歯科医院経営講座⇒スタッフの引き抜きが起こったら


歯科医院の経営・マネイジメントの事例を交えたケーススタディを紹介します。歯科医院経営事例シリーズをまとめて読みたい方はタグの「歯科医院経営講座」をクリックしてください。
院長、こんなときどうしますか?~スタッフの引き抜きが起こったら~

<ケース>
開業して6年目のinsiteデンタルクリニックは、半径500m以内に20件以上の歯科医院があり、都内でも有数の激戦地域で周辺のOL・ビジネスマンを中心に保険と自費を7:3の割合で診療しています。

スタッフの入れ替わりも激しく、1ケ月前にもB衛生士が一人辞めてしまいました。辞めた衛生士がどこに勤務したかは知りませんでしたが、昨日スタッフの衛生士が辞めたいと言い出しました。

話を聞いてみると「実はBさんから連絡があって、Bさんが今勤務しているC歯科クリニックで衛生士を募集しているので、こないか?」ということ。C歯科クリニックは、insiteデンタルクリニックからわずか50mほどしか離れていないライバル医院です。

Bさんのえげつないやり方に、腹を立てた院長は何か策はないかと考えたのですが、何か良い方法はあるのでしょうか?

○歯科医院スタッフの引き抜き

歯科医院スタッフの引き抜き

Bさんのやり方は確かに、えげつないですが、現実には友人関係で情報交換し、勤務先を変えることはよくある話です。

問題は、2点です。
・事前にこのような「引き抜き」を防げないか
・デンタルクリニックに比べてinsiteデンタルクリニックの雇用条件が悪いのではないか

後者の雇用条件の改善は、当然考えていかなければならないことですが、経営との兼ね合いもあるのでどうしようもない点です。

そこで、前者の事前に引き抜きが起きないようにする方法を考えてみましょう。

医院に就職する際に「退職後○年間は競合関係にある歯科医院へ就職し、医院と競合する営業行為をしてはならない」といった「競業避止に関する事項」をもりこんだ誓約書を提出してもらうという方法があります。

これは退職したスタッフが、転職先で自院の「機密事項」や「ノウハウを漏洩することを禁止」するというものです。しかしながら歯科衛生士の場合、歯科医院以外に勤務先がないわけですから、(1)競業を制限する期間と(2)制限する場所を明確にしておかなければ法的に合理性のないものになってしまいます。

そこで、期間は1年とし、制限する場所として医院から2Km以内の歯科医院としておきます。こうすることで、まずB衛生士が近くのライバル医院に就職することが退職後1年間にわたって防げますし、たとえスタッフを引き抜いたとしても、実質的な競合による損失は防ぐことが出来ます。

ただし、具体的な「機密事項」や「ノウハウ」が明確でなく、合理性に欠ける場合には、訴訟等の法的な対処はできません。医院としてはあらかじめ競合に就職することを排除する圧力をかけている程度に考えておいたほうがよいでしょう。