歯科医師の地域偏在 -不足地域・格差とその傾向-


歯科医師の不足地域と地域格差

歯科医師の地域偏在や不足している地域があることはご存知の方も多いのではないでしょうか?歯科医師過剰問題が取り沙汰される近年、同様に歯科医師が都心に集中することによって、地域に偏在が起こり、歯科医師不足が出ている地域が存在します。

今回はその地域格差や不足地域、歯科医師の地域偏在について解説していきます。歯科業界の現状と将来予測については、他にも解説していますので、併せてご覧ください。

【参考】
歯科新規開業を取り巻く現状と将来の予測1
歯科業界の動向、10年後の未来

○無歯科医地区等調査からみた地域偏在

平成26年度に厚生労働省は、全国の無歯科医地区の実態と医療確保の実態を調査した「歯科医地区等調査」を発表しました。

無歯科医地区の人口と無歯科医地区数

この結果から、無歯科地区は減少傾向にあるものの、206,109人(約20万人)ほどの方が、歯科医療を受けられない状況になっています。

2016年10月の総務省人口推計で最も少ない県の人口が57万人ですが、単純に数値だけ当てこめば、その県のおよそ半数が治療を受けられないほどの数値とも言えます。

もちろん無歯科地区は地域ごとに偏在しているので、どこかの県にそのまま比重が偏るような事は決してありません。ここではあくまで20万という数値がどれほどの影響力を持つ数なのかという事をご想像頂ければと思います。

それでは、地域別に無歯科人口の数を見てみましょう。

都道府県別:無医人口数
地区別無歯科人口

上記無歯科医人口数が0を含む5段階で色分けしたものが地図の表になります。都心部の東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪では、無歯科医人口が0人でした。反対に、北海道・岡山・大分は無歯科人口数が多くみられます。

しかし、無歯科医人口が多いところは歯科診療が受けにくいかというと、必ずしもそうとは限りません。そこで、別の視点からも地域偏在を検証してみることにしましょう。

○人口10万対歯科医師数からみる地域偏在

医師・歯科医師・薬剤師調査(平成26年12月31日現在)発表されている、人口10万対歯科医師数を地域別にみてみましょう。

地域別人口10万対歯科医師数
人口10万対歯科医師数

人口10万対歯科医師数は、東京都が最も多く、福島・徳島と続いています。逆に歯科医師数が最も少ないのは福井県で、53.3人となっています。無歯科医地区等調査と人口10万対歯科医師数からみて分かる通り、都道府県別でみても、歯科医師数は地域によって偏在しています。

また、無歯科医地域がある北海道と大分県での人口10万対歯科医師数をみると、全国平均よりも歯科医師数が多くなっています。つまりは、各都道府県での偏りだけでなくその地域からさらに地域格差が出ていることが読み取れます。

このように、歯科医師が不足する地域が出ていたり、地域内でも偏在が出るのには様々な理由があります。

地方と比べると都心部の所得は相対的に高くなりますし、所得に余力があるほど治療や予防にお金を掛けてくれるという、ある種患者さんの所得状況の影響を受けやすい歯科医業の特性を考えても、歯科医師が都心部に集中してしまうのは仕方のない事と言えるでしょう。

また地域内の偏在については、歯科新規開業を取り巻く現状と将来の予測1の「従来の歯科開業場所の決め方」でも解説している通り、歯科医師が自分のライフスタイルから開業場所を決めるという従来の方法が未だ定着しているのが一つの要因です。

自分の卒業した歯科大学の周囲や、勤務した事のある場所の近くなど、慣れ親しんだ所であれば開業しやすいという思い込みを捨て、各地域の需要やニーズを把握した上で開業する様にならなければ、なかなか解決しない問題でしょう。

とはいえ、単に地域の需要を重視するという事にも懸念があり、人口の集まりやすい場所だと集患できる=医業収入を得やすい(勤務医の場合は求人がある、キャリアが積みやすい)と考え、地域内の都市部に極度に歯科医師が集中しやすくもなります。

そうなると都市部への歯科偏在がますます激化し、そのエリア以外の患者さんが診療を受けにくくなるばかりか、競合医院が増える事で歯科経営そのものも圧迫を受け、集患がうまくいかない歯科医院は淘汰されてしまいます。

地域偏在は、歯科開業にとっても脅威になり得るのです。しかし、このような地域内の偏りについては開業時にマーケット分析を行う事によりある程度の回避は可能になります。

まずは自分の生活圏や都市の駅近くなどで開業するのが一番という思い込みを捨て、たとえ郊外でも、都市を離れた市街地でも、集患できる医院作りを目指していきましょう。

参考:郊外での開業なのに患者さんが集まる?!理由とポイント

そうはいっても、立地をどう決めたらいいかなど、歯科開業に適した物件選定にはかなりの知識と労力を要します。他にも、事業資金の準備や集患の為に何をしたらいいかなど、開業に向けてやるべき事は山積みです。

開業を志すのであれば、まずは全体的な流れと、それぞれの要点を把握するのが成功への近道です。当社では将来の業界マーケットの予測から、開業ですべき事のポイントを導き出し、今の歯科開業で必要な事を1日でお伝えするセミナーを開催しております。

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