歯科医院経営講座⇒院内で患者さんが転倒してしまったら


歯科医院の経営・マネイジメントの事例を交えたケーススタディを紹介します。歯科医院経営事例シリーズをまとめて読みたい方はタグの「歯科医院経営講座」をクリックしてください。
○院長、こんなときどうしますか?
~ 院内で患者さんが転倒してしまったら? ~

<ケース>
ある日、高齢の患者さんが治療を終えて待合室に戻ろうとしていた時、スタッフが誤ってモービルキャビネトを倒してしまい、その音に驚いた患者さんが転倒し、骨折してしまいました。

モービルキャビネトが直接当たったわけではなく、患者さん自身が驚いて転倒してしまったのですが、医院にも責任があるのでしょうか?それとも本人の責任なのでしょうか?

○歯科院内で患者さんが転倒してしまった時は

歯科院内で患者さんが転倒

2000年 8月に厚生労働省が発表したリスクマネージメントマニュアル作成指針の用語の定義によると、医療事故とは医療に関わる場所で医療の全過程において発生するすべての人身事故で以下のように定義されています。

・死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合
・患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合
・患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合

とされています。その定義ではその責任の有無は問いていません。

今回のケースは2番目の「医療行為とは直接関係しない場合」と捉えることができますので、「医療事故」ということになります。

街中においては当人の自己責任とされる事でも、院内においては医療者が患者の安全を確保しなければならないし、それと引き換えに、患者は医療者の指示を厳守する義務を負っているからです。

不幸にも、医療事故が起きてしまった場合には、最初に患者に対する応急処置を最優先しなければならないのは当然ですが、被害者とその家族に謝罪し、発生状況を説明する一方で被害が起きた状況をできるだけ客観的に書きとめておくことが大事です。

例えば、転等した箇所の写真を撮っておくとか、スタッフが患者さんに危険を事前に注意したかどうかなどのヒアリングを書き留めておきます。

これは、万一訴訟になった場合に状況証拠として認められるからです。
実際には、それどころではなくパニック状態にあると思うが、出来るだけ速やかに状況をメモすることをお勧めします。

また医療事故の中でも、医療過誤(医療ミス)は、医療従事者に過失がある場合のみを指す言葉であり医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為で、法的な用語としては規定されていません。

この医療過誤については、明らかに医療関係者に過失がある場合ことが前提なので、この過失が原因となって生じた結果に対し、民事責任、刑事責任、行政上の責任を負うことになります。