これらを含め事業計画を立てると融資の幅が広がります。

銀行融資のポイントは「担保・保証能力」と「事業計画書」

銀行がお金を融資するとき、チェックするポイントは何だと思われますか?

それは「返済能力の有無」と「担保や保証能力の有無」です。

通常は返済能力があるかどうかをみる場合、どれだけの経営実績があるかを確認するわけですが、新規開業の場合はそれができません。

そのため簡単にいえば、いかに「担保」や「保証能力」があるかをみせることがポイントとなります。そうはいっても、担保は簡単に用意できるものではありませんし、保証能力があることを証明するのは難しいものです。

そこで次に大切なのが「事業計画書」になります。

事業計画書は銀行融資を受けるためにも必要ですが、客観的に収益性のある歯科医院を経営できるのかをシミュレーションしたり、自分自身が目標を設定したりするためにも必要ですから、とても重要です。

事業計画を作るうえで必要なことを整理すると「損益計算書」と「資金計画書」になります。

損益計算書には、「収益を構成する要素」「売上を上げるために必要な経費・設備」「減価償却とは何か」を、資金計画書には「自己資金」「現金収入」「借入金の返済計画」「生活費」などを記載します。

これらのポイントを抑えたとしても、やはり最初にお話ししたとおり「新規の歯科医院開業が銀行融資を受けることは難しい」という現実もあります。

しかし銀行融資を断られたとしても、打開策はありますので安心してください。

歯科医開業の融資先、日本政策金融公庫を要チェック!

開業の際の融資先として、一番に思い浮かべるのは銀行かもしれません。しかし歯科医の場合は、銀行よりも日本政策金融公庫のほうが融資してもらえる可能性は高くなります。また「無担保では借りることができないのではないか?」という不安の声を聞きますが融資は銀行でなくても可能です。

そのうちのひとつが「担保なし、第三者の人的保証を入れること」です。

日本政策金融公庫では、新創業融資制度を活用することができます。この新創業融資制度とは、一般の金融、銀行などの機関から融資困難であっても、必要とされる業種や施設の設立に対して資金の貸付けをしているもので、小口の事業資金から設備の準備にまで活用することができます。

政府が100%出資している金融機関のため安心して借り入れすることができますので、歯科医の新規開業を目指している方は、ぜひ覚えておいてください。

また、地域密着型の信用金庫などでも、新規開業医療機関向けに無担保で融資をしてくれるところがあります。自己資金があるにこしたことはありませんが、どうしても準備できない時、銀行融資が難しい時などは強い味方になります。

この他に助成金制度補助金などもありますが、申請してから助成金がおりるまで数か月近くかかることもありますので、状況により活用をしていくことで操業がスムーズにいくと考えられます。

融資を受けるための書類…専門家をうまく使おう

カードローンの返済や国民年金未納がないことを前提として、資金の融資を受けるためには様々な条件があります。

開業までの申請書、事業計画書など、様々な書類を準備する必要があり、特に事業計画書については、開業後の収益性や資金計画などに左右するため重要なポイントとなります。

借入の申請のために最も重要視される書類ですが、適切な事業計画を立てるには専門知識が必要なため、コンサルタント・税理士に相談し、積極的に活用してみるのも1つの方法です。

インサイトでも、開業物件を紹介するサービスや資金調達のサポートなど、様々な開業支援コンサルティングサービスを提供しています。自分が開業する場合の事業計画はどのように作ればいいのかなどアドバイスも可能ですので、お気軽にお問合せください。

また、事業計画の作り方や資金調達の方法、今資金調達を行うならどこから調達するのが良いのか?など「歯科開業セミナー」で分かりやすく解説しています。これからご開業の先生は是非ご参加ください。

また「自分は融資を受けられるのか?」など、お問合せ頂ければ、状況をヒアリングさせて頂き、お勧めの資金調達の方法などをお伝えすることも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

その他、これからご開業される方向けのサービスのご用意もありますので、ご状況にあわせてご利用頂ければ幸いです。

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