歯科医院を開業しようと考え始めた時に多くの方が最初に悩む資金調達。開業へ向けて自己資金を貯めてらっしゃる方も多いかと思います。事業計画を作成する際に「融資をどれくらい受けるか?受けられるのか?」などと悩まれる方も多くいらっしゃいます。
「歯科開業資金調達!よくある4つの資金調達先」でも紹介していますが、開業に必要な資金総額と調達先の内訳、融資やリースを利用する場合の返済方法…これらを総合して考えることが資金計画では重要です。
そういった資金計画を事業計画へ落とし込んでいく時に「融資が受けられるなら、なるべく自己資金は手元に残しておきたい」という声をよく伺います。そこで今回は自己資金をどうすべきか、事業計画とのバランスのとり方についてお話します。
事業計画をたてる前に、自己資金の考え方とは?
自己資金とは自分が自由に使えるお金の内、開業に充てる資金の事を指します。開業を目指す際、元々潤沢な資産に恵まれているという場合でもない限り、勤務医として働き、貯蓄がある程度たまってから開業する場合がほとんどです。
開業のために貯めたお金なのだから、全て自己資金として開業費用に回せばいいのでは?と思われるかもしれませんが、それはとても危険です。特に保険診療が医業収入の主体となる場合には、開業したからといってすぐに収入が入るわけではありません。事業用の運転資金とご自身の生活費のバランスが重要です。
個人が所有するお金のことなのでどうするかは自由ですが、この判断を誤るとキャッシュフローがうまく回らず、家計も医院の存続も危うくなる…なんてことにもなりかねません。よくよく考えて自己資金をどうするか決めましょう。
事業計画における融資と自己資金のバランスって?
融資(ローン)とは事業資金を金融機関から借り受けることで、一時的な資金提供を受ける代わりに、金利を上乗せした借入金を長期間に渡り返済するシステムの事をいいます。
自己資金が多ければローンがその分少なくなるので、月々の返済額と支払う金利も少なく済むでしょう。逆に、自己資金が少なければローンが多くなり、月々の返済や金利総額も高くつきます。
支払う金利はなるべく少なく済ませたいところですが、そうはいっても自己資金や懐のお金もある程度残しておかなければなりません。時間の経過と共に自分の人生も着実に進むので、結婚や出産、マイホームや車の購入に子供の進学、親の介護など、近い将来、開業とは別に多額のお金が必要になるシーンが訪れることもあるでしょう。
このような個人出費がかさむ時、開業に自己資金を投入しすぎていたり、逆に搾りすぎて月々のローン返済額が高めになっていると、手元に現金が残らず支払いが苦しくなることがあります。
また、場合によっては集患がうまく行かず、開業後の収益が安定しないこともあります。そのような時には温存していた自己資金を運転資金に充てる必要も出てきます。
自己資金をなるべく手元に残しておくためのテクニック
このように、開業後の突然の支出にそなえる必要があるので、もし融資が受けられるのであればなるべく手元に自己資金も個人資産も残しておきたいですよね。
そのためには、手元に残すべき金額がいったいいくらになるのか、歯科開業の準備でライフプランを書き起こし細部までプランニングしておくことが重要になります。
ここで算出した金額から貯蓄額を差し引けば自己資金額が決まりますし、開業に必要な資金から自己資金を差し引けば、金融機関から借り入れるべき融資額が決定します。
当然、家計支出を極力減らさなければ自己資金は増えませんし、借り入れるローンの額面も大きくなってしまいますよね。養育費や老後の資金など目的のある貯蓄を無理に切り崩す必要はありませんが、無駄な支出を無くす努力は必要でしょう。
事業計画で、他にも気を付けておくべき事とは?
事業計画を立てる時、売上予測をだいぶ高めに設定される方もいらっしゃいます。開業する環境などにもよりますが、初めての歯科開業で融資をしてもらう時に売上予測が高めだと、よほどの根拠がなければ融資を得るのは難しいでしょう。
売上をあげるためにはそれに応じた人材や立地・設備などの環境も必要なので、実行可能な計画を立てるように気を付けましょう。収支のバランスがとれている現実的な事業計画でなければ、経営者としての資質を問われることにもなるので注意が必要です。
事業計画を立てる時の自己資金の考え方でした。
事業計画の立て方やポイントについては、別記事でも紹介しています。
事業計画や資金の調達方法についてはセミナーでより詳しくお話しています。歯科開業で強みのある金融商品の特性や、歯科業界の将来予測、具体的な集患戦略まで、開業に必要なことが分かるセミナーも開催しておりますので、ぜひご参加ください。
また、個別にご相談頂ければ、ご状況を伺いながら事業計画を作成することも可能です。
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