物件・勤務先・内装?!歯科医院の開業時に実際にあったトラブル事例と注意点


歯科医院の開業時に実際にあったトラブル事例と注意点

歯科医院経営というマラソンを走る上で、開業はゴールではなく、スタートです。力強く走り続けるためにはそのスタートをしっかり迎えられる事も非常に重要です。歯科医院の開業において、全て予定通りにいくことが理想的ですが、世の中には予期せぬトラブルがつきものです。

軽度なトラブルであれば軌道修正が可能ですが、重大なものになってくると開業自体を仕切り直さなくてはならなくなり、時間の面や費用の面でも大きな損害を被ってしまう事もあります。そこで今回は歯科医院の開業時のトラブルについて、実際にあった事例を基に挙げていきます。皆様の開業のスタートをスムーズに迎えるための一助となれば幸いです。

○物件選定編
<開業予定の物件が違法建築だった?!>

賃貸借契約を締結する上で、その契約条件をしっかりと確認しておく必要がある事については以前に、歯科医院テナント賃貸条件のポイントでふれました。

賃貸借契約を見るだけでは見落としてしまいがちな事の一つに違法建築が挙げられます。通常、建物を建てる際には行政に確認申請を行い、建物が竣工した段階で行政が検査を行いますが、その後に行政に届け出をせずに勝手に増改築をしてしまっている違法建築が世の中には少なからず存在しています。

開業準備が順調に進み、いよいよ保健所に開設届けを提出しようと思ったら、違法建築のため開業が出来ないなんて事になったら大変です。そうならないためにも契約書の中身を確認するだけでなく、謄本もしっかり確認し、登記されている内容と実際の建物に差異が無いかどうかも事前にしっかり確認しておきましょう。

○勤務先との退職交渉編
<管理者になっていて開業が出来なくなった?!>

分院長の経験談から学ぶ注意点!歯科の管理者になったらすることとよくある質問で詳しくお話ししていますが、医療法人に勤務していて、分院長として従事されている先生方の中には診療所の管理者として設定されている場合が多いです。退職交渉を行うに当たって、少なくとも開設予定の1カ月前までには管理者を外してもらい、別の管理者を立ててもらうようにしてください。

原則として、1人の歯科医師が2つ以上の診療所の管理者を兼任することは出来ませんので、いざ開業しようと思っても、勤務先の診療所の管理者になってしまっていて、開業が出来ないなどと言う事もあり得ますのでご留意ください。

退職の意思表示をする基準として、一般的には退職の1ヶ月前までに意思表示する必要があると言われていますが、実はこれには法律上の明確な規定はありません。法律的な話で言うと、民法で退職の日から換算して2週間前までに申し出る事とされていますので、これが一つの目安となります。

2週間前に退職の意思表示をして、勤務先から却下されたとしても、法的な拘束力はないので退職する事は可能です。ですが、仕事の引継ぎや勤務先との関係性も大切かと思いますので、少なくとも3ヶ月前~半年前には退職の意思表示をしておく事をお勧めいたします。

しかし、有期雇用契約(期間の定めのある契約)の場合は話が違います。例えば、有期雇用契約書の中で退職意思は6ヶ月前までに示す必要があると規定されていた場合、原則として退職の意思表示から6ヶ月間は退職できないので注意が必要です。

これだけ聞くと、雇われる側が不利ではないか?と思われるかも知れませんが、雇い主側としては、雇ったDr.の能力が著しく低かったとしても一方的に解雇する事が出来ないというリスクを抱えているため、双方に痛みを伴う契約となります。

○内装編

歯科医院の開業において、おそらく最も高額な投資となるのが内装かと思われます。工事のやり直しなどになったら出費も高額になりますので、設計会社を選定する際は歯科医院の内装の実績があるかどうか、という点についてはしっかり確認しましょう。

<内装設計時には気が付かなかった…>

何度も打合せを重ね、ついに理想の内装が完成、いざユニットを設置してみたらアームが壁にあたってしまい思うように動かせない、壁やユニットが損傷してしまう、などのトラブルは意外と多いものです。初歩的な事のように思われますが、内装の設計を進める上で導入予定の機材の寸法や可動領域などについてはしっかり確認しておく必要があります。

また、実際に診療する際に先生やスタッフ、患者さんがどういう動線を通るか、という点についてもしっかりシミュレーションした上で設計を行うことも重要です。人が1人しか通れないスペースのため、院内で渋滞が起きてしまうなどになったら日々ストレスが溜まりますし、そのちょっとしたロス時間を診療に当てられたら一日に診療できる患者さんの数が数人増えるかも知れません。デザインだけでなく、機能面についてもしっかり検討しておくと良いでしょう。

<水漏れが致命傷に・・・>

歯科医院はユニットへの配管のために床を上げる必要があります。床下は普段目に見えないので、水漏れをして気付いた時には致命傷になっている事が多い部分となります。配管工事に不備がないか?防水工事はしっかりされているか?といったポイントはしっかり確認しましょう。

しかしながら、先生達は歯科の治療のプロですが内装のプロではないため「何をどう確認すればいいのか分からない」と言う方がほとんどかと思いますので、内装業者を選定する際は、信用できる企業かどうかという点は慎重にご検討頂くようにしてください。または内装のプロである第三者に確認してもらうなどといった対策をされるのも良いでしょう。

<内装と機材の連携がうまくいかずに診療出来なくなった?!>

内装業者と機材業者との情報の連携は非常に重要です。例えば、歯科器具の自動洗浄機の中には特殊な配管を施す必要がある商品があります。

これを知らずに通常の配管のまま設置してしまうと、配管が溶けてしまい水漏れが発生し使い物にならなくなり、補修工事を行うことにより数日間診療が出来なくなってしまうといった事態にもなり得ます。ユニットやレントゲン、機械室、自動洗浄機など大型の機材は内装と密接に関わる部分ですので業者間での連携を漏れなく行ってもらうようにしましょう。

○医院の電話番号取得編
<電話番号が決まらなくて、開業が遅れた?!>

あまり聞き覚えがないかもしれませんが、意外と気をつけなければならないのが電話番号です。電話番号の候補が出てきて、電話の配線工事が完了した段階で、選んだ番号は医院の電話番号として正式に使用できるようになります。電話番号を選んでも工事が完了するまではあくまでの仮の番号であるということは注意しておいてください。

また、新築物件の場合で建物の住居表示が決定していなかったり、部屋番号が決まっていなかったりするとそもそも電話番号の候補を出してもらえない事が多くあります。更に、時期によって差はありますが電話番号を選んでも、配線工事の手配に通常1~2週間はかかりますのでこの点もご注意ください。

この対応が遅れると、開設届や広告物など様々なものに影響が出てしまいます。内覧会を開催する場合などは医院のパンフレットやチラシなどを開院前から配布する事が出来ますが、その広告物に電話番号が記載されていないなどという事になったら勿体ないですよね。開院直前は開業の準備やスタッフさんの研修など、なにかと忙しいものです。電話番号の取得や工事の手配は余裕を持って進めていきましょう。

以上、実際にあったトラブル事例をいくつか紹介しましたが、開業前にはこの他にも予測できないようなトラブルが沢山あります。事前に対策できている事が最も望ましいですが、何か問題が起きた際は専門家に相談するなど、トラブルを致命傷にしないよう冷静に対処して頂ければと思います。

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