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開業資金借入時の保証人や担保の考え方!保証人って必要?無担保無保証は出来る?

借入時の保証人や担保について
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歯科医院の開業資金では、ほとんどの方が融資を受けて資金を調達します。融資条件について担保や保証人の話が出てきます。そもそも借入の際によく聞く、担保や保証人とはどのようなことなのでしょうか?まずは意味やその仕組みについて解説しましょう。

そもそも担保とは?担保や保証人の仕組み

担保とは、借金をした本人(債務者)が借りたお金が返せなくなった時に、お金の貸し手(債権者)に対して代替の返済手段を保証するモノです。

担保には人的担保と物的担保があり、人的担保は第三者の支払能力、物的担保は債務者が所有するお金に換えられる価値を持つ財産(不動産・土地など)になりますが、実際には担保=物的担保、保証人=人的担保という意味合いで用いられる場合が多いでしょう。

金融機関はお金を貸す時にこれらの担保や保証人を設定する場合がありますが、これは債権者にとって、借り手がお金を返せなくなった際に資金回収が出来なくなるリスクを回避する為の手段(保証)になります。

実際に返済が滞った場合、担保を債務の弁済にあてるのです。

弁済とは債務を返済し債権を消滅させる事をいいますが、具体的には、担保に入れた土地や建物(不動産)を競売にかけたり、保証人に可能な限りの返済をしてもらうなどして、貸したお金を回収していきます。

この様な仕組みの為、担保を入れる場合にはある程度貸したお金が確実に戻る手段があるので、よりよい融資条件を提示して貰える場合もあります。

歯科開業でよくある4つの資金調達先紹介」でも簡単に触れていますが、歯科開業向け事業融資の実際の現場においても、担保があるかどうかにより借入先の範囲や商品の選択の幅が変わってきます。

借入の担保や保証人の考え方とよくある質問

ここまで担保や保証人の仕組みについて簡単に解説しましたが、ここからが今回の本題。保証人についての考え方やよく頂く質問についてお話していきます。

保証人って必要?誰に頼めばいい?

保証人というと債務者に何かあった時に有無を言わさず全ての債務の肩代わりをさせられるというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、これだけの強制力を持つのは連帯保証人になります。

普通の保証人と連帯保証人の大きな違いは、催告の抗弁(民法第452条)・検索の抗弁(民法第453条)の権利があるかどうかです。

民法第四百五十二条(催告の抗弁)  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

民法 明治二十九年四月二十七日法律第八十九号

民法第四百五十三条(検索の抗弁)  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

民法 明治二十九年四月二十七日法律第八十九号

民法にこのようにある通り、保証人はまず債務者の支払能力による返済を求めることができますが、連帯保証人にはこの権利が無く、債権者は債務者の支払能力に関わらず連帯保証人に返済の請求や強制執行をすることができることになっています。

金融機関からお金を借りるにはこのような連帯保証人が必ず必要になるとお考えの方も多いのではないでしょうか?しかし、実は「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない」という考え方が、現在では主流になりつつあります。

事業が失敗したり、債務者本人が大きな病気やケガを負うなどして莫大な事業資金の返済を行えない場合に、普通の第三者がその全てを代わりに返済するのは難しい場合も多く、そうした事への救済要望も高まっていました。

そこで、このような実態を見直すべく、金融庁は監督指針を打ち出しています。

経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を促進する

金融機関においては、こうした趣旨を十分に踏まえた対応を行う必要がある。

監督指針・事務ガイドライン

これに則し、金融機関でも第三者の個人連帯保証人を求めることはほぼなくなっていきました。場合によっては必要とされる事もありますが、金融機関側にも相応の理由があるはずなので、審査結果に応じて対応を検討しましょう。

最近では金融機関が用意した団体信用生命保険に債権者の加入が原則必要な商品も多く、そのような場合には保険の受け取り人を保証人とし、本人が亡くなった際には保証人が受け取った保険金を債務の返済に充てるなどといった仕組みが見受けられます。

この場合、保証人を頼むのは何かあった時に自分の相続を行える人間であり、一般的には配偶者や親族がその立場になりやすいとも言えるでしょう。

保険金があるとはいえ、実際に自分に何か起きた時には保証人にそれなりの迷惑がかかります。開業を目指す時点で、資金調達をどうするかをきちんと考え、保証人が必要となる場合には周囲と必ず話し合って承諾を得ましょう。

そもそも保証人や担保の有無に関わらず、事業資金融資は金融機関と自身の信用取引です。その事を安易に考えず、まずは実現可能な開業計画を綿密に立て、開業後の医院経営を必ず成功させて、借入金は誠意をもって返済していきましょう。

無担保、無保証での借入は出来る?

先ほどもお伝えした通り、無担保・無保証では借入先の範囲が狭まります。しかしそれでも、無担保・無保証で資金調達したい場合に全く手段がないわけではありません。

冒頭でもお伝えした「資金調達はどうやるの?歯科開業の資金調達先」でも触れている通り、無担保・無保証で借入したい場合でも日本政策金融公庫の新創業融資制度などの活用が検討できます。

無担保・無保証の為、融資限度額は「3,000万円(うち運転資金1,500万円)」となっていますが、もちろん必ず最高額で審査が通るとは限りません。

もし融資額で事業資金のすべてをまかなえない場合は事業計画を徹底的に見直す、リースを利用する、不足分の自己資金を貯めるなどして対応していきましょう。

よく「知人の○○は金利が○%で出来たから自分もそれでやりたい」などのお話しを伺いますが、資金調達の時期や開業地、自己資金など様々な要因により借入の条件が変わります。同じように進めていても、同じ条件で借入が出来るとは限らないので、まずはご自身の環境や状況をしっかりと確認し、自分にとって最適の条件は何なのかを考えましょう。

当社の資金調達のノウハウや注意すべきポイントなどはセミナーでもお伝えしておりますので、まずはさわりだけでもすべきことを把握したい方には最適な内容になっています。

商品の選択や面談の応対など、資金調達は専門的な知識が必要になります。ベストな条件で進める為には、やはり一度、専門家にご相談頂くのがいいのではないでしょうか?インサイトでもご相談を承っておりますので、お気軽にお問合せください。

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