歯科経営管理

備えあれば憂いなし?あらかじめ考えておくべき歯科医院の災害対策

歯科医院の災害対策
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各地で起きた大地震や豪雨、今後起こり得るとされる首都圏直下型地震などについても連日メディアでとりあげられ、防災の意識は日々高まっています。

当社でコンサルティングを行っている中でも「この場所で開業して災害は大丈夫?」「そういう時にはどうしたらいいのか?」とご相談を受けることが増え、開業時から災害の事を意識される方が増えてきています。

開業場所での災害情報については、開業地を選ぶ時に、その場所で過去にどのような災害があったのかを調べる事ができます。また、近年では政府や各企業・調査団体などから、災害予測がだされているので、それらを参考にする事も可能です。

しかし、その場所で「過去に災害が起こっていない」からといって、それは未来に災害が起こらないことを保証することにはなりません。

また、一口に災害といっても気象災害・地震・噴火・人為的災害など様々なものがあり「いつ」・「だれの身にも」、起こりえてしまうのが災害です。

「防げないならどうすればいいのか?」と不安が募ってしまいますが、今からできる防災対策を行い、起きてしまった災害の被害を少しでも軽減させることが大切です。

それでは、実際に災害時にはどうしたらよいのでしょうか?歯科医院でできる災害の対策の例をご紹介します。

歯科としての災害医療

災害が起きてしまった時は、先生ご自身や医院内のスタッフだけでなく、患者さんや地域の方、周辺の方など、医療にたずさわる方もそうでない方も等しく被災してしまいます。

歯科医院は通常の病院のように、災害時に多くのケガ人や病人など救急患者を受け入れるわけではありませんが、医療機関として、医療従事者として、災害時に身の安全を守ることはもちろん、医療として何ができるか?も考えておくことも大切です。

災害歯科医療対策については、日本歯科医師会で「日本歯科医師会の災害対策」として目指すべき方向や実施要領などが挙げられています。

○大規模災害発生直後の迅速な初期対応

○中長期にわたる避難生活者への対策

○地域歯科医療の速やかな復旧等の実施 など

災害歯科医療対策について日本歯科医師会より

災害医療を行うためにも、まずは自分たちの身を守ることを考えなければなりません。

まず、自分たちの安全を確保する。次に、災害が落ち着いてきたら医院を復旧させる。その次に被災した来院者を受け入れ、診療を再開する。この一連の流れをいかにスムーズに行えるかが、災害時医療の「カギ」になります。

・歯科医院で被災した自分やスタッフ、来院された方の身を守ること
・災害時、スタッフはすぐに医院に来られる状態にしておくこと
・ライフライン復旧のメドがたたず、物資が届かなくても、医療を行えるようにしておくこと

これらの事を事前に考え「備える」おくことが大切です。

歯科医院で行っておくべき災害対策

「備え」とは、いざという時のための対策を行っておく、ということです。それでは、具体的に歯科医院で行っておくべき対策の一例をご紹介します。

安全の確保

・家具の固定

いちばん簡単にできる対策です。避難経路を確保し、ケガ人を出さないために大切なことです。東日本大震災の時にはユニットが倒れる被害もありましたので再度、ユニットが床に固定されているかの確認をしておきましょう。

・避難方法の確認

非常口の確保はもちろん、建物の管理会社への連絡手段やエレベーターの復旧方法などについても確認しておきましょう。また、地域の避難先の確保と、そこへの道順はスタッフ全員が把握できている状態にしておきましょう。

非常物品や救出用資器材の準備

地震速報の受信器材、消火器、ラジオ・ヘルメット・防水シートなどの一般的な準備に加え、自分の医院に必要とされる資材の準備をしておきましょう。

医院マニュアル作成

就業中に被災した場合に備え、患者さんへの対応や、役割の分担などの行動手順をきちんと決めスタッフと共有し、いつでも実行できるようにしておきましょう。パニックをおこした患者さんを落ち着かせるために声をかけ、安全な順路で避難先へと誘導するのは誰の仕事なのか?火災を食い止めるためにブレーカーを落とすのは誰の役目なのか?いま一度確認をしてください。

二次災害防止のとりくみ

災害が起きた後は、二次災害の危険もあります。余震、崖崩れ、地盤沈下、水害、火災・・・いま、自分たちはどのような環境におかれているのか?逃げるべきなのか、それとも院内に留まるべきなのか・・・まずは災害時に確実な情報を入手できる先を把握しておきましょう。市区町村などで配布されている防災マップ(ハザードマップ)を把握しておくのも有効です。

医院復旧に向けて

スタッフ連絡網(安否情報確認)

害後ならなおさら、自分の力だけでは医院を復旧させ医療サービスを提供するのは困難でしょう。最近では一斉メールや災害掲示板などといった便利なツールもありますが、被災したときの連絡は誰がどう行うか、もし連絡が取れない場合にはどうするかルールを決めておきましょう。被災した院内のことだけではなく、そこで働いてくれているスタッフの安否確認も重要なことです。

患者さん情報バックアップ(カルテなど)

いざという時のために、カルテのバックアップをしておきましょう。バックアップをしっかりととっておけば、施設復旧後も的確な診療を行うことができます。また、災害の時にカルテなど患者さんの情報をどう災害から守るのかもあわせて考えておきましょう。

ライフラインが止まってしまった時の対応

医院が復旧しても、ライフラインが止まってしまうと診療を再開するのはとても難しいことです。ガス、電気、水、医療器具、薬品・・・復旧のためにどこに連絡すればいいのかを把握しておきましょう。また、ライフラインが復旧するまでの備蓄や代替、材料の調達手段と調達先をどうするか?も決めておくといいでしょう。

医院を経営する以上、最低でもこれだけの対策は必要になるでしょう。また、これらの備えをしていてもいざその時になって使えなければ意味がありません。定期的な振り返りチェック、訓練を行う事も大切です。

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